【BMW製カブリオ一騎打ち】高性能M4対ノーマルなZ4 どっちがオープントップモデルとして相応しいのか? これまたユニークな比較テストだ!
2022年4月18日
精神的な兄弟モデル、BMW Z4とM4のコンバーチブルの出会い、そして徹底比較。我々は、Z4 sDrive30iとM4コンペティション カブリオを比較し、絶賛、歓喜の声を上げた。以下にレポート。
Z4とM4が同じスタートラインに立つとき、コンセプチュアルな世界がぶつかり合う。ロードスターとフルコンバーチブル、2シーターとダブルブレスト。そして価格? 高性能4シリーズ カブリオは、純正のMコンペティションとして99,500ユーロ(約1,313万円)。一方、BMWはZ4 30iを愛好家向けに50,900ユーロ(約6,70万円)のお買い得価格で提供している。
Z4は、純粋なドライビングプレジャーを提供する
もちろん、後者の方がシンプルな2シーターのクルマを手に入れることができる。これは決してネガティブな意味ではない。それどころか、より純粋なドライビングプレジャーを提供してくれる。驚くほど快適なサスペンションと柔軟なホイールアライメントにもかかわらず、だ。着座位置は地面からフラットで、お尻はリアアクスルのほぼ真上、視界は長いボンネットの向こう側と、「Z」では性能はほとんど二の次なのだ。しかし、住宅街ではすでに速さを感じる車だ。さらに、驚くほど操縦しやすく、後輪とアスファルトの間に粘り強いパワーを感じ、エンジンはやや恣意的にうなるが、ツインスクロールスーパーチャージャーによる適度なパワーデリバリーにもかかわらず、生き生きとした感触を得ることができる。
賑やかなドライビングフィールと、爽やかな風が吹き抜けるインテリアは、ロードスター本来のドライビングフィールを極限まで忠実に再現している。つまり、「Z4」はいわゆる真のドライビングマシンなのだ。田舎道から高速へ、高速から市街地へ、どんなスピードで帰ろうとも、この「Z4」の快適性があれば、美しい晴れの一日にさわやかな終わりを告げられる。
M4の走行性能は息を呑むほど素晴らしい
一方、「M4」はまったく異なる。カーボンファイバーをふんだんに使用し、その一本一本から競争心がほとばしる。もちろん、太陽に向かって気軽にトップレスでドライブすることも可能だ。また、論理的にアイスクリーム屋さんに向かってクルージングするのもまた可能である。しかし、純粋に、遺伝子的に、控えめなドライビングの範疇ではなく、「M4」の本質は怒涛の勢いのアクセルワークにあるのだ。
車両データ&価格:
モデル | Z4 sDrive30i | M4コンペティション カブリオxDrive |
エンジン | 直列4気筒ターボ | 直列6気筒ツインターボ |
排気量 | 1998cc | 2993cc |
最高出力 | 285PS@5000rpm | 510@6250rpm |
最大トルク | 400Nm@1550rpm | 650Nm@2750rpm |
駆動方式 | 後輪駆動 | 全輪駆動 |
全長/全幅/全高 | 4324/1864/1304mm | 4794/1887/1395mm |
乾燥重量 | 1,430kg | 1,920kg |
トランク容量 | 281リットル | 385リットル |
0-100km/h加速 | 5.4秒 | 3.7秒 |
最高速度 | 250km/h | 280km/h |
平均燃費 | 14.4km/ℓ | 9.8km/ℓ |
CO2排出量 | 157g/km | 231g/km |
価格 | 50,900ユーロ(約670万円)より | 99,500ユーロ(約1,313万円)より |
510馬力のパワーは、コンバーチブルのドライビングエクスペリエンスを、地平線に向かう轟音に変えてくれる。また、ツインターボエンジンの650Nmのトルクが、2トン近い車重を持つ「M4」を田舎道でも軽々と走らせることにも驚かされる。「M4」は、ローンチコントロールと全輪駆動に設定された運転支援機能、そしてターボ圧をフルに活用することで、0から200km/hへ約12秒でのスプリントが可能となっている。そして、280km/hでBMWは青い獣に電子制御リミッターをかける。
両車ともドライビングプレジャーを提供する
両モデルを存分に試してみたのだが、「何が一番美味しかったんだろう?」 風の唸り? 20インチの巨大ホイールの煌びやかな震動? あるいは、思いのほかオーガニックな直進安定性? というのも、ステアリングはセンターポジションへの戻りをもっと重くしたほうがいい。「M4」のブレーキペダルの抵抗、サスペンション、走行安定性制御、オートマチックトランスミッション、そしてマシンのレスポンスは、敏感なドライバーを、リトルブラザーの「Z4」よりもずっと遠くまで到達させる。
とはいえ、高速カーブやロングストレートに対する「M4」の貪欲さは、このBMW対決で際立っているだけではない。他のメーカーのライバル車がこれ以上のことをできることはまずありえない。まとめとして言うなら、凛々しいターボドライヤーの「Z4」、スピードの鮮度が凝縮された「M4」、どちらも巨大な楽しさをもたらしてくれる。
果たしてあなたならどっちを選ぶだろうか。
BMW Z4とBMW M4の出会い
「Z4」と「M4」がスタートラインに立つとき、コンセプチュアルな世界がぶつかり合う。ロードスターとフルコンバーチブル、2シーターとダブルブレスト。4シリーズが純正「Mコンペティション」で99,500ユーロ(約1,313万円)から。一方、BMWは「Z4 30i」を愛好家向けに50,900ユーロ(約670万円)のお買い得価格で提供している。
【ABJのコメント】
「M4」と「Z4」の比較、これはBMWというメーカーのラインナップのなかでは比較されても仕方ない、ちょっと似たような2台のオープンモデルの自動車である。だが正直に言うならば、この2台はまったく違う、もうぜんぜんベクトルの違う2台であり、比較したって、しょうがないようなオープンモデル2台なのである。
まずは本文中にも書かれているように価格が違う。「M4」は「Z4」の2倍だし、駆動方式も違えば、性能だって、性格だって、比べても仕方ないような2台といえよう。おそらく「M4」を買う人の頭の中には、「Z4」という選択肢はみじんもないはずだし、「Z4」にハンコをつこうとしている人に、「M4」を薦めたって買わないだろう(買えない、のほうが正しい表現かもしれない)。
もちろんどちらも速いことは間違いなく、日常にも使えながらも純粋なドライビングプレジャーを与えてくれるオープンモデル、という部分は共通である。しかし、それ以外の部分はもう選ぶ人次第、どういう車を欲しているかに全て委ねられる問題である。どちらも一般路上で破綻するようなこともなければ、期待を裏切ることもおそらくない、高い完成度の持ち主であることも間違いない。結局、車に何を求めているのか、あなたのライフスタイルや、価値観に近いのはどちらか、そういったやや無責任ながらも本当の事実に、これほど従うべき比較テストはないのではないか。というわけで? この2台は全く違う2台であるということと、もはや「M4」は「Z4」の価格の2倍近くもして、いつの間にか全輪駆動モデルで、車重が500kg(!!)も重いということが明確になった比較テストではあった。
Text: Jan Horn
加筆:大林晃平
Photo: autobild.de