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【このクルマなんぼスペシャル】 BHオークション@東京オートサロン2019

2020年4月17日

日本車、アメ車、ヨーロッパ車、そしてレーシングカーまで クラシックからネオクラシックまで 憧れのクルマオンパレード

クルマの価値は値段ではない、とは言ってもやはり価格は気になるもの。
オークションハウス、BHオークションは、東京オートサロンの一環として、2019年1月11日に人気の高い新旧クラシックカーのオークションを実施した。日本製だけでなく、レーシングカーを含む欧米の魅力的な宝石たちが登場した。
以下にオークションに出品されたクルマと落札価格をご紹介する。

オークションは、オドメーター66,432キロのホンダS800クーペ(1968)から始まった。この車は珍しい左ハンドル車で、ベルギー市場向けのモデルだった。847万円で落札された。
半世紀以上前には、この価格の十分の1くらいだったはずである。
このフォードGT40 Mk1のレプリカは2009年にスペシャリストであるスーパーパフォーマンスLLCによって作られた。米レースカーメーカーのホルマンムーディ製5.76リッターV8を搭載している。オドメーター上では、2,680マイル(約4,313km)走っている。1,120万円で落札された。
レプリカということもあり、そこそこの値段、という感じがする。まあ本物だったらゼロが一つ多くても買える値段ではないだろう。
このニッサン スカイライン オーテックバージョン(1992)は外と内の両側でレストが必要とされる。BNR32用ニスモ製220馬力RB26DETTエンジンを搭載する。ギアボックスならびに四輪駆動システムがチューンナップされている。297万円で落札された。
かなり珍しい4ドアセダンモデルだが、どうやら程度が悪かったようだ。
このニッサン スカイラインGT-R(2002)は1,000台作られたR34の1台であり、300台作られたN1エンジンを搭載した「ニュルスペック」の1台でもある。オドメーター上は4,000キロとなっている。2千420万円で落札された。
希少価値と、クルマの程度が良いこと、さらに走行距離がとびきり少ないことの相乗効果だろう。
HKSゼロR(1993)。日本の大手チューナー、HKRの作ったゼロRは600馬力を有する2.7リッターエンジンを搭載している。あらゆる場所にスペシャルエアロパーツが採用されており、重量配分改善のため、燃料タンクはフロントシートの後ろに配置されている。4台製造されたうちの1台だ。1,650万円で落札された。
こういうチューンされた車にも高値がつくのが、GT-Rの世界なのである。
この1972年ニッサン スカイライン2000GT-Rは長い年月を納屋の奥で過ごした。しかし完璧にオリジナルなコンディションだ。オドメーター上は22,200キロとなっている。1,760万円で落札された。
さすがにもはや伝説の一台となりつつある車だけに、価格は妥当なものだといえるだろう。
このマツダ コスモ スポーツは後期モデルだ(1969)。ロングホイールベースと前期モデルよりパワフルなエンジンを備えている。新しく塗装されたことをのぞけば、オリジナルコンディションで、整備記録も備わっている。770万円で落札された。
意外と高値になりすぎることもなく、妥当な(というか意外と安いな)という金額である。
シャシーナンバーKSF W00 0J011はケーニッヒによってリビルトされた希少なフェラーリ308だ。フェラーリのスペシャリストによって検査され、状態は良好だと判断された。レカロシートが装着されている。1,430万円で落札された。
ケーニッヒは懐かしい名前ではあるが、その当時の雰囲気を残した一台。昔はこの手のクルマが街を闊歩していたものである(バブル時代に)。
このフェラーリF40は1990年に日本に輸入されたワンオーナーなものだ。
2017年には、フェラーリクラシケ(Ferrari Classiche)からの真正性の証明書を受けている。このオークションに出品される少し前に、レストレーションも施されている。1億2,100万円で落札された。
F40はいつの時代もヒーロー。ワンオーナーというのも評価が高い。それにしても1億円超えの値段にそんな違和感を覚えなくなってしまっているのは、ちょっと感覚がマヒしているのかも…。
ケーニッヒからの2台目のフェラーリはこのテスタロッサ(1987)だ。パワーは2基のターボによって、800馬力にまでアップされている(オリジナルモデルの日本仕様は380馬力)。3,135万円で落札された。
これもケーニッヒだが、テスタロッサの特徴あるドアルーバーがないと、妙にすっきりというか、迫力に欠けるような気もする。
このフェラーリ328GTB(1987)は、文字通り納屋の隅で見つけられた1台だ。走行距離はたったの769キロ。2,090万円で落札された。
