1. ホーム
  2. SUV
  3. アークティック トラックス LC300 AT35 チューンナップ ランクル300の実力とは?

アークティック トラックス LC300 AT35 チューンナップ ランクル300の実力とは?

2021年12月21日

ランクルを真のオフローダーへ!

オフロードのチューニングスペシャリストであるアークティック トラックス (Arctic Trucks) は、発表されたばかりのトヨタ ランドクルーザー300の新車に数々のオフロード用の改造を施した。その詳細をレポート。

「トヨタ ランドクルーザー」は、世界的に最も高性能で壊れにくいオフロードカーのひとつとして高い評価を受けている。
近年では、ジェレミー クラークソンが「トップギア」で、ランドクルーザーを壊そうとして失敗して以来、その評価は確固たるものになっている。
そして、その最新世代で、トヨタはオフロード性能をさらに最適化した。
しかし、世界のいくつかの地域では、電子制御式の全輪駆動、リダクションギア、リミテッドスリップデフ以上のものが必要とされる。
オフロードのチューニングスペシャリストである、アークティック トラックス社は、新型「ランドクルーザー300」を対象に、正真正銘のオフロードパッケージを作り上げた。

グランドクリアランスを40mm拡大

アークティック トラックスの「LC300 AT35」の見た目の特徴は、17インチのアルミホイールに35インチのオフロードタイヤを装着していることだ。
320mm拡大された1840mmのトレッドに対応するため、フロントとリアに幅広のフェンダーを装着している。
また、4つのホイールアーチにマッドフラップを取り付け、アークティック トラックスのロゴやステッカーを貼るなど、エクステリアにも手を加えている。

ランドクルーザーのスロープアングルは、サスペンションの高さとホイール&タイヤの組み合わせによって改善されている。

当然、シャシーにも手が加えられている。
アダプティブサスペンションの機能はそのままに、スプリングとダンパーが交換されている。
グランドクリアランスは、ドライブヴァリアントによって異なるが、40mm増加して260~270mmとなっている。
また、スロープアングルもフロント37度、リア30度とそれぞれ5度ずつ改善されている。
さらにシーリング材を追加することで、ボディを腐食から守っている。
また、5.6トンまでの荷重に対応したウインチや、インテークシュノーケルがオプションで用意されている。

ドイツでの販売を終了したランドクルーザー

あまりにも大きな幸福感に包まれる前に断っておこう。
残念ながら、今では、ドイツ本国にはチューニング用のベース車は存在しない。
この国では、もはやトヨタは新型「ランドクルーザー」の販売はしていないのだ。
しかし、まだ古い「J15ランドクルーザー」にはかろうじて利用可能だ。

オフロードパッケージは、アークティック トラック社がロシアで最初に発売し、その後、他の市場でも販売される予定だ。
改造の価格はまだ公表されていない。
先行するアークティック トラックスの改造を念頭に置くと、このパッケージに続いて、ランドクルーザーには、更なる荒々しい改造が施されていくと推測される。

今年登場して納車まで2年、3年と言われる「ランドクルーザー」に、チューンされたモデルが登場した。残念ながらドイツ本国ではなくロシアという部分に、いかにもな、空気感を感じるが、とにかく世界的に「ランドクルーザー」は人気なのである(ロシアでは大人気)。
十分以上に悪路の走破性能を持っている「ランドクルーザー」をさらにチューンすればそれは無敵だ、と感じてしまうのはいささか早計で、おそらくチューンされたことによって、オリジナルでは圧倒的に優れていた部分のどこかでは、必ずマイナスになっているところもあるだろう。尖ったチューニングカーであればあるほど、そういうものなのである。
その失った部分が「ランドクルーザー」の一番の武器である信頼性や、とにかく壊れない部分だとしたら、やはりトレードオフの関係で失ったものは大きいと言わざるをえない。そして本来の、オリジナル「ランドクルーザー」の最適化の部分の魅力を再確認することになってしまうのではないだろうか。
それでも今回のアークティック トラックス社の施したチューニングはなかなか格好良く、これを好む人がいても全く不思議ではない。やはり自動車のどの部分に魅力を感じるのかは、その人次第なのである。

Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: Arctic Trucks