ポモナ スワップミート 広大かつ巨大な自動車とパーツのフリマの世界
2022年2月1日
年に7回、アメリカ西海岸最大の車と部品のマーケットに、何千台もの旧車と何万人もの車好きが集まる。ポモナ スワップミート(Pomona Swap Meet & Classic Car Show)では、いったい何が行われているのだろうか? 行って、確かめてみよう! 以下、レポート。
スワップミートという言葉を聞いた事があるだろうか?アメリカ人にとってはお馴染みの、Meet(出会って)、Swap(交換)するという2つの単語から成り立つフレーズだが、一般的な意味で言えば、フリーマーケット、あるいは野外で開かれる青空市のようなものだ。日本人にもなじみ深い、採れたての魚や野菜を売る朝市や、花市、骨董市、蚤の市なども、広義ではスワップミートということになる。
そして、自動車大国アメリカで70年以上にわたって、根強い人気を保ち続けているのが、言うまでもなく、自動車ショーと、自動車や部品の販売と、ミニカーなどの自動車グッズやホビー商品を、売り買い、文字通りスワップ(交換)するイベント、「スワップミート」だ。東海岸では、ペンシルバニア州ハーシー(ハーシーズチョコレートの発祥地)で3~4日間にわたっておこなわれる世界最大の「オールドカースワップミート」、西海岸では今回紹介する「ポモナ スワップミート」がつとに有名だ。アメリカならではの、それは、それは、巨大な規模のイベントで、今回紹介する「ポモナ スワップミート」には、なんと、2,500台ものオールド&クラシックカー、ならびに2,700ものパーツやグッズショップが参加した。
※ 2,500台という台数は、日本でのクラシックカーイベントは通常150台から200台、大規模なイベントでも300台から400台が限度だということを考えれば、腰を抜かしそうになる。
アメリカ西海岸のLAの東端に位置するポモナ スワップミートのエントランスエリアには高速道路の料金所のような入場口。短い渋滞の後、到着した車は、7つの巨大なゲートに振り分けられ、とても不思議なことに、駐車券だけが用意されている。たった10ドル(約1,150円)の入場料で、サッカー場4面分の広さの場所に車を停めることができるのだ。
車マニアとプロフェッショナルの出会い
あまりのお得感に、みんな10ドル(約1,150円)の入場料を手に、次の入場ゲートへ徒歩で急いだ。
すると、よく見れば、2つのグループがある。6時少し前にここに現れるのは、車のマニアと愛好家たちだ。そして、その後ろに道具や布切れ、水のタンクを積んだ、平たい荷車を引いている人も多くいる。その人たちはプロフェッショナルな人々、つまり自動車や自動車部品を販売(交換)する人々だ。
言うまでもなく、自動車や部品市場は、何十年も前から、誰もが興味を持つ市場だ。60年代には、主にフォードT型やA型を修理し、足りない部品を手に入れるのが大変だったため、修復に何年もかかることもあったそうだ。そのような事情は、eBayやSNSのない時代には決して珍しい現象ではなかった。そこで、「スワップミート」の生みの親、ジョージ・W・クロス3世が登場する。多くの自動車クラブの仲間も同じように感じていたので、クロスは、1975年8月にあるアイデアを思いついた。100ドルの広告費を投じて、クラシックカーファンや部品・旧車販売業者を集め、最初の「自動車&パーツマーケット」を開催したのだった。1975年8月3日、4,000人以上の来場者があり、大成功を収めた。
最初のころは、まだホールで開催していたが、その後、スペースが足りなくなり、マーケットを開催することができなくなった。それもそのはず、観客数はとっくに2万5千人を超えていたのだ。そこで、青空の下、広大なオープンスペースでのイベントスタイルを採用し、フリーマーケット方式の「スワップミート」を始めたのだった。その価値はあるのか?もちろんあることは言うまでもない。どこのパーツマーケットでもそうだが、早めに来て、運が良ければ、探しているものが見つかるかもしれないのだ。あるいは、まったく思いもよらなかったことに遭遇する。どちらの場合も「スワップミート」ならではだ。その分、クルマやパーツの種類も豊富で楽しいのだが、その分、体力も必要で、そうでないとあっという間に疲れ果ててしまう。以下、「ポモナ スワップミート」の様子をフォトギャラリーとともにお楽しみあれ!
アメリカはやはり広大で自動車の国だということをつくづく実感するレポートだ。なにせ一年に7回(ということは2か月に一度以上)開催され、2,500台もの車と、2万5,000人ものクルマ好きもが集い、入場料はたったの10ドル(約1,150円)、という何から何までビックリの「スワップミート」なのだから。正直言うと僕は羨ましくてたまらない。こんなに自由であっけらかんと明るく、どんな人でも集えるイベントが身近にあること、それが本当に羨ましい。きっと毎回仲間が集い、毎回同じような話を同じようにして、また数か月後に同じように集まるのだろう。これほどの人が自由に集まれる場所があることも、たった10ドル(約1,150円)でヒエラルキーもなく集えることも、楽しそうな掘り出し物が見切れないほどあることも、本当にめちゃめちゃ羨ましい。次回のイベントに行っちゃいたいような気持である。
Text: Dani Heyne
加筆: 大林晃平
Photo: Justin Evidon