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【比較テスト】日欧ミニSUV対決 C3エアクロス対ジャズ(フィット) クロススター対T-Cross対ヤリス クロス 果たして勝者は?

2021年12月15日

今回は前輪駆動のミニSUV 4台を比較してみた。ミニSUVの4台を試乗&比較。C3エアクロス、ジャズ クロススター、T-Cross、そしてヤリス クロス、どの小型クロスオーバーが我々の比較テストでトップに這い上がるのか?

もはや新鮮さはあまりないかもしれないが、これこそが市場で確実に成功する方法だ。
売れるはずのクルマ(SUV=クロスオーバー)を造り上げ、小型車のセグメントで、「クロス」という名を付ける。
一方で、いまや、小型SUVの数は非常に多く、今回、そのような名称を持つモデルをすべて集めたわけではない。
そのため、すべてを網羅しているとは言えないが今回、私たちのテストフィールドには、特にカラフルな4台が集まった。この4台の小型クロスオーバーが持つ能力の違いについてテストする。

パワートレイン別に見ると、次のようになる。
ホンダとトヨタは、ハイブリッド技術とCVTトランスミッションで勝負。
その違いは?
「ヤリス クロス」は欧州モデルの2台と同様に3気筒エンジンを搭載しているが、「ジャズ クロススター」は、唯一4気筒エンジンを搭載している。
一方で、「VW T-Cross」と「シトロエンC3エアクロス」では、電動モーターの代わりに排気ガスターボチャージャーが強力にサポートする。
また、どちらも6速マニュアルトランスミッションを搭載している。
あなたの好みや関心は、すでにどちらかのミニSUVにシフトしているだろうか?

ちょっとしたお化粧をしてミニSUVに:クロススターは、ジャズ(日本名 フィット)をオフロード用にトリミングしたものであり、特別なSUVのモデルではない。

板金をすると、ジャズがクロススターになる

そうでなくても、この4台はまったく違う仕事をしているのだから、辛抱して聞いてほしい。
たとえば「シトロエンC3エアクロス」は、モデルチェンジしたばかりで、まだ少しぽっちゃりしているが、のんびりしたことが好きな人のための、居心地のいい相棒の役割をよく果たしている。
2020年から発売されている「ホンダ ジャズ クロススター」は、賢い小人で、このクロスオーバー4台の中で最も短く、狭く、平らなモデルだ。

なぜなら、「ホンダ ジャズ クロススター」は、4台の中で唯一、独立したモデルではなく、「ホンダ ジャズ」のバリエーションモデルだからだ。
そして、スマートなディテールを最初から備えている。
数週間前にヨーロッパ市場に投入されたばかりの「ヤリス クロス」は、本物のSUVとして認識されるよう、視覚的に特別な努力をしている。
例えば(VWのように)ダイナミックなラインを持ち、力強い18インチのホイールを装備し、「C3エアクロス」よりも数センチ長くなっている。

VW T-Crossは2018年から登場しており、試乗車の中では最も古く、最も成熟したクルマだ。

VW T-Crossは?

最古参「T-Cross」はすでに2018年から市場に出ていて、いつでも頼りになる兵士で、多くの人を喜ばせ、誰も怒らせないのが一番の特徴だ。
基本的には、ここではどのモデルもSUVというテーマを誇張していないのがいい。

「ヤリス」を除いて、すべての車は全輪駆動でないので、重量や燃費は許容範囲内に収まっている。
それは威信や威厳の問題ではなく、あるいは草原や荒れ地での走行性能ではなく、むしろより高い座席、より良いスペース、より大きなトランクにフォーカスされた日常ティで実用的な相棒としての役割を背負った、実用的な小型車なのだ。

誰が一番クロスらしい仕事をしているかは、以下、フォトギャラリーをどうぞ。

視覚的に、トヨタは「ヤリス クロス」で素晴らしい印象を与えている。この新型車は、伝統的なハイブリッドカードを実際に経験しながら演じている。内燃機関、電動モーター、CVTトランスミッションで構成されたよく洗練されたユニットは、トヨタがそのシステム(115馬力)を初めて3気筒エンジンと組み合わせたことをほとんど意識させないレベルの完成度だ。
特に街中ではリラックスでき、リッター25km以上という好燃費を問題なく達成できる楽しさがある。しかし一方で、残念ながら、このクロスオーバーはその大きさを十分に生かしきれておらず、それは特にリアで顕著だ。あまり大きく開かないドアから乗り込むのさえ難しい。また、大柄な人が後部座席に座ると、すぐに居心地の悪さを感じてしまう。
また、シャシーのセットアップにも問題がある。18インチのホイールは、小さなエッジではすでにかなり不器用になっている。また、「ヤリス クロス」は、起伏の多い田舎道で最も不快感を覚える。この点では、他のライバル3車の方が優れており、ドライバーや同乗者への負担は明らかに少ない。
また、価格面でも日本車は満足できない。エレガントな追加装備は充実しているものの、価格は7,300ユーロ(約95万円)と高額で、合計すると約3万ユーロ(約390万円)となり、この小さな車にしてはちょっと高額だ。内装もプラスチックの塊で、価格を考えれば残念。

第4位 800満点中489点: トヨタ ヤリス クロス1.5ハイブリッド
経済的ではあるが、高価であり、あまり広くもない。
テスト車両価格: 29,990ユーロ(約390万円)

