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【このクルマなんぼ?】20年落ちの7シリーズ 日本から故郷に戻ってきたバイエルン製トップサルーン BMW 745i そのお値段は?

2022年6月15日

20年前のBMW745iを年式相応の状態で販売中。BMWの中でもE65は、必ずしもBMW7シリーズの中で最も人気のある世代ではない。しかし、年式相応のコンディションの、このダークグリーンの個体は、検討する価値ありだ。

「E65」世代の「BMW 7シリーズ」の道のりは、決して楽なものではなかった。2001年には、今でも多くのファンが最も美しいと認める「7シリーズ」、「E38」からトップモデルとしての位置を受け継いだ。クラシカルなスタイルの先代に比べ、4代目の高級サルーンの姿は、まるでUFOのように妙な形をしていた。そんな「E65」のデザインは、現在でも論争の的となっている。eBayでは、2002年に製造された「745i」のうち、走行距離がわずか13,988kmの特によく整備された車両が出品されている。日本からの逆輸入品だ!

外装色「オックスフォードグリーン2メタリック」の「BMW 745i」は、2002年3月20日に工場を出発し、その後ほとんど運転されていないため、初度登録から20年経過した実質的に年式通りの状態のサルーンである。

外観のコンディションの良さは、写真からもよくわかる。塗装にダメージはなく、上質なベージュの内装は新品のようにきれいだ。広告には、下回りの写真も添付されており、ここでも全体像の良さが確認できる。

ノーブル: 「オックスフォードグリーン2メタリック」とベージュの「ナスカ」レザー張りの組み合わせは、時代を超えたシックな雰囲気を醸し出している。

売主の説明によれば、この「7シリーズ」は無事故・無塗装であるだけでなく、適正なメンテナンスが施されているとのことだ。最終点検は、2021年にBMW正規ディーラーによって行われ、その際に全てのエンジンオイルやブレーキオイルなどすべての油脂類が交換され、フィルターやスパークプラグも交換された。そのため、BMWは理論上、購入後すぐにでも使用することができる状態だ。

BMW 745i 4.4リッターV8搭載車

「E65」は、2001年から2008年にかけて製造された「7シリーズ」の4代目である。新しいミレニアムの始まり、「E65」はBMWに新しいデザインの時代をもたらし、それは「5シリーズ(E60/E61)」、「6シリーズ(E63/E64)」へ受け継がれて行った。しかし、当時のチーフデザイナー、クリス バングルによるデザインは、熱狂的なBMWファンにはあまり受け入れられず、現在でも賛否両論ある。

「7シリーズ」は全体的にがっしりした外観に加え、トランクリッドを押し付けたようなリアエンドが何度も批判された。海外での販売台数は好調だったものの、2005年春のLCIモデルでは外観がトーンダウンした。フロントの「目の下の袋」や付属のトランクリッドを可能な限り隠したのだった。

未修正のまま。この7シリーズには、大きなリプロダクトホイールや4本出しのエキゾーストは見当たらない。小さなライセンスプレートの窪みから、日本からの逆輸入品であることがわかる。

「E65」のエンジンレンジは、高級サルーンにふさわしいものだった。市場導入時には、「735i」と「745i」という、2種類の8気筒エンジンモデルがあり、それぞれ272馬力と333馬力を発揮した。その後、「730i」には直列6気筒(231馬力)、トップモデルの「760i」には445馬力のV12ディーゼル仕様が搭載されるようになった。

さらに、2002年春からはホイールベースを14cm延長したロングホイールベース仕様も用意された。その後、フェイスリフトモデルでは、外観だけでなく、エンジンレンジも見直された。

2008年末、「E65」はよりスリムな外観の「F01」に置き換わられた。現在でも4代目「BMW 7シリーズ」については意見が分かれており、それは好条件の中古車価格にも表れている。

