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【初同乗テスト】電動ミニ クーパーの実力は? 新型クーパーEのプロトタイプに初試乗 そのドライビングレポート!

2022年4月9日

氷の上でもホット: ラップランドで新型ミニ クーパーEに乗る。新型ミニは2023年にようやく登場し、中国で生産される予定だ。フル電動のミニ、それは楽しさいっぱい。我々はすでに試乗し、とても気に入った。フルレポート!

このErlkönige(エルコーニッヒ=魔王)カモフラージュには、なぜチェッカー柄がないのだろうか?それはそれでスタイリッシュでよかったと思うのだが・・・。まあとにかく、今日は美の話じゃないのだ。それは、運転することだ。

ミニは現在、ラップランドで、新型3ドアカーのシャーシを製作している。2023年秋にはBEVミニは発売予定だ。それに加えて、従来通り、オックスフォードで作られる内燃機関バージョンもある。そして、大英帝国のEU離脱を機に、中国の生産ラインからミニは出荷される、この「E-Mini」。どちらも同じシャーシで同じ外観をしているものの、それ以外はほとんど関係がない。

1台の車に2つの工場: クラシックな内燃エンジンのミニは引き続きオックスフォードで製造し、E-Miniは将来的に中国から導入される予定だ。

我々は、今日はBEVのランナバウトに座っている。シャシーエンジニアのクラウス ブラマー(34歳)がハンドルを握る。我々の下には、これまでのBMWの開発とは全く関係のない、全く新しいプラットフォームがある。中国の長城汽車との共同事業から生まれたものだ。「Spotlight Automotive Limited」は、双方が50%ずつ出資している会社の名称だ。バイエルンはもうノウハウを完全に渡しているのだろうか?「いいえ」とブラマーは言う。「ミニは今もミュンヘンで開発されている」のだと。少なくとも、ミュンヘンの開発者が、現在スウェーデンの雪山で、新型ミニの「クーパー」バージョンのプロトタイプを走らせているのだ。

ロングホイールベース、ワイドトレッド・・・。助手席から見ても、新型ミニがいかにしっくりと収まっているかがわかる。

新型ミニはレールの上を走るような走りを見せる

同乗者としての私にも、旧モデルと新モデルの世代の違いを明確に感じることができる。これほどまでにスムーズで、安全な走りを実現したミニは、かつてなかった。何もかき乱さず、何も揺るがさず。「例えば、ホイールベースを長くしたり、トラック幅を広げたりしています」とブラマーは言う。「特に高速走行時の快適性を向上させます」。確かに。新車は、まるでレールに乗っているかのように、カーブをハミングで駆け抜けていく。重さは?まだ不明だ。いずれにせよ、1,440kgの先代E-Miniよりも軽いはずだし、新型ミニは背も低くなるはずだ。

ミニ クーパーSEの航続距離は、適切なドライビングスタイルを前提とした場合、400kmが目標とされている。

最大400kmの航続距離

旧型のE-Miniには、「BMW i3」の技術が搭載されていた。新しいE-Miniでは、バッテリーと電動モーターが長城汽車から来たものを搭載している。電動モーターは、40kWhのバッテリーと184馬力の「クーパーE」と、50kWhと224馬力の「クーパーSE」の2種類になる予定だ。氷の上でも熱くなること請け合いだ。ミニファンに喜ばれること?従来のように最高速度が150km/hに制限されることはなくなる。しかし、高速走行では、SEの最大航続距離400kmは、まあ、ミニ(マム)ということになりそうだ。

サイドウィンドウからの眺め: 新型ミニのインテリアはまだ秘密だ。確かなのは、いくつかのデザインが変わるということだ。

新型ミニの内部はより整然としている

中は?「Her Majesty’s Secret Service」レベルの秘密。それでも、コックピットを覆っている黒い布をそっと持ち上げてみる。すげええええええ。真ん中には、家族で食べるハムエッグのフライパンのように大きく丸いタッチディスプレイを発見。その下には、ラジオやドライビングエクスペリエンス、そして必須のスタートボタンなどのリアルスイッチがある。また、フロントガラスヒーターやパーキングビーパーなどのボタンも用意されている。一方、クライメートコントロールは、将来的にミニでもタッチディスプレイで動作するようになるのだが、我々はそれが決して好きではない。

全体として、すべてが以前より整然としているが、他車のモニター風景のような魂が抜けたような感じではない。ステアリングホイール(クラシックなボタンで美しくデザインされている)の上には、木製のダミーがネジ止めされているだけだ。そこには、もう本物のディスプレイはない。ミニは「新しい技術」を語る。大型ヘッドアップディスプレイが登場するのだ。

5世代に渡って: ウルトラ ミニ(1959~2000年)、初代BMWミニ(2001年~)、その後継モデル(2006年~)、そして第3世代(2014年~)。左手前が最新型だ。

中国で成功する第5世代ミニ

ミニは、極東での生産が現地での販売を促進することを期待している。これまでのところ、中国での販売に占める割合は10%に過ぎず、イギリスやドイツに大きく水をあけられている。それも新しいe-modelで変わるはずだ。また、内燃機関についてはどうだろうか?ドイツでは、もう活躍の場はないだろう。昨年、全世界で販売された34,000台の「ミニ クーパーSE」のうち、約1万台がドイツで販売され、他のどの国よりも多く販売されている。

最後にひとつ、伝統派にとっての朗報がある。新型E-Miniは、リアライトにユニオンジャックをあしらっていた、真の英国車であることに変わりはない。

結論:
現在のE-Miniで気になるのは、航続距離(実質170km程度)だ。新しいミニは、その点だけが優れているわけではない。内容も全く新しい、より良いクルマになる、しかも自分らしさを失わない。まずはこのバランス感覚を評価したい。

【ABJのコメント】
BMWが開発するようになったミニも、早くも4世代目。どうやってもスタイルだけはミニに見えなくてはいけない、という当たり前ではあるが、デザイナーにとってはきつい足かせをはめられたまま、もちろん今回の4世代目のミニも、ミニにしか見えないデザインをまとって世の中に出ることになる。今回もまたボディサイズは大きくなっており、このまま際限なく過大化していくのか、という不安もあるが、BEVへの対応なども考えるとどうしても必要なサイズなのであろう。

今回のレポートを見て感じたことは、もはやBEVは中国で生産するという点と、内燃機関のモデルは今までとおりにドイツ製になるという部分である。この決定に関しては、世界規模で考えれば、次のミニも内燃機関のモデルのほうがまだ需要はあるという見方もできるし、中国国内は圧倒的にBEVとなるし、北欧をはじめヨーロッパ圏では今後、そこそこ、BEVミニの比率も上がると考えられる、という判断によるものだろう。では日本ではどうか??個人的にはおそらく圧倒的にまだ内燃機関のモデルのミニのほうが、人気が高く、BEVミニは少数派なのではないだろうかと思う。そしてBEVミニは中国製という部分も、ミニのようなプレミアムラインのコンパクトカーを選ぶ人にとってはちょっとひっかかる部分になってしまうのではないだろうか・・・。

Text: Holger Karkheck
加筆: 大林晃平
Photo: BMW Group