【モーターホームテスト】 欧州で人気の高いキャンパー 新型カルタゴ シックで豪華な旅へ
2021年11月28日
リフレッシュ版カルタゴ シックc-lineで王道のキャンプを。
多くのものが新しくなったが、依然として同じままだ:カルタゴは、2022年モデルのために最も人気のあるシリーズの1つをフレッシュアップした。シックなc-lineは、外見が美しくなっただけでなく、インテリアもよりモダンで実用的なものになった。AUTO BILDの人気キャラクター(ライター)、ジェニーちゃんによるフォトインプレッション。
家具建築、ウェルネスオアシス、ハイグロスアイボリーのキッチン。
カルタゴのカタログに掲載されている説明を読むと、それはまるで家のことであって、モーターホームのことではないと思うだろう。
しかし、多くのキャンパーにとって、「カルタゴ ライナー」は、文字通り、長年の夢を実現した車輪付きの豪華な別荘なのだ。
そして、住居同様、その装備などのリノベーション作業は尽きない。
だからこそ、カルタゴは新しいシーズンに向けて、「シック c-line」の「ニュージェネレーション」を発表したのだ。
驚異的な空間の感覚
オーレンドルフからのプレミアムクラスモーターホームでは、全長7.39メートル、車両総重量4.25トンの試乗車「4.9 I LE」は、これでもまだ、シリーズの中でも特に小さいタイプに属する。
今回の試乗車は、まだ第7世代の「フィアット デュカート」をベースにしたものだが、ボディは最新モデルのものだ。
カルタゴによれば、新型「シック c-line」は、新世代「フィアット デュカート」に搭載されて順次納品される予定だ。
このコンパクトなライナーが特に優れているのは、驚異的な空間感覚だ。
リビングやスリーピングエリアは風通しがよく、広々としてのびのびでき、隅々まで食器棚やフラップ、収納コンパートメントが設けられ、有効に活用されている。
インテリアコンセプトの「Linea Progressiva」では、カルタゴのデザイナーは、明るい色の「ウッドデコレーション ゴールドアカシア」と多くの白い表面で、モダンなラインを作り出している。
とはいえ、このデザインは明らかに年配のターゲットグループに向けられたものであると言えよう。
新しいオプション: ベッドエリアにTVキャビネットを設置
まずなにより、家具の形状を変更し、わずかに高さを変えたキッチンがある。
新しい特徴は、キャビネットの下にある、実用的な収納スペースで、表面は手入れのしやすいガラス製だ。
キャビネットは、新世代の「カルタゴ シック」では大幅に幅が狭くなり、よりエレガントになっている。
一方、キッチンの引き出しは幅が広くなり、デザインを一新したベースキャビネットには、必要に応じてガスオーブン(910ユーロ=約12万円)を収納することもできるようになっている。
ベッドルームでは、特に頭上の収納棚が、よりモダンな形に生まれ変わっている。
以前は大きなコーナーコンパートメントだったのが、3段重ねのシェルフに変更されている。
また、オプションでベッドエリアにTVキャビネットを設置することも可能になり(ただしパッケージオプションで、1,350ユーロ=約17万円)、また、「シックc-line」の全モデルのエントランスドアを63cmに広げたという。
フルLEDフロントヘッドライト、運転席・助手席エアバッグ、ALKOシャシー、90リットルディーゼルタンク、マニュアルエアコン、リフトベッド、170リットルの真水など、長い標準装備のリストも用意されている。
160馬力のディーゼルは賢明な投資である
ベースとなる「フィアット デュカート」には、140馬力のディーゼルエンジンが搭載されている。
試乗車は160馬力を搭載していたが、エンジンは残念ながら「古い」ユニットのままだった。
実際の最終的な生産モデルでは、160馬力のバリエーションは2,150ユーロ(約28万円)の追加費用がかかるというが、それは、この車の大きなサイズと重量を考えると、良い投資だと思える。
ライナーは、走り出すと、すぐに家にいるような感覚になる。
走行中のノイズの少なさが、優れた開発品質を物語っている。
また、シャープなリアビューカメラ(1,595ユーロ=約21万円)が衝突を防止してくれる。
5,050ユーロ(約66万円)の追加料金で、「メルセデス スプリンター」をベースにした「I 4.9 LE」も用意されている。
テクニカルデータ: カルタゴ シックc-line I 4.9 LE
● 最高出力: 160PS@3500rpm ● 排気量: 2287cc ● 最大トルク: 400Nm@1500rpm ● 最高速度: 100 km/h ● 駆動方式: 前輪駆動、6速マニュアル ● 燃料タンク容量/燃料グレード: 90リットル/ディーゼル ● 全長x全幅x全高: 7390x2270x2890mm ● ホイールベース: 4143mm ● 乾燥重量: 3514kg ● 最大積載量: 736kg ● 牽引能力: 1800kg ● 価格: 106,890ユーロ(約1,340万円)より ● テストカー価格: 127,445ユーロ(約1,665万円)
結論:
豪華さ、風通しの良さ、そして最高の出来映え – カルタゴは新世代ですべてをやり遂げた。
よりモダンなインテリアはまるで大船に乗っているかのようだ。
しかし、「フィアット デュカート」に期待している人は、古いエンジン(オプションでエンジンはかえられるとはいえ、追加費用は必要)などに、少しがっかりするだろう。
また、新しいアシスタンスシステムのいくつかは、残念ながら、当分の間、利用できないからだ。
日本でもここ数年、観光地などでモーターホームを見かけることが多くなった。たいていはキャブコンと呼ばれる、トラックベースのモーターホームで、ナンバーを見ると「わ」ナンバーも多く、そういえばレンタルモーターホームも多いもんなぁ、とあらためて思う。
さすがに今回のカルタゴほどの大きさのモーターホームあまり見かけないが、それでも一日数台は見かけるので、それなりの需要は、ちゃんと日本でもあるということなのだろう。
今回の「カルタゴ シック」は、その名の通り、なかなかシックな内装で、お洒落で、センスがよろしい。そう、こういうクルマこそセンスがよくなくては、せっかくの楽しい旅が楽しくないではないか。どうも所帯じみたような内装の多い日本のモーターホームには、ぜひそういう部分こそ学んでほしいと思う。基本的な造りや設計などは決して間違っていないのだから、あとはセンスの問題だ。
Text: Jenny Zeume
加筆: 大林晃平
Photo: Bernd Hanselmann / AUTO BILD