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今話題のオールシーズンタイヤを検証する コンチネンタルタイヤ「AllSeasonContact」

2022年3月13日

近年注目が高まるオールシーズンタイヤ。2021年9月に日本に上陸したコンチネンタルタイヤ「AllSeasonContact」のドライとスノーの性能をチェックした。

突然の雪で慌てないために

雪の多い地域では、冬にスタッドレスタイヤを履くのはあたりまえだが、東京のように年に数回雪が降る程度の場所では、スタッドレスタイヤを購入するかどうか迷う人は多いし、いざ履き替えとなると新たにホイールを用意したり、外したタイヤをどこに保管するかといった悩みもある。そうこうしているうちに突然雪が降り、慌てた経験を持つ人は少なくないはずだ。

そんな非降雪地域のドライバーにとって、雪の悩みを解決してそうなのがのがオールシーズンタイヤだ。オールシーズンタイヤは、サマータイヤの性能を持ちながら、雪道も走れるという強みを持つオールラウンドなタイヤ。そのため、冬の前後でわざわざ履き替える必要がなく、交換の手間や外したタイヤの保管場所にも困らない。

また、スタッドレスタイヤはサマータイヤに比べて雨に弱く、雨量が多い高速道路を走るような場面ではハイドロプレーニングを起こしやすいのに対して、オールシーズンタイヤはサマータイヤ同等のウェット性能を持つのも見逃せない点だ。

それだけにオールシーズンタイヤの人気は年年高まりを見せ、タイヤメーカー各社から日本市場への商品の投入が相次いでいる。

ヨーロッパで人気のAllSeasonContact

AllSeasonContactは、コンチネンタルタイヤが2021年9月に発売したオールシーズンタイヤ。一年を通してドライ、ウエット、低転がり抵抗性能をより高次元で両立しながら、低温下でもゴムの柔軟さを最適に保ち、積雪路でも良好なグリップ力を発揮する「アダプティブ・オールシーズン・コンパウンド」を採用。一方、方向性のある「フレキシブル・オールシーズン・トレッド・デザイン」によって、ドライ、ウエットの両路面で正確なハンドリング性能と優れたブレーキング性能を発揮する。さらに、「エネルギー最適化構造」を採用することで転がり抵抗を低減しているのも見逃せない。ヨーロッパのAUTO BILD、AUTO EXPRLESSなどのメディアで、ベストオールシーズンタイヤに選ばれていることからも注目のカテゴリーである。

今回はメルセデス・ベンツGLA 200 d 4MATICに235/50R19 103V XLのAllSeasonContactを装着した。アルミホイールは、イタリア発の世界的ホイールブランド「O・Z」の「Granturismo-HLT(グランツーリスモHLT)」を選んだ。このアルミホイールは、F1ホイール由来のHLT(フローフォーミング技術)製法を用いることで、鋳造ホイールでありながら鍛造ホイールに迫る軽量・高強度を実現する。アンダーカットテクノロジーによりさらなる軽量化を図るとともに、スポーク先端とアウターリップのダイヤモンドカットフライス加工によりタイヤとホイールとの結合を強めている。もちろん、O・Zならではの美しいイタリアンデザインも魅力で、外側に向かって放射するキャストサイドカットのスポークと、細長いスポークリムアタッチメントデザインが、実際のサイズ以上にホイールを大きく見せてくれている。

ドライ路面では安心・快適な性能を発揮

われわれはAllSeasonContactをテストするために、東京から雪の残る裏磐梯を目指した。まずは高速道路でドライ性能をチェックするが、すぐにスタッドレスタイヤとの違いを実感する。ステアリングを操作したときの感触が実にしっかりとしていて、スタッドレスタイヤに見られるグニャっとした感じがないのだ。また、スタッドレスタイヤに比べるとロードノイズのレベルは低い。

乗り心地はコンフォート系のサマータイヤと同程度で、軽量設計のGranturismo-HLTとあいまって、バネ下の重さを意識しないですむのがうれしいところ。グリップもコンフォートタイヤと遜色のないレベルで、高速走行時の直進安定性も良好である。

雪道でもしっかり「走り・曲がり・止まる」

幸か不幸か、磐越道の猪苗代磐梯高原インターチェンジまではドライ路面が続いたが、インターを降りて裏磐梯エリアに向かうと、雪に覆われた道が現れた。さっそく横道に逸れると、AllSeasonContactは思いのほかしっかりと雪を捉え、スタッドレスタイヤに近い感覚で前に進んでいく。ステアリング操作に対する反応にも不安はなく、よほど無茶なステアリング操作をしないかぎり、狙いどおりにコーナーを駆け抜けていく。

走行時の様子を車外から見ていると、方向性のあるV字型のトレッドパターンが面白いように雪を排出し、スノー路でのグリップを確保しているのがわかる。試しにブレーキを強く踏んでみたが、しっかりと路面に食らいつくため、制動距離はスタッドレスタイヤに迫るレベルである。

ところで、AllSeasonContactのサイドウォールには「M+S(マッド&スノー)」の文字に加えて、スノーフレークマーク(山と雪のマーク)が刻まれている。これは、冬タイヤとして利用できることを示しており、高速道路の冬用タイヤ規制が敷かれた場合でも通行が可能だ。なお、全車チェーン規制の場合は、オールシーズンタイヤばかりか、スタッドレスタイヤでもチェーン装着が必要となるので、オールシーズンタイヤが不利ということはない。

ただし、オールシーズンタイヤは、凍結路でのブレーキングや加速時のグリップはどうしてもスタッドレスタイヤに劣ってしまう。それだけに、凍結路を走る機会が多い雪国のユーザーや頻繁に雪国に出かける人にはスタッドレスタイヤのほうがお勧め。一方、年に数回しか雪が降らない地域のユーザーなら、オールシーズンタイヤでも十分に対応できるし、除雪が行き届いたスキー場へ行くくらいなら、オールシーズンタイヤでも不安はないだろう。

撮影協力:ドナルド ペンション

安心のスノー性能に加えて、ドライ路面での快適性を兼ね備えたAllSeasonContact。これからウインタータイヤの購入を検討している人や、サマータイヤの履き替え予定がある人は、ヤナセ系列店にて購入できるので、ぜひ購入候補として考えてほしい商品である。

Text:生方 聡
Photo:アウトビルトジャパン
タイヤ提供:ヤナセオートシステムズ