769キロしか走っていない個体なのに、2090万円とは…。かなり安いように感じてしまうのだが…。ホイールなども完全オリジナルだし、程度もよさそうだ。
BHオークションによれば、このフェラーリ308GTB(1979)は、レストアのベース用としての出品だそうだ。したがって、錆がところどころにある。しかし、走行には問題ないとのこと。616万円で落札された。
え?オークションにかけられたフェラーリがたったの600万円と思ってしまうのは私だけだろうか。それとも購入後に手を加えなければならないということを考慮した上での値段だろうか…。いずれにしろフェラーリも、買う気になれば買える、ということか(購入後の苦労とともに??)。
と思ったら、こっちはもっと安かった。(笑) これはフェラーリ モンディアルT(1989)のプロトタイプで、縦置きに搭載されたフェラーリ348の3.4リッターV8によって駆動される。418万円で落札された。
もはやこの値段だと、新型アコードは新車で買えず(460万円)、シビックにオプション付けて諸費用つけた値段である(笑)。
多くの日本車ファンの人気モデルの1台、トヨタ スポーツ800(1965)だ。この日のために内外ともに大幅にレストアされている。660万円で落札された。
いいねえ、ヨタハチ。原寸大ミニカーとしてどうだろう?
このニッサン スカイライン オーテックバージョン(1992)には、多少のメンテナンスが必要だ。備わっているATはオリジナルなものとは異なる。132万円で落札された。
いうまでもなく、GT-Rではなく、普通のスカイラインである。
セカンドジェネレーションMG Bだが、その年齢を感じさせない状態だ。1980年モデルのMG Bは初期モデルのバンパーに変換され、スポークホイールが取り付けられている。121万円で落札された。
新型ダイハツ ミラ イースと同じくらいの価格なので、比較的購入しやすい値段と言える。
以下、残念ながら新しい飼い主(オーナー)の見つからなかった可哀そうなクルマたちだ。
このトヨタ ミニエース(1973)は3.9メートルの非常に小さな回転半径を有していた。50年近くワンオーナーに大切にされていた。エンジンは36馬力の空冷2気筒。最低希望価格の80万円には届かず、落札されなかった。
残念な気もするが、さすがにニッチなカテゴリーなのである。
このクルマ、ぱっと見で、なんだかわかりますか? オールドニッサンファンにとって、ブルーバード、サニー、フェアレディ、そしてスカイラインはヒーローだったが、これは約60年前のモデル、ダットサン ブルーバード(1962)だ。一けた台の登録ナンバーによって、このクルマが最初期の1台だということがわかる。最低希望価格は100万円だったが、落札されなかった。
前掲のダットサン ブルーバードよりも2年古い、ちょうど60年前のモデル、ダイハツ ミジェット(1960)だ。「街のヘリコプター」という愛称を持つ。その理由の1つは、18馬力の単気筒2ストロークエンジンサウンドに由来したものだった。最低希望価格は250万円だったが、落札されなかった。
ここまでくると、明らかに実用にはならないから、欲しい人だけがそっと買うような、そんな需要しかないだろう。
1964年のダットサン フェアレディ1500(SP310)だ。奇妙な感じの左向き後部座席の備わった3人乗りスポーツモデルだ。1500cc4気筒エンジンはオリジナルのままで、フェンダーは他のものと交換されている。最低希望価格は300万円だったが、落札されなかった。
価格は高いとも言えないが、人気と程度の問題だったのかもしれない。
スーパーGT参戦マシン、タイサンンフクシマ アウディR8 LMSウルトラは、岡山インタショナルサーキットでおこなわれた、2016年の第1戦に参加して戦った。最低希望価格は600万円だったが、落札されなかった。
この手のクルマも実物大ミニカーとして購入する覚悟がないといけないので、安いからといってうかつに手を出せるものでもない。
このダッジ ヴァイパー(2003)はUSフォームラードリフトで、デモンストレーション用として使われたクルマだ。最低希望価格は800万円だったが、落札されなかった。
このホンダS800(1969)は、後期モデルでリジットアクスル仕様だ。70馬力791ccエンジンは最高速度160km/hを発揮した。最低希望価格は450万円だったが、落札されなかった。
程度はいいようだが、やはり価格がネックとなったのかもしれない。
この真っ赤な公道用F1レーサーは、2007年製カパロ(Caparo)T1だ。最高速度322km/hマシンの乾燥重量はたったの470kgだ。最低希望価格は2千2百万円だったが、落札されなかった。
さすがにこの車を街で見たことはないし、自動車雑誌などでインプレッションを行っているのも記憶にない。知名度にかけたのか??
