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これ日本でも受けそう プジョーの電動キャンパー プジョー eリフター ヴァンダラーのすべて

2022年10月30日

電気駆動のキャンピングカー: プジョーのBEVであるeリフターをベースにしたオール電化の多機能マイクロキャンパーバン: ヴァンダラーは今、こんなものを作っている。

小さいことは良いことだ: 今日のキャンピングカーの楽しみは、「VWバス」サイズのバンではなく、もっと小さいハイルーフのステーションワゴンで始まるのだ。

モーターホームメーカーとして、新参者であるヴァンダラーは、多機能ミニマリズムのトレンドを特によく考え、一貫した方法で実践し、ハイルーフのステーションワゴンのための通常のキャンピングボックスが提供するものをはるかに超えるものにしている。しかし、ヴァンダラーに電気自動車が登場したのは、その必要性からだけではない。

これがプジョー eリフター ヴァンダラーだ

プジョーは今年初めから、姉妹車である「シトロエン ベルランゴ」や「オペル コンボ」と同様に、「リフター」をBEVモデルでも供給している。プジョーは常に少し高価だが、よりスタイリッシュな装備を備えている。また、側面とホイールアーチにプラスチック製のプロテクターを持つ外観は、ちょっとしたアウトドアらしさをこのモデルで醸し出している。

眺めのいい部屋: 寝殿造りの屋根の蛇腹を開けることができる。

キャンパーには、もちろん「L2」というロングバージョンが適している。全長は4.75mとミドルサイズのエステートカー並みで、回転半径は11.5mと、街中での使い勝手は十分で、外高も1.90m以下と車庫入れもしやすく、普段使いのクルマとしても十分適している。

フロントに136馬力の電動モーター、床下に50kWhのバッテリーを搭載している。130馬力の同等ディーゼル車(在庫車のみ)と比較した電気駆動の実際の割増料金は12,000ユーロ(約168万円)だが、これはe-car購入プレミアム(補助金)で相殺することが可能だ。

キッチンユニットは、引き出し式でテーブルと一体化しており、コーナーを挟んで座ることができる。

これは、「ベルランゴ」や「コンボ」にも同じような形で適用される。「トヨタ プロエース シティ」だけが、まだガソリンとディーゼルの2種類のエンジンを搭載している。

電気駆動のコンパクトな都市配送バンは、確かに理にかなっている。しかし、キャンピングカーの場合は、街の中の3つの角を曲がるだけでなく、もっと遠くまで走るのが普通だ。だから、e-キャンパーにはいつも苦労させられる。しかし、このようなコンパクトなアウトドアバンは、年に数度の大きな休日には、大きな役にも立つと同時に、普段使いのクルマにも代用できるのだ。

eリフターのヴァンダラーにはこんなものがある

ケンプテンに拠点を置く「ヴァンダラー」(バン(Van)とハイカー(Wanderer)の造語)は、自社開発のポップアップルーフと114cmの寝幅、点弾性マットレスのベッドが自慢だ。

背面を引き出し、IHコンロと折りたたみ式テーブルトップを備えた電動高さ調整式キッチンユニット、シンクボックスと水道を備えた左側の折りたたみ式ベンチシート、折りたたみ式クロスシートベンチと収納ボックスを兼ねたコンビネーション家具の3つのモジュールからなるマルチパーツインテリアを採用している。

全体を折りたたんで起こすことができるので、標準のシングルリアシート3脚はそのまま車内に残り、必要に応じて使用することができるという、非常にトリッキーな仕組みになっている。折りたたんだ状態ではリアウィンドウからの直接の視界が遮られるが、その分はリアカメラのおかげで我慢できる。

決して大きい車ではないため、収納スペースは豊富ではないが、それでも別に収納ボックスがあるのは嬉しい。移動中は2つの家具ブロックの間に、キャンプ時は屋外かキッチンブロックの下に設置し、作業しやすい高さに上げておくことができる。

eリフター ヴァンダラーの駆動方法について

かなりできる!フランスらしい、良好なステアリングフィールとサスペンションの快適さ。代表的な電動: アクセルペダルに対する自然な反応と、スムーズでギクシャクしない静かな加速感。

