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【ついにオフィシャルデビュー!】新型ポルシェ911 GT3 RS(992)デビュー 公道のレーシングカーの全情報! 20枚の画像とともにレポート

2022年8月20日

ワイルドなエアロとDRSを搭載した新型ポルシェ911 GT3 RS。4代目となる今、ポルシェはあらゆる手段を講じてGT3 RSを刷新した。992 GT3 RSほど、「公道用のレーシングカー」という言葉が似合うクルマはないだろう!

他に何があるだろうか?2021年初頭、ポルシェが現行の「GT3」を発表したとき、私たちはこのような疑問を抱いた。510馬力、リアクスルステアリング、グースネックリアウィングにサスペンションなど、実はほとんど改良の余地がなかった。しかし、ポルシェはまたしても私たちの間違いを証明してくれた。

「顧客はもっと過激なものを求めていた!」と、ポルシェのGT部門の責任者であるアンドレアス プレウニンガーは、話の冒頭でそう説明する。「GT3 RS」は、さらに妥協のないものとなった。「992」プラットフォームを公道走行可能な究極のサーキットツールとするために、ポルシェはその奥深くに手を入れた。

GTのボス、アンドレアス プルーニンガーがAUTO BILD編集部のヤン ゲッツェに新型GT3 RSの詳細を説明した。

911シリーズに野暮ったいものはない

最も大きな技術的変化は、冷却コンセプトに関するものだ。新型「GT3 RS」では、3つのラジエターではなく、車体前方に斜めに配置された中央のラジエターを採用している。レーシングブラザーズの「911 RSR」や「911 GT3 R」にも採用されている部品だ。この過激な措置にはデメリットもあり、公道認可を受けた最も過激な「992」には、もはやトランクルームがないのだ。荷物は標準装備のフルシェルシートの後ろにしか収納できないので、次のアルパイントリップは軽装で行くことになる。

ラゲッジスペースの不足はトラックツールとしては我慢できるもので、メリットはデメリットを明らかに上回っている。センターラジエターを採用したことでサイドにできたスペースに、エンジニアはフロントに無段階調整可能なウィングエレメントを取り付けることができた。これは、巨大なリアウィング(市販の911で初めてルーフ上に突出した)を考えると、必要不可欠なものだ。こうして「GT3 RS」は、200km/hで409kg、285km/hで860kgのダウンフォースを発生し、プレウニンガーの言葉を借りれば、「285km/hでは、屋根に2頭の馬が乗っている」ことになるのだ!

先代に比べ、「GT3 RS」は2倍、さらには現行の「GT3」の3倍ものダウンフォースを実現している。信じがたいことだが、アクティブエアロにより、新型「GT3 RS」は特定の条件下ではスリックタイヤを履いた「GT3 Cup」マシンよりも高いコーナリングスピードを達成するとさえ言われている。

DRSを標準装備

そして、肝心なエアロダイナミクスの話だ。ポルシェは初めて市販車にDRSを採用、装備した。DRS(ドラッグリダクションシステム)は、電子制御によって可動型エアロパーツの働きを弱め、空気抵抗による抗力を低減するシステムで、2011年からF1マシンに導入されている。ステアリングホイールのボタン操作でXXLサイズのウィングの上部を油圧で平らにすることができ、緊急ブレーキ時には時速200kmからの制動距離を約2.5m改善するとされるエアブレーキ機能も備えている。まさにポルシェのレーシングに対する本気度が伝わってくる。

GT4 RSよりもさらに過激になった空力デバイス

ナンバープレートを外した「GT3 RS」が24時間レースのスターティンググリッドにいても違和感はない。「マクラーレン セナ」を除けば、ロードカーでは他に類を見ない特大のリアウィングを備え、そのビジュアル的なハイライトはホイールアーチの窪みである。フロントとリアのホイールアーチには、「911 GT1」を彷彿とさせる凹みが設けられてあり、ホイールアーチ内の動圧を確実に減少させる。サイドブレードは、空気を効果的に車体側面へ誘導する。

この壮大な装備のために、ポルシェは「GT3 RS」のために新しいドアを設計しなければならなかった。カーボン製で8~9kgの軽量化を実現したという。ドアハンドルは折り畳み式から、グリップハンドルになった。

