【初テスト】新型レクサスNX450h+に初試乗 日本製プレミアムSUVは、ドイツのプレミアムSUVたちを打ち負かすことができるのか?
2022年5月23日
新型NX 450h+は、トヨタの高級車ブランドであるレクサス初のプラグインハイブリッド車である。果たしてこの魅力的なSUVは、ドイツのプレミアムサプライヤーを打ち負かすことができるのか?
新型「レクサスNX」の登場だ。グリルはワイルドなギザギザで巨大なもの-それが際立っている。そんな、「NX」がターゲットとしているのは、「Q5」、「X3」、「GLC」といった、わりと行儀のいいドイツのプレミアムSUVたちだ。
外寸はほとんど変えることなく(全長と全幅をそれぞれ2センチずつプラス)、95%の部品を新しくしたと、レクサスは語る。フロントとリアのスペースは、特に広くはないが、このクラスでは他車のほうがもっと広い。トランクも545~1436リットルと平均以下であり、また許容牽引力も1.5トンと比較的少ない。
インテリアの雰囲気もいい
レクサスの強みは、明らかに別のところにある。「NX」は、エレガントなインテリア家具を備え、また、丁寧で綿密な仕上げが施されているのだ。船内の雰囲気がいい。メーターは視覚的に素晴らしく、見やすく、多くの情報を提供し、14インチの巨大なタッチスクリーンのメニューは、非常に広範囲ではあるが、よく構成されている。
ステアリングホイール上の神経質で多項目のセンサーボタンには、少し慣れが必要だ。また、ボタン操作で電動ロックが解除されるドアも特徴的で、最初は少し違和感があるが、その後はとても快適だ。
【車両データ】
モデル | レクサスNX 450h+ |
エンジン | プラグインハイブリッド、4気筒ガソリンエンジン、フロント横置き、電動モーター 前後に1基ずつ |
排気量 | 2487cc |
システム最高出力 | 309PS |
最大トルク | 227Nm@3200rpm |
最高速度 | 200km/h |
駆動方式 | 全輪駆動、無段変速機(E-CVT) |
全長/全幅/全高 | 4660/1865/1670mm |
ホイールベース | 2690mm |
ラゲッジルーム容量 | 545~1436リットル |
0-100㎞/h加速 | 6.3秒 |
テスト時平均燃費 | 11.7㎞/ℓ |
基本価格 | 60,300ユーロ(約844万円)より |
テスト車価格 | 69,700ユーロ(約975万円)より |
「NX」には、244馬力のクラシックハイブリッドである「350h」と、今回テストしたプラグインハイブリッドである「450h+」が用意されている。システムは、185馬力の2.5リッター4気筒ガソリンエンジンと、フロント182馬力、リア54馬力の2基のeモーター、18.1kWhのリチウムイオン電池、そしてもちろんトヨタの遊星ギアボックスで構成されている。そして全輪駆動は、リアアクスルに搭載されたeモーターで実現されている。
純電動で56kmの走行が可能
システム出力は309馬力で、6.6kWでバッテリーの充電が可能だ。電気のみでの走行では、NXは56kmを走行し、静かでスムーズな走行を実現した。ガソリンエンジンが加わると、トヨタが常に改良を続けているハイブリッドシステムは、アクセルに対する反応がかなり早くなり、うまくドージングでき、切り替えもスムーズになっている。
レクサスNX 450h+の試乗記
結論:
新型「レクサスNX」は、「アウディQ5」、「BMW X3」、「メルセデスGLC」に代わる、好感の持てる車だ。目を引くデザイン、上品なインテリア、スマートなハイブリッドが、高価格といくつかの弱点を補っているといえよう。
AUTO BILDテストスコア: 2-
【ABJのコメント】
最近のレクサスは急速によくなってきた、そんな評価を読むことが多い。今までレクサスにかなり辛辣な感想や意見をぶつけてきたモータージャーナリストも、満点ではないにせよ、今回の進化を認めざるを得ないほどの進化の度合いなのだそうだ。ボンネットフードのキャッチを一つ増やしたり(たかがキャッチと思われるかもしれないが、これは決して簡単な作業ではなく、かなりな投資と熱意のいることなのだという)、ボディの剛性などをさらに見直したり、車の根幹からの改良を施していることが多い。
数年先には、BEV専売となるはずのレクサスが今になってなぜ?と思わないこともないが、どういうパワーユニットを搭載したところで、本当に大切なのは自動車として走るための基本が構築されていることであり、どんなパワーユニットを搭載したとしてもしっかり走り、曲がり、止まってこその自動車なのである。今からでも地道に自動車としての基本を高めておくこと、それはレクサスがBEVになったとしても、コンペティターに対しても大きな攻撃力をもつ大切な部分なのではないだろうか。(KO)
Text: Berend Sanders and Dirk Branke
加筆:大林晃平
Photo: Lexus