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【初テスト&モデル情報アップデート】日産の純電動SUVクーペ 日産アリヤに初試乗 果たしてドイツ人の評価は?

2022年4月10日

日産の新型電気自動車「アリヤ」は、かなり上品で、驚くほど機敏な動きをする。日産自動車の発表した新時代を切り開くオールエレクトリックSUVクーペ「アリヤ」。我々はフォルクスワーゲンID.4のライバルをドライブしてみた!

ハイライト:
• 市場投入 – 2022年より5万ユーロ(約660万円)以下で販売開始
• デザイン – 新しいブランドフェイスを持つアリヤ
• インテリア – コックピットを大幅に縮小
• 航続距離 – 最大500km
• 装備 – 10色のペイントカラー
• ドライビングレポート – アリヤは意外と機敏に動く

市場投入と価格

日産は、SUVと電気自動車の組み合わせに注目している。新型「アリヤ」は、「VW ID.4」に対抗するために、電気自動車のSUVクーペを発表した。視覚的にも技術的にも、「アリヤ」は日産の新しい時代の到来を告げるものだ。最大500kmの航続距離を持つこの電気SUVは、2022年にドイツおよび欧州市場に導入される予定で、すでにオンラインショップでは、予約を受け付けている。日産はまだ価格を発表していないが、おそらくベースモデルは5万ユーロ(約660万円)以下で購入できるはずだ。

新しいブランドフェイスを持つ初の日産自動車

細長いヘッドライトと下に向かって細くなる大きなラジエーターグリル、そしてフィリグリーデイランニングライトは、日産の新しいブランドフェイスを形成している。さらにギミックとして、デザイナーは「アリヤ」に発光する日産自動車のロゴを与えている。

新しい日産ブランドの顔: 細いヘッドライトと、下に向かって細くなるおなじみのラジエーター。

クーペのようなシルエットのSUVは、19インチのホイールを履いている(日産は併せて20インチのホイールもオプションとして発表している)。帯状のライトを連続させた「アリヤ」のリアは、完全にトレンドに沿ったものとなっている。そして、サイズ的には、電気自動車のSUVモデル「キャシュカイ」と「エクストレイル(X-TRAIL)」の間に位置づけられる。

サイズ一覧:
全長: 4595mm
全幅: 1850mm
全高: 1660mm
ホイールベース: 2775mm
トランク容量: 468リットル(2WD)/415リットル(AWD)
牽引能力: 最大1.5トン

隠しボタンで整頓されたインテリア

特に、これまでの日産車と比較すると、コックピットは非常に小さく、コンパクトになっている。ボタン類はほとんどなく、ダッシュボードとセンターコンソールに操作パネルが埋め込まれている。車載用電子機器が起動すると点灯する。タッチすると、振動によるハプティックフィードバックがある。可変性に配慮し、電動スライド式センターコンソールを採用している。全体として、「アリヤ」の内装はとても上品に見えるし、スペース感もとても良い。またクーペでありながら、身長1.90mのカメラマンでも、後席の頭上と足元に十分なスペースが確保されている。背もたれをわずかに傾斜させることで、非常にリラックスした着座姿勢を保つことができるようになっている。

コックピットは非常にコンパクトになっている。ボタンの代わりに、ウッドと一体化したタッチパネルがある。

インフォテインメントコンテンツや計器類を表示する12.3インチディスプレイを2台設置した「アリヤ」。2つのモニター間でコンテンツを行き来させることも可能なはずだが、残念ながら取材したクルマはまだプロトタイプのため、その動作を確認することはできなかった。「ハロー、ニッサン(Hello Nissan)」による音声操作も同様だ。

データ接続により、サービス間隔やディーラーへの訪問とは別に、日産車では初めて「無線」による更新が行われる。また、車とアプリのネットワーク化を実現し、車両データをいつでもスマートフォンに転送したり、取り出したりすることができるようにもなっている。

航続距離340~500km(ドライブオプションにより異なる)
パワートレインについては、日産は「アリヤ」に5種類のバリエーションを用意している。モデル表記は、バッテリー容量を直接参照するため、透明感があるのが嬉しい。

アリヤ63kWh – 2輪駆動(160kW/300Nm/推定航続距離: 最大360km)
アリヤ87kWh – 2輪駆動(178kW/300Nm/推定航続距離: 最大500km)
アリヤ63kWh e-4orce – 全輪駆動(205kW/560Nm/推定航続距離: 最大340km)
アリヤ87kWh e-4orce – 全輪駆動(225kW/600Nm/推定航続距離: 最大460km)
アリヤ 87kWh e-4orceパフォーマンス – 全輪駆動(290kW/600Nm/推定航続距離: 最大400km)

