1. ホーム
  2. 面白ネタ&ストーリー
  3. 【このクルマなんぼ?】ポルシェが開発生産にかかわった伝説のメルセデスE500販売中! 果たしてその価格は?

【このクルマなんぼ?】ポルシェが開発生産にかかわった伝説のメルセデスE500販売中! 果たしてその価格は?

2022年2月5日

このメルセデスE500には、5万ユーロ(約650万円)以上のメンテナンス資金が投入された。

メルセデスE500は、自動車の伝説であり、長い間コレクターズアイテムとなっている。現在、完全にレストアされたE500がeBayで売りに出されている。詳報!

「W124」シリーズのトップモデルである「500E」は、一目見ただけで、その存在感を知ることができる。
5.6cmのオーバーフェンダーは、初期の500Eの頃にはポルシェ第1工場で部分的に組み立てられたパワーセダンの特徴である。
そんな「500E」を街中で目にしなくなって久しい。
近年、価格は右肩上がりで、良品はほとんどコレクターの手に渡っている。
eBayでは現在、オーナーが5万ユーロ(約650万円)以上をメンテナンスとリフォームに投資したとされる「E500」が出品されている。

まず何より、オリジナリティを求める人たちは、この「E500」には満足しないだろう。
完全に標準的な「W124」をお探しなら、もっと他を探してみるべきだ。
シルバーのサルーンは、外見だけが変更されているわけではないのだから・・・。
しかし、一見したところ、コンバージョンは高品質な印象を与えるので、だからこそ、その内容を詳しく見てみる価値がある。

1993年、「500E」は「E500」となった

まず、最も重要な事実から説明しよう。
この「E500」は、製造年が1995年であることから、後期モデルの「E500」であることがわかる。
簡単に歴史を振り返るならば、1990年に5.0リッターV8を搭載した「W124」が「500E」の名で登場した。
そして、その3年後に登場した「M119 E50」エンジンを搭載した「W124」は、「E500」と呼ばれた。
「M119 E50」と呼ばれるこの32バルブV8エンジンは、4速オートマチックを介して326馬力と480Nmを後輪に供給した。
電子制御で制限された250km/hの最高速度は、1990年当時、まさに挑戦だった。

1992年末からは出力を6馬力さげて320馬力とし、2回目のモデルチェンジの際に「500E」は「E500」へと改名された。
今でこそ「500E」といえば、ツッフェンハウゼンのポルシェで組み立てられたサルーンであることが語られるが、モデル名の変更はフレアウイングを持つクルマがメルセデスの生産ラインに乗らなかったという単純な理由からである。

eBayのオファーに話を戻すと、シルバーの「E500」は製造最終年のもので、ボディから始まり、インテリア、そしてエンジンまで、完全にリビルドされている。
5.0リッターV8とオートマチックトランスミッションのオーバーホールを行ったという。
その過程で、210シリーズの「E50 AMG(1996年から1997年までしか販売されなかった)」の性能データに合わせて、エンジンのチューニングが行われた。
つまり、従来の320馬力と470Nmではなく、この「W124」は347馬力と480Nmを発揮する。
ついでにマニホールドから改造したエキゾーストシステムとアイゼンマン製のリアサイレンサーも取り付けられた。

BBS製Le Mansのホイールは、オリジナルの8穴リムよりはるかに頑丈に見える。ただし似合っているかどうかは別問題だ。

ビジュアル的には、この「E500」は控えめだ。
唯一の例外は、9.5×19と11×19のBBS製Le Mansホイールで、ベンツをより残忍な印象に仕上げている。
オリジナルのホイールも併せて販売されるのかどうかは言及されていない。
シートとドアパネルは、ブラバスの最高級バッファローレザーに張り替えられている。
さらに、カーボントリム、アルカンターラヘッドライナー、新形状のレザー/カーボンスポーツステアリング、AMGインストルメントクラスターなどがベンツに追加されている。
修復と改造の総費用は5万ユーロ(約650万円)以上、作業時間は約700時間にも及んだという。

最低価格にはまだ到達していない

リビルド後、「メルセデスE500」は、約1,000キロしか走行していないため、次のオーナーは技術的にもビジュアル的にも最高のコンディションの「W124」を期待することができる。
しかし、この夢のV8にも代償は付き物だ。
最高入札価格は、すでに38,850ユーロ(約505万円&最低価格未設定)となっており、オークションの終了は2月3日までとなっている。
おそらく5万ユーロ(約650万円)プラスが現実的だろう。

シートは張り替えられ、AMGのロゴが装着されている。レザーはブラバスのものだ。

簡単に価格を比較してみると、ここ数年で特に「500E」の価格は上がった。
30万km以上走ったオンボロ輸入車でも3万ユーロ(約390万円)を切るものはまずない。
よく整備されたモデルは4万ユーロ(約520万円)から、低走行距離のモデルは6万ユーロ(約780万円)を超えることもある。
「E60 AMG」のような希少な特別モデルは、20万ユーロ(約2,600万円)に達することさえある。
したがって、もしあなたがベストコンディションの「E500」を探していて、多少のオリジナルではない改造を我慢できるのなら、このシルバーの「W124」をよく見てみるべきだ。

「W124」の中でも、「500E」と「E500」は別格の自動車である。今でもこのモデルを大切に所有している人を知っているし、これが好きならこれ以外の車はない、そんな一台なのである。もちろんこの時代の「500E」が好きな人には、今のメルセデス・ベンツはどれも(たぶん)満足度100%とはいえない自動車だし、他に比べることのできない別格なセダンモデル、それがこの「500E」なのである。
さてそれでは今回のモデルはどうでしょうかと見てみると、個人的にはやや改造部分が多く、オリジナルの「500E」の持っている良さと高品質の雰囲気をやや失ってしまっていることが残念だ。
確かに高価で品質の高いホイールも、手がかかっているに違いないシートなどの内装も、オリジナルのあの控えめでありながら、圧倒的に他の「W124」とは違う雰囲気を消してしまっているのは残念である。価格的にも決して安いものではないだろうし、維持にもこれからかなりの出費が必要だろう。
そう考えるとややオリジナルの良さを失っているこの一台は、ちょっと残念な感じがする一台ではある。

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: ebay.de/keii_de2015