7シリーズは、もともと日本に納品されていた

出品者が日本から持ち帰った「BMW 745i」に話を戻そう。14,000kmという低走行距離と完璧なオリジナルコンディションに加え、この大きなBMWは豊富な装備で魅了する。

電動サンルーフ、リアローラーブラインド、電動調整式コンフォートシート(ベンチレーション&ヒーター付)、リアシートヒーター、パーキングエイド、レインセンサー、キセノンライト、TV付「プロフェッショナル」ナビゲーション、EDC、電動テールゲート、6CDチェンジャーなどがそのハイライトだ。

新品同様: 明るい色の内装は、摩耗が見られず、まるで新品のようだ。

このように装備された「745i」は、新車当時、88,380ユーロ(約1,230万円)という価格だった。20年後、14,000キロ未満で、この「745i」、たった22,900ユーロ(約320万円)で手に入るのだ。この「E65」は、約75パーセントの値下がりにもかかわらず、最も高価な一台であると同時に、おそらくこの程度の良さを持つものの中では最も入手しやすい一台でもある。

E65の中古車は2,000ユーロ(約28万円)以下で手に入る

価格比較では「E65」の価格は底値だ。一番安いクルマはすでに2000ユーロ(約28万円)を切っている。ただし、原則として部品提供用のクルマとしてしか使用できないか、最初から輸出用として申告している。「7シリーズ」は昔も今も長距離を走るクルマとして使われることが多いため、今回のような走行距離の少ない車両は希少だ。

10万km未満の「E65」は、なかなか見つからない。たとえそうであっても、1万ユーロ(約140万円)からという価格で売り買いされている。検証可能な履歴を持つ完全装備の最高級品でさえ、現在では例外的に3万ユーロ(約420万円)を超えるだけである。そんな中、333馬力のV8を搭載した今回の「745i」は、確かにお買い得と言えるかもしれない。

【ABJのコメント】
もしAuto Bild Japanの愛読者の方で、この「E65」大ファンの方がいたら最初に謝っておくが、歴代の「BMW 7シリーズ」の中で、一番不格好なモデルは、この「E65」の初期モデルなのではないだろうか。このモデルが発表された当初、とある自動車専門誌の記者は苦し紛れに、「竹とか妙な素材で作られた変な格好の眼鏡あるでしょう? ああいう感じのデザインですよね」となんとも巧みな比喩表現をしていたのであった。結局大幅マイナーチェンジで整形手術を受けたものの、やっぱりこの「E65」に関しては、最後までゲテモノ(大変失礼)感を感じてしまう、そんな一台だった。

だってBMWといえば都会的でスマートで格好いい乗り物じゃないですか! そんな中でも「7シリーズ」は私の大好き(大好きなんですよ)なセダンの一つで、いつかは乗ってみたいものだと思っているし、少なくともライバルである「メルセデスベンツSクラス」よりセンスの面では、上回っていると常に認識している。そんな「7シリーズ」なのに、この「E65」ときたら、「クリス バングル、どうしちゃったの?」と、当時は愕然としたことを思い出す。

今になってみればトランクリッド部分の処理などは革新的なデザインであり、おそらくトヨタの「マークX」あたりがこの部分に関してはお手本素材にした感じもする。そういう意味では、やはりクリス バングルは先見の明があったとは言えなくもないが、あのライトとアンバーなウインカーレンズの部分に関してはやっぱりなんだか妙に見えませんか? 皆さん、どうですか??

そんな「E65」の特上程度の一台、しかも日本で(きっと丁寧に)乗られた一台が320万円。うーん、320万円ですか・・・。内容は悪くないし、程度は極上みたいだけれど、20年前の(しかもE65)、「7シリーズ」にこの金額を出すかと聞かれたら・・・。申し訳ない、他の人にこのラッキーチャンス譲ります。本当に地球上のすべての「E65」ファンの方にはごめんなさい、ですが。(KO)

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: eBay/wasataszpilka