GT4 RSよりも起伏が激しくなっているボディサイド。RSロゴのフォントも新しくなっている。

また、外装色に「アイスグレーメタリック」を新たに採用し、写真車両ではレッドアルマイトの鍛造ホイールを装着している。鍛造ホイール2種類とマグネシウムホイール1種類の計3種類のホイールから選ぶことができ、もちろん人目を引く色でないものもオーダー可能だ。また、50周年を記念して、「RS」のロゴも変更されている。よく見ると、「RS」のフォントが新しくなっていることに気づく。

一見すると珍しいルーフの左右にあるフィンは、見せ物ではなく、目的を果たすためのものだ。センターラジエターからの空気は、フロントボンネットに設けられた巨大なアウトレットを通ってルーフ上を流れる。このフィンは空気を外側に向けるため、吸気温度を低く抑えることができるようになっている。プレウニンガーは、「もしフィンがなかったら、20馬力ほどパワーが落ちてしまう」と説明する。

4.0リッター自然吸気エンジンのまま

そして、パワーの話だ。リアには、「GT3」や「GT4 RS」でおなじみのエモーショナルな4.0リッター6気筒ボクサーを搭載し、ポルシェは再び改良を加えた。エアインテークの改良とカムシャフトのシャープ化(プレウニンガーによれば、6000rpmからはっきりわかるようになる)により、「GT3 RS」は「GT3」より15馬力アップの525馬力を発生するようになっている。「現在の排ガス規制では、4.0リッターではこれ以上のことはできない」とプレウニンガーは言う。

中央に巨大なラジエターがあるためトランクスペースはない。荷物はフルシェルシートの後ろに収納する必要がある。

先代同様、最新の「RS」世代はPDKのみの設定だ。1450kgの「GT3 RS」は、0から100km/hまで3.2秒、200km/hまで10.6秒で加速する。最高速度は296km/hと、歴代「GT3 RS」の中では最も遅い。

なによりも、新型「GT3 RS」は高速道路ではなく、サーキットがホームなのだ。最大限の性能を引き出すために、開発者はダブルウィッシュボーン式フロントアクスルの構成部品をドロッププロファイルとして設計し、フロントアクスルのダウンフォースを増加させている。広いトレッド(911 GT3比で29mm増)のため、ダブルウィッシュボーン式フロントアクスルのコントロールアームは長くなり、同時にマルチリンク式リアクスルのスプリングレートも調整された。

多くの調整スイッチを持つ新しいステアリングホイール

ステアリングホイールの回転操作により、「Track」モードでは後軸のクロスロックを調整でき、さらに前後軸の圧縮・伸縮ダンパーを個別に調整することも可能となっている。また、各タイヤのタイヤ温度も初めて個別に記録・表示されるようになっている。

GT3 RSのコックピットは、GT3からほぼ受け継がれている。例外は、ステアリングホイールのノブが1つから4つになったことだ。

GT3 RSのステアリングホイールは、4つのロータリーコントロールとDRSボタンで構成され、まるでレーシングカーのようなデザインとなっている。991.2 GT3 RSで非常に人気の高い「ヴァイザッハ パッケージ(50%以上の受注率)」をオプションで注文すれば、なおさらだ。ボンネット、ルーフ、ミラーキャップ、ウィングブレードがビジュアリーカーボンで仕上げられただけでなく、コックピットにもレーシングのテイストが盛り込まれている。また、「GT3 R」から採用された大型のマグネティックシフトパドルもパッケージの一部となっている。それだけではない。クラブスポーツパッケージに含まれるロールケージは、「ヴァイザッハ パッケージ」ではカーボン製となる。

フルバケットシートは標準装備、ケージはクラブスポーツパッケージで選択可能。

GT3 RSはGT3より5万ユーロ(約700万円)高い

新型「GT3 RS」は現在、ベース価格229,517ユーロ(約3,200万円)で注文を受け付けており、「GT3」に対してほぼ5万ユーロ(約700万円)のプレミアムがついている。運が良ければ、最初の顧客車両は2022年内に納車されるはず。「GT3 RS」には限定台数がないとはいえ、入手は難しいかもしれない。最後に、もうひとつだけ疑問が残る。キーワードは「GT2 RS」だ。プレウニンガーはこの質問に対して、「GT3 RSはドライビングダイナミクスの面で究極の「992」になる」と回避的に答えている。

