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【ユニークな比較テスト】BMW編 3シリーズ ツーリング対4シリーズ グランクーペ対X3 買うならどれ?

2022年3月20日

ステーションワゴン、セダン、SUV。エステート?サルーン?それともSUV?その中から何を選ぶべきだろうか?3シリーズ ツーリング対4シリーズ グランクーペ対X3。走る歓びは、BMWの遺伝子に宿っている。今回の4シリーズ グランクーペ、3シリーズ ツーリング、X3との比較では、その実用性の高さがうかがえる。3台のBMWを比較してみた。

BMWは常にドライバーのための車であり続けるが、今日ではBMWはレジャー、ファミリー、フォームにも秀でている。「4シリーズ グランクーペ」は、4つのドアと大きなテールゲート、フレームレスウィンドウ、そして流麗なクーペシルエットを組み合わせた、心地よいデザインにこだわっている。

4シリーズ グランクーペのリアはすぐに窮屈になる

ドライバーは、エステートやSUVと同様に、機能的なiDriveの操作コンセプト、快適なシート、心地よい空間を楽しむことができ、完璧なアコモデーションを感じることができる。しかし、その後姿を見ると、笑いが止まらなくなる。狭いリアウィンドウと巨大なCピラーは、閉塞感を生じさせ、さらに2列目のヘッドライナーとシートの間は90センチしかない。

一方、BMW 3シリーズ ツーリング」と「X3」は、それぞれに7センチと8センチ長い。1.85m以上の乗客はそのことを高く評価している。そして、荷物用スペースに対する悪口も少なくなる。「4シリーズ グランクーペ」は1,290リットルで満杯、「ツーリング」と「X3」は、それに加えて、それぞれ、さらに220リットルと310リットルを確保している。

車両データ&価格:

モデル M440i xDriveグランクーペ M340i xDriveツーリング X3 M40i
エンジン 直列6気筒、ターボ 直列6気筒、ターボ 直列6気筒、ターボ
最高出力 374PS 374PS 360PS
最大トルク 500Nm@1900rpm 500Nm@1900rpm 500Nm@1900rpm
0-100km/h加速 4.7秒 4.6秒 4.9秒
最高速度 250km/h 250km/h 250km/h
テスト時平均燃費 10.6km/ℓ 10.7km/ℓ 9.9km/ℓ
全長/全幅/全高   4783/1852/1442mm 4713/1827/1440mm 4713/1897/1676mm
トランク容量 470~1290リットル 500~1510リットル 550~1600リットル
乾燥重量 1,874kg 1,832g 1,955kg
価格 68,100ユーロ(約885万円)より 68,000ユーロ(約884万円)より 73,400ユーロ(約954万円)より

スポーツ精神とドライビングダイナミクスという面では、「3シリーズ」と「4シリーズ」が、背が高く重いSUVを置き去りにする。中型車は取り回しがよく、足取りも軽いのに、燃料消費量も少ない。だが、むろん、実際に坂道や険しい道を走るときには、地上高が高い「X3」が有利だ。また、乗用車の3分の1以上の牽引力と広いラゲッジルームは、引越しの際や休日に電動自転車を持ち運ぶ際にも役立つ。

高価:X3 M40iは73,400ユーロから購入可能だ。比較テストのライバル2社は5,000ユーロ以上安くなっている。

X3はレジで一番高い

しかし、もちろんオプション装備にも追加料金を支払わなければならない。100ユーロの差というほぼ同じ値段の「3シリーズと4シリーズ(68,000/68,100ユーロ=約884/885万円)」に対して、「X3」は必須のオプションのために、さらに5,000ユーロ(約65万円)以上要求される。そして、本当のBMWファンは、通常、そのお金を、ホイールやサスペンション、ブレーキなどの楽しい機能に投資したがるものなのだ。

BMWコンセプト比較:

走る歓びは、BMWの遺伝子に宿っている。「4シリーズ グランクーペ」と「3シリーズ ツーリング」と「X3」との比較では、その実用性の高さがよくわかる。
「4シリーズ グランクーペ」は、4つのドアと大きなテールゲート、フレームレスウィンドウ、そして流麗なクーペシルエットを組み合わせた、心地よいデザインにこだわっている。
狭いリアウィンドウと巨大なCピラーにより閉鎖感がある。ヘッドライナーとシートの間が90センチしかない。
「3シリーズ ツーリング」後席のスペースは広いが、その座面はかなり低い。
「X3」のリアシートが3台中一番好ましい。シートとフロアの距離が一番近いので、ゆったりと座ることができる。
「X3」は550から1,600リットルと、「3シリーズ ツーリング」よりもはるかに多くの収納スペースを備えている。エステートには500から1,510リットルの容量がある。
グランクーペが積載の面で遅れているのは、実は意外と知られていない。傾斜したテールゲートはラゲッジスペースを犠牲にし、70cmというローディングシルの高さは「X3」と同じ高さだ。
デジタルメーター、センターコンソール、センターコンソール上のiDriveコントローラーは、「3シリーズ ツーリング」でも同じ配置で見ることができる。
「BMW X3」のワークステーションは少し変わっていて、SUVのモニターを上部に配置することで、視界に少し入リやすくしている。
スポーツ精神とドライビングダイナミクスの面では、「3シリーズ・ツーリング」と「4シリーズ」が、背が高く重いSUVを置き去りにする。ミッドサイズは取り回しが良く、足元が軽くなっているが、それでも燃料消費量は少ない。
実際に坂道を走るときには、地上高が高い「X3」が有利だ。牽引力や広いラゲッジスペースで、引越しの際や休日に電動アシスト自転車を持ち運ぶ際にも役立つ。
しかし、このSUVは、これらの才能の代償として、比較テストの2台の競合モデルに対して5,000ユーロ以上(約70万円)ものプレミアム価格を支払うことになる。「X3 M40i」は最低でも73,400ユーロ(約954万円)を支払わなければならない一方で、「M340i xDriveツーリング(68,000ユーロ=約884万円)」と「M440i xDriveグランクーペ(68,100ユーロ=約885万円)」の差はわずか100ユーロ(約1万3千円)しかないのだ。

結論:
「ツーリング」は、明らかにベストチョイスだ。そして何より、美しい「グランクーペ」よりも実用的で、多才な「X3」よりも安価だ。

【ABJのコメント】
前回のアウディの3台比較テストからすると、今回のBMWの比較は個人的にかなりバイアスがかかってしまう。というのも、私のような古い自動車好きには、BMWというのは3か5か7、あるいは6、というのが王道で、Xのつくモデルはなんだかまだ馴染めないでいる、というなんとも古臭い感覚を(まだまだ)持っているからだ。

とはいっても「X3」も「X5」も素晴らしい性能を持ち、この範疇のSUVから一台を選ぶならば「X3」か「X5」をチョイスしようかと思うほどの完成度ではあるのだが、それでもやっぱりBMWはSUVじゃなくて、セダンかツーリングかクーペでしょう、という気持ちを捨てきれないのも事実である。本当に年寄りの感覚で申し訳ない。

AUTO BILDのスタッフもそういう気持ちの人が多いのか、今回選ばれたのはツーリングモデルであったが、実際に乗り比べたインプレッションをみると、よりBMWらしいのはこちら、しかもより安価で、という理由らしい。私もこの3台からならば、やっぱり3のツーリングを選ぶと思う。理由は何回も書いたが、老舗のお店が昔から作っているメニューのようなもの、だからである。

最後まで「グランクーペ」の名前が出てこなかったが、本当に申し訳ないことに僕には「グランクーペ」はあまりピンとこないモデルである。中途半端で割高というか、このモデルを積極的に選ぶ理由がどうも見当たらない、からである。特にこの「4シリーズ グランクーペ」は、本来の「グランクーペ」の存在理由である、ものすごく格好いい自動車という範疇からも若干外れてしまうようで、そこがどうも残念である。(KO)

Text: Gerald Czajka
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de