「C3エアクロス」は快適性を優先している。長いギアシフトとやや落ち着いた足取りを受け入れる準備ができている人は、「C3エアクロス」にゆったりと道を運ばせ、67cmのシート高で最高の眺めを楽しむことができる。優れた可変性、大きなトランクと十分な積載量のおかげで、フランス車は第2位でボディの章を終えた。しかし、他の章では、このクロスオーバーはかなり淡白なままだ。
特に快適ではないが、それは見た目だけが愛らしくデザインされたシートにも原因がある。あまり快適とはいえないシートなのである。
また、3気筒エンジン(110馬力、205Nm)は、ライバルと比べて特に減衰力が高いとは思えない。性能が平凡であることは、ブレーキの弱さよりも問題ではなく、ライバルはここだけで最大6点も多く得点できる。
また、コスト面でもトップレベルだ。プライスパフォーマンスの勝者になるには不十分だが、特に購入価格の安さと、メンテナンスコストの低さのおかげで、3位の表彰台に上ることができた(とはいっても、4台中だが)。

第3位 800満点中492点: シトロエンC3エアクロス ピュアテック110
非常に可変性の高いバーゲン、快適性は中程度。
テスト車両価格: 25,740ユーロ(約334万円)

奇妙なのは見た目だけだ。なぜなら、「ジャズ クロススター」のハンドルを握った人は、すぐにファンになってしまうからだ。それはまず、概観から始まる。比較的タイトなサイズにもかかわらず、十分なスペースと快適なシートのおかげで、2列目でも快適に過ごすことができる。さらに、「マジックシート」を折りたたむと、あっという間に使い勝手のよい2つ目の荷室ができあがる。

そしてホンダは、一貫性のあるハイブリッドドライブ(109馬力、253Nm)を搭載する達人であることを再び証明している。しかし、そのスロットルレスポンスは「ヤリス クロス」よりも少し遅れる。

だが、ホンダは燃費の良さでは負けていなしし、無段変速のCVTトランスミッションのおかげで、街中を難なく走り抜ける。心地よい。100km/hからの静粛性は最も高く、サスペンションの快適性はほぼVWの高いレベルに達している。

Apple CarPlayにも対応したインフォテイメントシステムも、すぐに使いこなせるようになった。内装もシンプルでなかなか好ましい。

「ジャズ クロススター」は、手頃な価格、長い保証期間(3年間)、より変化に富んだインテリアのおかげで、1位に近づいている。そして、価格と性能面での勝利を手にした。

第2位 800満点中523点: ホンダ ジャズ クロススターe:HEV 1.5 i-MMD
効率よく、賢く、安価・・・。僅差の2位だった。
テスト車両価格: 27,350ユーロ(約355万円)

パワートレイン、シャシー、ボディ・・・、「T-Cross」は、何の欠点もない。マニュアルの6速トランスミッションはバランスが良く、トラベルが短く、人間工学に基づいて設計されているため、シトロエンよりも素早くシフトすることができる。きれいにチューニングされたシャシーは、18インチの大径ホイールの悪影響をほとんど受けない。

また、4人で旅行することが多い人にとっては、広くて快適なリアコンパートメントを持つ「T-Cross」は特に魅力的だ。その上、1.1トンという重さは、他の3台よりも優れている。

相変わらず、価格の高さだけは厄介だ。試乗車のベース価格20,240ユーロ(約263万円)に、6,070ユーロ(約79万円)の「Style」装備が含まれている。しかし、これには、2,110ユーロ(約27万円)の追加料金がかかる「Discover Pro」ナビゲーションシステムは含まれていない。

特に他の3台のライバル車は、より複雑で経済的なハイブリッドドライブを、より安価に(ホンダ)、あるいは同じ金額で(トヨタ)提供しているからだ。とはいえ、今回は僅差だが、VWが4台中最も優れたパッケージを提供している。

第1位 800満点中529点: VW T-Cross 1.0 TSI
広々としたスペース、快適性、そしてスポーティさが勝利をもたらす。
テスト車両価格: 29,440ユーロ(約382万円)

結論:
結果から言えば、VWの多くの強みが勝利につながった。
しかし、ホンダ(フィット)は惜しかったと思う。優れたホンダが、高価な「T-Cross」をもう少しで追い越すところだった。
シトロエンとトヨタは少し遅れをとった。「ヤリス クロス」はその経済的な走りで納得させるが、価格では納得させられず、C3エアクロスに表彰台を譲った。

今やSUVを選ぶことはごく普通のことであり、かえって2ボックスの実用車を選択するほうが少数派ともいえる時代になってしまっている。とはいっても、どれだけもとの素材になった普通の2ボックスカーと今回のSUVが違うかというと、若干車高が高いだけで、性能や悪路走破性能も大きくかわっているわけではない場合が多い。
それでも車高を数センチあげただけでも開発陣はそれなりの実験もし、オリジナルパーツを組み込み、そして律儀に問題がないかどうかを、しらみつぶしに検証する、という話を実際に開発にあたったエンジニアから聞いたことがある。
実際に、その数センチが大きく自動車の性格に影響するともいうし、おそらくコスメティックチューンとはいっても、開発者は真剣に、そして大真面目に自動車を作る。自動車という製品はユーザーやパッセンジャー全員の命を預かっているものだからこそ、妥協ができないし、見た目にごまかされてはいけない商品なのである。
今回の4台も多くのエンジニアたちの汗と努力によって生み出された自動車たちである。軽いノリで選ばれることもあるかもしれないが、見かけよリも、きっと多くの知恵と汗が詰まっているはずだし、きっと生活に彩をあたえてくれそうな4台でもある。フォルクスワーゲンが勝ったのはバランスの良い完成度の高さゆえだが、他の4台も実用的な自動車だし、本来これくらいの車高と室内スペースを持っていることが、普通の2ボックスでも必要なのではないだろうか。

Text: Stefan Novitski and Mirko Menke
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de