このポルシェ911R(2016)はオークション用にドイツから直輸入されたものだ。トータルの走行距離はゼロ! 限定生産された991台のうちの181番目の個体だ。最低希望価格は3千5百万円だったが、落札されなかった。
どんな限定ものでも高価に評価され売買されるかというと、そんなことは決してないという一例だ。
このフェラーリ308GTB(1979)のオリジナルカラーはイエローだったがシルバーに全塗装された。オークションハウスによれば、このクルマは有名なマツダコレクションの主有していたもので、すばらしいコンディションを保っているという。最低希望価格は1千万円だったが、落札されなかった。
史上もっとも美しいフェラーリと称される308、シルバーの全塗装がマイナスに作用したのだろうか…。
このシルバーのポルシェ カレラGT(2004)は、6490キロしか走行していない。シャシーナンバーは0286。最低希望価格は8千万円だったが、落札されなかった。
意外と存在が地味だったことと、やはり最終的には価格がネックになったのだろう。
このメルセデス300SLガルウィング(1955)は、AMGによって近代化(restmod)された11台のうちの1台であり、2台しかない右ハンドル仕様のうちの1台という希少な個体だ。6リッターV8 M119エンジンが搭載されている。ワンオーナーもので、最低希望価格は1億3千5百万円だったが、落札されなかった。
おそらく、完全なオリジナルではない、ということが落札されなかった理由であろう(ミラーやホイールが、オリジナルの良いところをかき消してしまっていると思う)。
戦後、三菱は、このウィリスジープCJ3Bを、ライセンスを得て製造した。この1959年製のシープは1ケタ台の登録ナンバーを持つ希少な個体だ。最低希望価格は180万円だったが、落札されなかった。
さすがに好事家でなければ、このクルマを気安く買うべきではないし、買う気にはなれないだろう。歴史の証人としては貴重だが…。
走行距離6万7千キロのフォード シェルビーGT500(2014)だ。スーパーチャージャー付の5.4リッターV8から671馬力を発揮する。最低希望価格は400万円だったが、落札されなかった。
過走行と、価格がネックだったのか??
このニッサン スカイライン2000GT-R(1972)はほぼ完全にオリジナルで、RS渡辺ホイールを装着している。最低希望価格は1,800万円だったが、落札されなかった。
グループAで活躍した共石 スカイラインGT-R GP-1 プラス(1993)。ボディとサスペンションとブレーキは最近レストアされた。新品のエンジンは600馬力というパワーを発揮する。最低希望価格は4,500万円だったが、落札されなかった。
同じく1972年のニッサン スカイライン2000GT-Rだ。エンジンとサスペンションは改訂され、改造されたオイルクーラーによってレースも可能になっている。最低希望価格は1,900万円だったが、落札されなかった。
改造されたことが、オリジナルよりも評価を下げてしまっているし、値段もちょっと高価だ。
このニッサン スカイライン2000GT-R は1971年に生産ラインからロールオフした。スポイラーとブラックスチールホイールはニッサン製だ。最低希望価格は1,400万円だったが、落札されなかった。
197台しか作られなかったKPGC110ケンメリ(ケンとメリー)スカイライン。そのうちの7台がレッドで、その1台がこのクルマだ。1973年製で、15,000キロしか走っていない。最低希望価格は7,500万円だったが、落札されなかった。
さすがにこの値段まで行ってしまうと、なかなか買い手はつきにくいだろうし、希少価値とはいっても難しい領域になってしまう。
パーフェクトとは言えないまでも、このニッサン スカイライン2000GT-R はグッドコンディションにあるとオークションハウスは保証する。最低希望価格は1,800万円だったが、落札されなかった。
BHオークションによれば、このホンダS600のボディとフレームは修正されているとのこと。最低希望価格は500万円だったが、落札されなかった。
修正がいけなかったのか、値段なのか。はたまたボディカラーだろうか。
