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【このクルマなんぼ?】ホンダ CRX 走行距離たった17kmの新車同然の売値は?

2021年11月11日

31年前のホンダCRXがわずか17kmという走行距離で販売されている。

文字どおり新車のままの一台。このホンダCRXは31年前に納車され、たった一度乗っただけで、保管されていた。今回、このスポーツクーペが販売されることになった。スピードメーター上の走行距離は、なんと、17km!だ。

年齢を問わず広い世代で高い人気を誇るオールドタイマーやヤングタイマーの中から、時折、走行距離が非常に少ない状態で出品され、これらのタイムカプセルは常に人々を魅了する。最近では、2007年に出品された、走行距離わずか349kmの「アウディRS4 B7」のニュースをお伝えした。

原則として、これらのタイムカプセルは、ほとんどの場合、高価なスポーツカーや希少な特別仕様車であり、購入後すぐに保管され、数年後、あるいは数十年後に新車として販売して、利益を得るために、走行距離を極めて少なくして価値を高めることを目的としている。そして、この原理は、高級車やコレクターズカーだけでなく、31年前のコンパクトスポーツクーペ、「ホンダCRX」のアナログ式スピードメーターの走行距離が17kmという驚異的な数字にも表れている。

ポルトガルのヤングタイマー専門店「ガラジスティ」は、このシルバーのスポーツクーペを新車の状態で提供しており、広告の中で、1990年に製造された「ホンダCRX」が17kmしか走っていない、新車の一台であるという根拠を説明している。リスボンのホンダ正規ディーラー経由で納車された「CRX」は、すぐに個人のガレージに移され、架台の上に駐車された。それは1990年8月のことだ。それから31年間、この「CRX」は一度も動かされなかった。1.6リッター4気筒エンジンには、オリジナルのエンジンオイルが充填されているし、インテリアにはフロアマットを保護するオリジナルの紙が残っている。バッテリーとブレーキオイルのみが交換されている。

「CRX」には、4気筒16V自然吸気エンジンが搭載されている。2代目「ホンダCRX」は、1987年から1991年にかけて販売された。走りの楽しさを比較的安価に提供するという、シンプルなコンセプトのもとに開発されたホンダらしいモデルだ。独立懸架式サスペンション、4ディスクブレーキ、パワーアシストのないダイレクトなステアリングを標準装備していた。むろん、その当時、ドライビングアシスタントシステムもなかった。ホイールベースは2.30メートルと短い。しかし、経験豊富なドライバーは、アクセルを離すとアンダーステアの後にオーバーステアになることが多かったため、わずか3.80メートルのボディをアクセルで操ることができたのである。「CRX」の心臓部には、高回転型の16V自然吸気エンジンがある。「ED9」では、触媒付きで124馬力、触媒なしで130馬力を発生しており、決して過大なパワーではないと思われる。しかし、車重が910kgしかないクーペなので、0から100km/hまで8.5秒で到達し、200km/h以上まで加速し続ける。さらに速いのは、後に登場した「CRX」のEE8型で、こちらは伝説となった可変バルブ制御のVTEC技術を採用し、1.6リッター自然吸気エンジンから150馬力を引き出している。その「CRX」の最高速度は222km/hに達したと言われている。

信じられないことに、スピードメーター上の走行距離数は実際に17kmを示している。

しかし、このポルトガルの例では、ボンネットにVTECエンジンは搭載されていない。「ブレードシルバーメタリック」の「CRX」は、1.6リッター124馬力エンジンを搭載している。しかし、この特別なケースでは、走行性能よりも、ユニークで原始的なコンディションが重視される。というのも、広告写真を見る限り、この一台は完璧な印象を与えるからだ。シルバーの塗装は最高の状態で、スポーツシートを備えたブラックのインテリアも、一見しただけでは新車と見分けがつかないほどだ。それもそのはず、この「CRX」にオーナーはたった一度しか乗っていないのだ。

未使用: ホンダCRXのインテリアは、絶対的なトップコンディションで紹介されている。

価格はお問い合わせください

さて、一番気になるのは価格だ。残念なことに、ディーラーは真剣な関心がある場合にのみ、リクエストに応じて価格を明らかにすると言っている。市場を調べてみると、ドイツにおける第2世代の「ホンダCRX」の供給は限られている。加えて、かなりの割合の車が購入後にいじられて、改造されている。オリジナルの「CRX」は希少で、10万km以上走行していると、最低でも1万ユーロ(約134万円)はする。したがって、このワンオフの「CRX」は新車同様の状態なので、その何倍もの値段がついても不思議ではない。コレクターや、ホンダファンにとっては、世界で最も走行距離の少ない「CRX」を手に入れるまたとない機会となるからだ。この「CRX」は、とにかく乗るのがもったいない。それとも、乗って楽しむべき車だろうか?

「ホンダCRX」が生産されていた時、本当にホンダには勢いも魅力的な車種が多かった。今回の「CRX」の前のモデルの頃も、「シビック(3ドアも、セダンも、シャトルも)」も魅了的だったし、「アコード」も先進的で本当に欲しかったし、「プレリュード」も大人気だった。そしてこの「CRX」も個人的に大好きな一台で、今こういう「気負わずにさらっと乗れる、小さい実用ハッチバックモデル」があったら、どんなに良いだろうと思ってしまう一台である。21世紀の現在では、VTECモデルであったとしても別にそれほど高性能というわけではないだろうし、室内の質感などもそれなりのものだろう。だが、このサイズと、ちょっとしたドライビングプレジャーを感じることができる、決して高価ではない自動車がホンダにあったとしたら・・・。今ホンダに欠けている部分は、そんなラインナップなのではないだろうか・・・。そんな要望と夢想をすることは無責任なのかもしれないが、「S660」も生産中止し、「シビック」は今や350万円カー、という現状を見ると、なんだかこの「CRX」がより一層魅了的に見える。

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: GARAGISTI