【初テスト】オペルの新型EVシティラナバウト オペル ロックスeに初試乗 その実用性能と評価をレポート!
2021年12月15日
こんなに気楽に走れるクルマはない
オペル ロックスeの路上テスト。これをクルマと呼んではいけない。小型のオペル ロックスeは、15歳以上の人を対象とした電動スクーターの代用品だ。我々は試乗してみた。
輝ける80年代、我々16歳のロックな若者たちは、オフロード用のヤマハDTか、ロード用のRD、どちらも80キュービックで、大音量の排気音で自己主張をしていた。12リットルのハイオクでタンクを満タンにして、自由を求めて走り回ったものだ。
今、若者たちは持続可能な生活をしているが、オペルは現代的で適切なモバイルを彼らに提供する。
「ロックスe(Rocks-e)」は、8馬力の電動モーターを搭載した軽自動車で、最高速度は時速45kmだ。
時速45km!?
「ロックスe」を運転して、その速度をエンジョイするためには、15歳からAM専用の運転免許証を持っていなければならない。
このクルマならバイクのように濡れることを心配することはない。
事実、今回のマインツでのテスト時には小雨が降っていたので、助かった。
我々は、高校生のイヴォンヌに自らアクセルを踏んでもらった。
イヴォンヌは19歳で、来年には高校を卒業する。
運転免許証は持っているが、ほとんど運転しないという。
「私たちの年代では、免許証は例外的なものなのよ」と彼女は言う。
車は大気を汚染するものと考えられ、もはや80年代のようなステータスシンボルではないのである。
なんとも寂しいことだが……
イヴォンヌは「学校に行くには、自転車、徒歩、バスのいずれかを使います。でも、車はダメ!」と語る。
「ロックス」が彼女の言う「車」ではなく、環境に優しい「別次元の車」であることはとても良いことだ。
ロックスeの航続距離は75km
15歳以上の人や、通勤で町中を1回往復するだけで、遠くの田舎道は走らない人のための電気自動車の最高速度は45km/hだ。
イヴォンヌが運転席へ乗り込む。
座席の左側にあるボタンを押して、3つの走行レベル(前進、後進、ニュートラル)を選択し、ハンドブレーキを解除すると、車は静かに走り去っていく。
5分後、彼女は笑顔で戻ってきた。
「実に機敏で、実に賑やかです」。
そして、室内はとてもタイトだ。
小さなオペルはバウンサーのように跳ね、すべての快適さを放棄している。
ただし、雨に濡れることはない。
スポーティな価格を実現するためのいくつかのオプション
それでは「ロックスe」を詳しく見ていこう。
バンパーは前後とも同じで、フロントには白色LED、リアには赤色LED、背面のお尻の部分にはナンバープレートが付いている。
運転席のドアは後ろに、助手席のドアは前にヒンジがついている、どちらも同じものだ。
同一部品が多いと価格は下がるが、最終的には7,990ユーロ(約103万円)となっている。
もし、この写真のように、イエローのアプリケーション、ハブキャップ、携帯電話ホルダー、スピーカー用の棚などが付いた、ちょっとおしゃれな「ロックスe」が欲しければ、8,790ユーロ(約113万円)を支払わなければならない。
しかし、この車にはエアバッグが付いていて、高速道路を走ることも許されているし、75kmを全開で走ってもタンクは空にならない。
この小さなオペルをリースするプランなどどうだろう。
公共交通機関の一ヶ月分の切符と同じくらいの値段、つまり50ユーロ(約6,500円)程度で借りられるようにするのだ。
話題にもなるだろうし、結構、需要は高いと思う。
しかも、雨にも濡れないですむ。☺
【フォトギャラリー】
テクニカルデータ: オペル ロックスe
● パワーユニット: 電動モーター、フロント ● 最高出力: 6kW(8PS) ● 駆動方式: 前輪駆動、オートマチックエントリー ● 駆動方式: 後輪駆動、インプットギアボックス ● 全長×全幅×全高: 2410×1388×1525mm • ホイールベース: 1730mm ● トランク容量: 63リットル ● 最高速度: 45km/h ● 航続距離: 75km ● バッテリー容量: 5.5kWh ● 充電時間(0から100%まで): 3.5時間 ● 価格: 7.990ユーロ(約103万円)より
結論:
小さなオペルが、あなたの気分を盛り上げる。スクーターより良いかも?
小型で屋根付き、2人乗り、排気ガスなし、75kmの航続距離を持つ。
7,990ユーロ(約103万円)という価格は、決して安いものではないが、これだけの金額で、これだけの時速が得られるのだから、欲しくなるのも無理はない。
以前にも書いたが、これはオペルとシトロエンとの合同プロジェクトで、兄弟車である。
かなりマイナーチェンジを受けているので、一見違うようには見えるが、実は同じクルマなのだ。雨にぬれず、気楽に使えるスクーターと考えたならば確かに大変魅力的だし、スタイルも貧乏くささなど微塵もなく、シンプルでなかなかかっこいい。
だが実際の価格を見ると、日本では軽自動車が買える価格だし、エアコンがないことや航続距離などなどを冷静に判断していくと、100万円というのはハードルがなかなか高い。(ドイツでは)15歳から乗れるということも魅力的だし、これからのシティラナバウトはこういう形になっていくのかと思うような可能性は大いにある。だが今、これを買うかと言われたら・・・ちょっと躊躇してしまうだろう。
乗り捨て自由な自転車のように、ヨーロッパの都市部などではレンタルで乗ることができるというが、そういう使い方か、高齢の方の限られた地域内の移動車、そういうところが航続距離などを考えれば妥当なのかもしれない。
それでも、ちょっとこの何物にも似ていないルックスと、今までの自動車と惜別したようなディメンションはなかなか格好いいなぁ、と思うのである。
Text: Andreas May
加筆: 大林晃平
Photo: Opel AG