アテンションプリーズ! とてもレアな1台だ。このニッサン240RSは、グループBで争われていたWRCに参戦するために開発した、ラリー競技専用のホモロゲーションモデルで作られたのはたったの20台。これはそのうちの1台だ。1983年製の240RSは585キロしか走行していない。240馬力エンジンを備える。最低希望価格は900万円だったが、落札されなかった。
このHKS TFカミカゼRスーパーソニック(2008)は富士スピードウェイのスピード記録を樹立したマシンだ。4.1リッターエンジンは1063馬力を発揮する。強化されたギアボックスがそのマックスパワーに対処する。240馬力エンジンを備える。最低希望価格は1,800万円だったが、落札されなかった。
このフェラーリF512Mの走行距離は4,510キロ。スペシャリスト、アイディングパワーによってメンテされ、特製ホイールとエグゾーストシステムを備える。最低希望価格は2,800万円だったが、落札されなかった。
バストスBMW320st(1995)はBMWのファクトリーチームマシンだ。1995年のニュルブルクリンク24時間耐久レースに優勝し、1996年と1997年には2年連続でスパフランコルシャン24時間耐久レースも勝っている。最低希望価格は2,500万円だったが、落札されなかった。
コレクター向けのもう1台はこのプリンス スカイラインスポーツ(1964)だ。ミケロッティのデザインしたファンタスティックな美しいエキステリアデザインで、ボディはほぼ手作りだ。33台のみ作られたうちの1台だ。最低希望価格は3,000万円だったが、落札されなかった。
安いような、高いような、ちょっと判断に困る価格ではあるが、珍しいクルマであることだけは確かである。
このニッサン フェアレディZ432(1971)には現行スカイラインGT-Rと同じ伝説のS20エンジンが搭載されている。419台が作成された。最低希望価格は1,500万円だったが、落札されなかった。
三菱ギャランGTO MRは835台しか作られなかった希少モデルの1台だ。ボンネットの下には125馬力1.6リッターエンジンが搭載されており、最高速度200km/hを発揮した。最低希望価格は200万円だったが、落札されなかった。
そこそこの価格ではあるが、欲しい人はすでに持っているのかもしれない。
もう1台出品されたトヨタ スポーツ800だ。大幅にレストアされている。
最低希望価格は500万円だったが、落札されなかった。
こちらも2台出品されたうちの1台、作られた1270台中シャシーナンバー1116を有するポルシェ カレラGTだ。最低希望価格は5,800万円だったが、落札されなかった。
2台とも落札されなかったということは、やはりカレラGTは地味で、人気が今ひとつなのかもしれない。
オプションのボラーニ製スポークホイールとアンサー製エグゾーストシステムを備えたフェラーリ330GTC(1967)だ。エアコンも備わっている。600台が作られた。最低希望価格は7,000万円だったが、落札されなかった。
どんな330GTCでも右から左に売れる、という時代ではないのだろう。
このMG B(1967)は普通に見えるが、まったく使われていなかった標準ボディを使って、1999年にリビルトされたものだ。最低希望価格は2,500万円だったが、落札されなかった。
程度はとびきりよさそうだが、さすがに値段がネックだったと思われる。
このホンダS600(1965)は2012年にレストアされたものだ。オークションハウスによれば、コンディションはとても良いとのこと。最低希望価格は450万円だったが、落札されなかった。
エスロク、ヨタハチと並んで歴史的な一台だ。

編集部注:
こうしてみると、多くのクルマが落札されなかったということは、日本にはまだ、自動車のみならず、高級品のオークション文化というものは根付いていないのかもしれない。
魚貝や果物とかの競りは盛んで、マグロ1匹、1億円以上で競り落とされるという競りの文化は古くからあるにもかかわらず…。
実に不思議なものだ。

Text: autobild.de
Photos: BH Auction