フォトギャラリー: ポルシェ911(992)GT3 RS

GT3 RSはさらに妥協を許さない存在になる!「992」プラットフォームを公道走行可能な究極のサーキットツールとするために、ポルシェはそのバッグの奥深くに手を入れた。
最も大きな技術的変化は、冷却コンセプトだ。新型「GT3 RS」では、従来の3基のラジエターに代わり、車体前方に斜めに配置されたセンターラジエターを採用している。レーシングブラザーズの「911 RSR」や「911 GT3 R」にも採用されている部品だ。
この過激な措置にはデメリットもあり、公道認可を受けた最も過激な「992」には、もはやトランクがないのだ。
メリットがデメリットを明らかに上回っているため、トランクルームの不足はトラックツールとしては許容範囲内だ。センターラジエターを採用したことにより、サイドのスペースが広くなった分、フロントには無段階に調整可能なウィングエレメントを装着することができた。これは巨大なリアウィングを考えると、必要不可欠な要素である。
「GT3 RS」は、200km/hで409kg、285km/hで860kgのダウンフォースを発生させることができる。そして、エアロダイナミクスだ。ポルシェは初めて市販車にDRSを装備した。ステアリングホイールのボタン操作で、XXLサイズのウィングの上部を油圧で平らにすることができ、急ブレーキ用のエアブレーキ機能も備えている。
ナンバープレートを外した「GT3 RS」が24時間レースのスターティンググリッドにいても違和感はない。ロードカーでは類を見ない特大サイズのリアウィングをはじめ、ホイールアーチのくぼみなどが視覚的なハイライトとなっている。
「GT4 RS」ですでに分かっていることを、ポルシェは「GT3 RS」で極限まで高めている。フロントとリアのホイールアーチの両方には、「911 GT1」を彷彿させるインレットがホイールアーチ内の空気圧を確実に減少させるようになっている。サイドブレードは、空気を効果的に車体側面へ誘導する。
この空力パーツのために、ポルシェは「GT3 RS」のために新しいドアを設計しなければならなかった。カーボン製で8~9kgの軽量化を実現したという。ドアハンドルは折り畳み式から、グリップハンドルになった。
外装色に「アイスグレーメタリック」を新たに設定し、写真車両はレッドアルマイトの鍛造ホイールを装着している。もちろん、あまり目立たない色で注文することも可能だ。
リアには、「GT3」や「GT4 RS」でおなじみのエモーショナルな4.0リッター6気筒ボクサーエンジンを搭載し、ポルシェは再び改良を加えた。エアインテークの改良とカムシャフトのシャープ化(プレウニンガーによれば、6000rpmからはっきりとわかる)により、「GT3 RS」は「GT3」より15馬力アップの525馬力を発生するようになった。
先代同様、最新の「RS」世代はPDK専用モデルも用意されている。1450キロの「GT3 RS」は、0から100km/hまで3.2秒、200km/hまで10.6秒で加速することができる。最高速度は296km/hと、歴代「GT3 RS」の中では最も遅い。
ステアリングホイールの回転操作により、「Track」モードでは後軸のクロスアクスルロックが調整でき、さらに前後軸の圧縮・伸縮ダンパーを個別に調整することも可能だ。また、各タイヤのタイヤ温度も初めて個別に記録・表示されるようになった。
「GT3 RS」のステアリングホイールは、4つのロータリーコントロールとDRSボタンで構成され、まるでレーシングカーのようなデザインだ。991.2 GT3 RSで非常に人気の高い「ヴァイザッハ パッケージ(50%以上の受注率)」をオプションで注文すれば、なおさらだ。
新型「GT3 RS」は現在、ベース価格229,517ユーロ(約3,200万円)で注文可能で、「GT3」に対してほぼ正確に5万ユーロ(約700万円)のプレミアムとなっている。運が良ければ、2022年内に最初の顧客車両は納車され、「GT3 RS」は台数制限がないとはいえ、手に入れるのは難しいだろう。

結論:
ポルシェがまたやってくれました。新型「GT3 RS」には、文字どおり最高級のモータースポーツ技術が搭載されている。DRS、フルアジャスタブルサスペンションなど、この価格帯では、他では手に入らないものばかりだ。ポルシェがいまだに4.0リッター自然吸気エンジンにこだわっているのは、その表れなのだ。あー初テストが待ち遠しい!

Text: Jan Götze
Photo: Porsche AG / autobild.de