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初テスト 新型BMW M8グランクーペ コンペティション

2020年4月19日

8シリーズトップモデル 新型M8のドライブパフォーマンスやいかに

BMWは、8シリーズに新たにM8グランクーペを投入した。このスポーティなGTは、ドライビングダイナミクスだけでなく、快適性の面でも優れている。初乗車レポート!

世の中にはBMW M8グランクーペのセンスを疑う人も多いかもしれない。通常のM8クーペとは対照的に、競合車のポルシェ パナメーラ ターボやアウディ RS 7同様、リアにもドアが備わっている。つまり、4ドアだ。
むろん、グランクーペは全長5.01メートル、そして3.03メートルのホイールベースのおかげで、後部座席であっても、レッグスペースは十分に備わっている。
しかし、このクルマは後部座席に座って楽しむためにあるのではないと言っていいだろう。
その楽しさを存分に味わうには、やはりステアリングホイールを握らなければならない。そしてそのシートはドライバーをしっかりと包んでくれるだけでなく、居住性も良く、長旅にも最適だ。
ステアリングホイールのリムは極太だが手にちゃんとフィットする。

スタートボタンを押すと、M5でお馴染みの8気筒エンジンが唸りを上げ、ディスプレー画面が「フルドライブパワーがまもなく利用可能になる」と告げる。そして一分弱後に、排気ガス浄化システムが作動温度に達し、コンペティションバージョンの625馬力の全出力が利用可能になる。
そのパワーは、非常に優れた全輪駆動システムを介して道路に伝達される。緊急時にのみ、フロントアクスルに引っ張られるが、これもスムーズかつ良好に機能する。
わずか3.2秒で、パワーGTはスタートから100km/hにまで加速し、最高速度は305km/hを発揮する。
併せて、平均燃費は許容範囲の9.3km/ℓだ。

M8は個別のチューニングが可能

M8グランクーペはあなたのその時の気分に合わせて先鋭化が可能だ。
Mモードボタンで、ロード、スポーツ、スポーツプラス、レーストラックのドライビングモードが選べるようになっている。エクストラシャープなレーストラックモードでは、インフォテイメント画面さえも真っ黒なままになる。余計な情報を見なくても良いように、だ。
さらに、ダンパー、ステアリング、ブレーキ、四輪駆動、エンジン、シフト特性の調整も可能だ。

そして、そのパフォーマンスの素晴らしさは数キロ走っただけで感じ取れる。
コンフォートモードでは、M8グランクーペは、アスファルト上で紳士のような挙動を示すが、それでも他のほとんどの車を圧倒するような走りを見せる。さらに、まるでレールの上に乗っているかのようなコーナリングが可能だが、タイトなコーナーでの高速走行時にのみ、1980kgの重さを隠せず、アンダーステア気味の挙動を見せる。
スポーツモードやスポーツプラスモードでは、エンジンはさらに貪欲にスロットルに反応し、加速時にリアエンドがわずかに振動することがある。
それでも正確なステアリングは、気持ちの良いレスポンスとともに、快適な走りを体験させてくれる。

M8はソフトからハードまで何でもできるように、チューニングは非常に細かいところまで調整することができる。

BMW M8グランクーペ コンペティションは、特にカントリーロードでの走りが楽しめるが、すでにすべての領域で、非常に俊敏で良くしつけられている8シリーズの兄弟車を凌駕している。
またボイスコントロールも非常によく機能しているが、ここはあえて古き良きi-Driveシステムのターンプッシュ式アクチュエーターがほしい。
また鎌の形をした鎌形のメーターパネルと、逆回転のタコメーターだけが、万人受けしないかもしれない。
少なくとも2,000万円近い価格には見合わないように思える。

力強いスタート。3.2秒で100km/hに到達し、最高305km/hを発揮するM8グランクーペ コンペティション。

テクニカルデータ
BMW M8グランクーペ コンペティション
• エンジン: V8ツインターボ • 排気量: 4395cc • 最高出力: 625PS@6000pm • 最大トルク: 750Nm@1800~5800rpm • 駆動方式: 全輪駆動、Mステップトロニック8速AT • 最高速度: 305km/h • 0-100km/h加速: 3.2秒 • 全長×全幅×全高: 5098×1943×1420 mm • 乾燥重量: 1980 kg • ラゲッジコンパートメント容量: 440リットル • 燃費: 9.3km/ℓ • CO2排出量: 244g/km
• Price: 165,000ユーロ(約1,980万円)より

BMWは、スポーティな8シリーズをM8グランクーペで拡大している。スポーティなGTは、ドライビングダイナミクスに優れているだけでなく、長距離を極めてリラックスして運転することができる。
3.03メートルのホイールベースのおかげで、全長5.01メートルのグランクーペの2列目には足元に十分なスペースが在る。しかし、ヘッドクリアランスは、身長1.85m以上の人には窮屈で、段差があるとすぐに楽しくなくなる。
BMW Mの最高の場所は、もちろん、ステアリングホイールの後ろだ。ドライバーズシートは、コーナリングの際にドライバーをしっかりと固定してくれるので、長時間の移動にも最適だ。ダイヤモンドステッチのシートはカラーも選び放題。
M8グランクーペは、気分に合わせてドライビングモードを選び、シャープに仕上げることができる。
また、車高調、ステアリング、ブレーキ、四輪駆動、エンジン、変速特性(イメージ)の調整も可能だ。
スタートボタンを押すと、M5でお馴染みの8気筒エンジンが息を吹き返し、雄叫びを上げながら「まもなくフルパワーが出ます」とディスプレーに報告する。そして1分弱で排ガス浄化システムが作動温度になり、4.4リッターのV8ツインターボがコンペティションバージョンの625馬力と750Nmの全出力を発揮する。
パワーは非常にリアヘビーな四輪駆動を介して道路に伝達される。車重があるので、タイトコーナーでは若干アンダーステア。
正確なステアリングは、非常に快適なドライビングを提供してくれる。BMW M8グランクーペ コンペティションは、すでに、俊敏で、よくしつけられた8シリーズの兄弟車をすべての面で凌駕している。
内装はとにかく豪華。昔のBMWのようにビジネスライクなところはなにもなく、加飾と、デザインに満ちている。2000万円の自動車なので、あたりまえといえばあたりまえではあるが。
どうにも感覚に馴染まないのが、このメーター。形も、デザインも、いまひとつ。さらに逆回転するタコメーターはあまりに残念。この部分だけは、どう考えても2000万円の自動車にそぐわない

Text: Wolfgang Gomoll
Photo: press-inform