走行モードは「エコ」、「ノーマル」、「パワー」の3つで、中速域では81馬力の「エコ」でまったく問題ない。最高時速は135km/hで、この手のクルマには十分だ。

プジョー eリフター ヴァンダラーには、限られたスペースに素晴らしいアイデアが詰まっている。

上級装備の「GT」では、電力使用量とバッテリーの状態に関する詳細な情報を表示するデジタルコックピットが提供され、統合ナビゲーションシステムが次の充電ステーションを探すのに役立つ。

50kWhのバッテリーで266kmの航続距離を実現

ベース車両に搭載された50kWhのバッテリーは、航続距離266km、消費電力20.9kWh/100kmを実現している。実際には、200kmごとに充電休憩を計画する必要がある。

急速充電器でも最大100kWまでしか充電できず、80%の充電レベルに達するまでに30分かかり、再び約200kmの走行が可能になる。

ベルリンから地中海まで一気に駆け抜けようとするような長距離移動には、電動キャンピングカーはあまり向いていない。どうせなら2時間ごとに休憩を取りたい、そんな快楽主義の旅行者向けだ。

プジョー eリフター ヴァンダラー: 走行レポート

オール電化の多機能マイクロキャンパーバン、「プジョー eリフター ヴァンダラー」。
「ヴァンダラー」のキッチンブロックは、引き出し式でテーブルと一体化しており、コーナーを挟んで座ることができる。
ポップアップルーフは、クローズド、フルオープン、防虫スクリーン、ブラックアウトのバリエーションがある。
高品質な130Wpの太陽電池により、キャンプでの電力の自給自足を実現する。
リアシートを倒すと、フラットなスペースが生まれる。
前席の間に16リットルのクールボックスを設置。
狭いながらも、工夫されたリビングエリアは広々として、風通しが良いように見える。
ガタつきのないフライス加工のカトラリー引き出しを備える。
50kWhのバッテリーは実質200kmの走行に十分で、最大100kWの充電が可能だ。

結論:
「ヴァンダラー」には、素晴らしいアイデアが詰まっている。また、この電動キャンピングカーがなにか特別な意味を持つとすれば、それは小型軽量のシティバンであり、日常の車として機能しながらも、週末には周辺に気ままに出かけるのに適していることだろう。

【ABJのコメント】
日本では圧倒的に「シトロエン ベルランゴ」のほうが見かける頻度が高いような気がするが、その兄弟車の「リフター」も(当たり前だけど)決して「ベルランゴ」に劣らないような自動車である。特に「ベルランゴ」ほどの凝った意匠を持たない内外装は、個人的には好感が持てるし、さらに今のプジョーのラインアップにおいては一番シンプルで実用車らしい、つまり昔ながらのプジョーの雰囲気を持っているのは実はこの「リフター」なのではないか、と感じるような飾らない良いデザインである。

そんな「プジョー リフター」のBEVである「eリフター」をキャンパーに仕上げたのが今回の「ヴァンダラー」である。絶対的な大きさは決して巨大ではないから、室内空間はそこそこではあるが、広ければ絶対的に快適かというと、一人か二人くらいで出かけるには、そこそこの空間のほうがコージーだったりもするわけで、要はどう使うかがこういう自動車を選ぶ時の基本である。今回の「ヴァンダラー」の内装は華美ではないけれどセンス良く、とてもいい感じのものである。そしてそれは「プジョー リフター」の持っている素質と大変よく融合していると思う。日本の軽のキャンパーが人気だが、この「リフター」を見るとやっぱりセンスが良く、お洒落なのはこっちだなぁ、としみじみ思ってしまうのは、舶来主義が抜けない者のひいき目なのだろうか・・・。(KO)

Text: Thomas Rönnberg
加筆: 大林晃平
Photo: Vanderer