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皆さんオークションに出品された車に興味ありますか? 我々はありありです サザビーズのロンドンオークション 今回も面白いですよー!

2021年10月25日

「このクルマなんぼ?」の究極バージョン。お金持ちの道楽? それともビジネスライクな投資? オークションに参加している人たちは、本当に自動車が好きなのか? 自動車を本当に愛しているのか?

オークションに出品された自動車の歴史や背景やエピソードを知ることは自動車好きにとっては興味深い。
そして何よりその落札価格というか、現時点での価値を知ること自体、非常に興味がある。
わたしの憧れのクルマは「ディーノ246」だった。
バブルが来る前までは400万円台で、私にもいつかは手の届く存在だったが、それも文字通り、泡(バブル)となって弾け飛んだ。
さて、あなたの永遠の憧れのクルマは、今、一体いくらくらいするのだろうか?
今回は、2021年11月6日におこなわれるRMサザビーズのオークションから、英、独、伊の3国にしぼって15台ほど選んでみた。

1959 Mercedes-Benz 190 SL
想定落札価格: 14万ポンド(約2,170万円)

  • ダークグリーンのレザーインテリアとダークグリーンのコンバーチブルトップを備えたスペシャルな仕上げ
  • 約500台製造された右ハンドルの1台と考えられている
  • 2016年から2017年にかけて、丁寧に修復された
  • 総額71,000ポンド(約1,100万円)を超える請求書のファイルが添付されている
    大林晃平: 改めて見ても、190SLはカッコいいメルセデス・ベンツの一台。このボディカラーも上品で美しい。特別に高性能であるわけではないが、本当の意味でメルセデス・ベンツのオープンモデル(SL)に求められるものは、このエレガンスさ、である。そろそろ発表されるAMG SLにこの上品でエレガントな雰囲気は……求めてはいけないのだろうか。

ローバー ミニ クーパー スポーツ500(2001)
想定落札価格: 4万ポンド(約620万円)

  • ケイマン島モーターミュージアムのコレクションから提供された個体
  • 新車時からのワンオーナーで、走行距離はわずか6マイル(約10km)
  • カラーはソーラーレッド、ルーフはプラチナシルバーで、このカラーコンビネーションでは、110台のうちの1台とされている
  • オリジナルの販売請求書のコピー、ミニのオーナーズハンドブック、その他の資料が付属
    大林晃平: ローバー ミニが今や4万ポンド(約620万円)。いくら走行距離10キロで、理想のミニクーパーのスペックを持っているとは言っても、昔の価格を知っている者には手の出せない価格である。
    近所の中古車店に、埃まみれで「23万円」とか、書いて捨てられていたような光景は、もはや遠い、遠い昔話なのだ。

917チルドレンズカー
想定落札価格: 15,000ポンド(約230万円)

  • オリジナルモデルの約70%のスケールで製作され、サイズは2.6メートル×1.6メートル
  • 排気量230ccのガソリンエンジンを搭載
  • 時速28マイル(約45km)のスピードを出すことが可能
  • 軽量なチューブ構造と成形ファイバーグラス製の車体
  • 5歳から大人までのドライバーに対応
    大林晃平: え、これですか? 名車中の名車、「ポルシェ917」です。たったの1万5千ポンド(約230万円)です?? 安い、と思ったら子ども用のクルマでした(とすれば、めっちゃ高い)。でも45km/hという、子どもには危険な速度まで出るというので、かなりの高性能。
    その子の将来はスティーブ マックイーン間違いなし?☺

フェラーリ365GTC/4(1972)
想定落札価格: 215,000ポンド(約3,332万円)

  • 1年半の間に500台製造されたうちの1台
  • 右ハンドルを装備した67台のうちの1台と言われている
  • 一握りのフェラーリ愛好家が長年にわたって所有
  • サービスインボイスと前オーナーの書類が添付されている
    大林晃平: 美しいピニンファリーナデザインのフェラーリ。ため息しか出ないような流れるライン。しかも希少な右ハンドル。価格も現行フェラーリの最下限の車種が買えるか買えないかくらい、です。色も含めて上品とはこういうこと。これでフェラーリのディーラーに乗りつけて、「最新のフェラーリって、こういう感じなんですね」とか言ってみたい。

ポルシェ959コンフォート(1987)
想定落札価格: 100万ポンド(約1億5,500万円)