走行時には、「リーフ」ですでにお馴染みのワンペダルコントロールの「e-ペダル(e-pedal)」の恩恵が「アリヤ」にも設定してあるという。強力な回復力により、ほとんどの運転シーンでアクセルペダルだけで運転できるはずだ。さらに、「プロパイロット」による半自律運転や、自動駐車も可能となっている。

環境に配慮した10色のペイントカラー

電気自動車のSUVには10色のカラーバリエーションがあり、そのうち6色はブラックのコントラストルーフも注文可能となっている。特に印象的なのは、明るい銅色である「アカツキ銅」と「オーロラグリーン」の2色だ。その名の通り、光によってグリーンとバイオレットに変化するこの色合いは、オーロラにインスパイアされたものだ。

サステナビリティは「アリヤ」にとって重要な課題であるため、日産は新しい水性塗料を開発した。他の溶剤を使用した塗料に比べ、低温で塗布することが可能となっている。日産によれば、これにより25%のCO2削減を実現しているとのこと。

日産アリヤの走り

最初のプロトタイプのドライブでは、日産は我々に大型バッテリーと全輪駆動を備えた最も強力な電気自動車を与えなかったが、2トン近い車体に搭載された218馬力は、まったくバテることなく、本領を発揮した。

意外なほど機敏: 4.60メートル、重量2トン弱のSUVでありながら、アリヤはコーナーをよく曲がってくれる。

テストに供された試乗車は、66kWh(63kWhも使用可)のバッテリーを搭載しており、403kmの走行が可能とされている。一方、91kWhの大容量バッテリーは、500km以上の距離をカバーすることが想定されている。試乗車のデジタルスピードメーターは、容量63%、航続距離160kmを示していた。

SUVの安全性を常に確保

「アリヤ」のドライビングは、なぜかかなり楽しい。このクルマは敏捷性と快適性のいいとこ取りをしていて、この日産はボディロールが心地よく抑制されているし、ステアリングもシャープすぎず、スムーズなクルージングに向いているのだ。

急カーブでスロットルを全開にすると、日産のタイヤが蹴り上げられ、エレクトロニクスが素早くトラクションを回復させる。

それでいて、4.60mのSUVとしては、驚くほど機敏で操縦性に優れていて、いい意味で驚いた。急カーブからの急加速操作で、前輪駆動車が前ひづめを擦るものの、電動アシストにより、十分なグリップ力をいち早く確保することができる。しかし、アリヤはダイナミックなコーナリングのために作られているのだろうか? いや、決してそうではなく、快適なドライビングを味わうために作られているのだ。そして、十分に贅沢なトリミングが施されている。

結論:
日産は「アリヤ」の性格を、かなりドライビングを重視した方向で設定している。そして、それは良いことだと思う。縮小されたコックピットは視線をリラックスさせ、ウッドと一体化したタッチサーフェスが全体をとてもエレガントに見せている。広さ感がとても良いので、長旅や複数人での移動でも、「アリヤ」に乗れば必ず快適に過ごせるはずだ。

【ABJのコメント】
もうずいぶん前に木村拓哉が口笛でヒュヒュっと呼ぶと、「アリヤ」がゆっくりバックして登場する、そんなCMをテレビで観たような気がする。最近はそんなCMも見かけなくなってしまったが、2022年の春となっても日本の路上で「アリヤ」を見かけたこともないが先日第一号車が納車されたという。これから本格的に納車がはじまり、路上でみかけたらかなり斬新な姿なのではないかと期待している。
 今回一足早く試乗した本国AUTO BILDのスタッフによれば、その走りや内容はかなり高評価であり、十分期待のモデル仕上がりらしい。もちろん本文中にも記されている通り、コントロールパネルや音声コントローラーなどは開発途上のプロトタイプではあったらしいが、走りそのものへの評価は高いものとなっている。例によって半導体不足や部品の供給不足が原因なのか納車が遅れてしまったことは残念だが、できればアリヤの新鮮味が少しでも失われないうちに、路上でその姿をたくさん目撃できるようになることが日産にとっての急務であると思われる。がんばれ、ニッサン。(KO)

Text: Andreas May, Pter R. Fischer and Katharina Berndt
加筆: 大林晃平
Photo: Nissan