  • 292台製造されたうちの1台
  • ナンバープレートに一致するエンジンと保存状態の良いインテリアを備えたオリジナル性の高い車
  • 16,660マイル(約26,822km)の走行距離を記録した控えめな使用例
  • 29年間、ワンオーナー(1家族)による所有
  • 32年間、ポルシェ正規ディーラーでサービスを受けてきた
  • 工場出荷時の製造記録、ユルゲン バースによる製造調査、サービスブックレットの記載、サービスインボイスが記録されている
    大林晃平: バブル経済時代のスーパースポーツカーといえば、この「ポルシェ959」と「フェラーリF40」。当時並行輸入された「959」も一億円以上だったことを考えれば、なかなか妥当な価格。欠点は当時のエレクトロニクスデバイス満載なために、おそらくどこか調子を崩すと、あっという間に不動車になってしまうこと。シンプルな構造で、修理が(お金をかければ)可能な「F40」との違いはまさにそこ。某自動車メーカーが実験とデータ取りのために購入した「959」は、壊れて修理が不能になり、厚木の山の中に埃をかぶったまま、ほったらかされていたと聞いた事がある。

アストンマーティンDB4シリーズI(1959)
想定落札価格: 375,000ポンド(約5,812万円)

  • 1963年から一家族で所有
  • 約150台のDB4初代シリーズのうちの1台、フレームレスドアウィンドウ付き
  • ヒストリーファイルには約60年前のワークショップのインボイスが含まれている
  • エンジンはナンバープレートと同じで、全体的にオリジナルに近い
  • 完全に修復されたことはないと思われる
  • グレーのインテリアにチューダーグレーの仕上げ
    大林晃平: 007の影響でアストンマーティンといえば「DB5」というのが世の中の流れなのかもしれないが、いずれにしても、もはやどのモデルも5,000万円を超える価格はあたりまえ、オリジナルのナンバープレートや、カーバッチ(所属しているクラブのマークであろう)などもすべてオリジナルというのが英国流。どんなに暑くとも、ツイードジャケット着て乗ろう。

アルファロメオ ジュリアGTA 1300ジュニア(1968)
想定落札価格: 22万ポンド(約3,410万円)

  • 「ストラダーレ」コンフィギュレーションで公道用に登録されていた
  • 1968年から1975年にかけて製造された447台のジュリアGTA 1300ジュニアのうちの1台
  • 2014年にドイツのブランドスペシャリストによって、17,000ユーロ(約226万円)以上のレストア作業が行われた
  • 2021年には、ジョンダンビーレーシングによって、25,000ポンド(約387万円)をかけてエンジンの分解と再構築が行われた
  • アルファロメオオーナーズクラブおよびアルファロメオ オートモビリッシモ ストリコからの証明書を含む書類が付属
  • ヒストリックラリーやサーキットイベントに参加可能
    大林晃平: アルファロメオの好きな人は、きっと間違いなく、みんな大好きで、みんな欲しいというに違いないジュリアGTA。確かに完全なレストアを受け、ぱりっぱりの完成度だが、3,500万円近い価格を見ると、どうにもならない、というしかない状態。それにしてもホイールも何もかも、まるっきりの新車である。

ジャガーCタイプ(1952)
想定落札価格: 450万ポンド(約6億9,750万円)

  • ジャガーが製造した53台の「Cタイプ」モデルのうちの1台
  • SCCAのレースで活躍した経歴を持つ、優れた競争力を持つモデル
  • 1988年に、レストアスペシャリスト2社によるレストアがおこなわれた
  • オリジナルのボディ、シャシー、エンジンを保持しており、JDHTの生産記録で確認されている
  • 伝説的なジャガーのレースカーの純粋な個体
  • 世界各地で開催されるコンクールやヒストリックモータースポーツへの参加資格を有する
    大林晃平: 実物、見たことある人――――? いないよね、という「Cタイプ」。「Dタイプ」もカッコいいけど、「Cタイプ」も魅了的。ジャガーではなく、ジャギュア、と呼ぶ人にとってはこれこそが、真のジャギュア。7億円という価格も、そういうものかもしれない、と納得してしまうが・・・、やはり高価だ。

メルセデス・ベンツ300Sクーペ(1952)
想定落札価格: 30万ポンド(約4,650万円)

  • このメルセデス・ベンツが製造した300Sクーペは、わずか216台のうちの1台と考えられている
  • カラーはブルーグリーンメタリック、内装はタンレザー
  • 3.0リッター直列6気筒エンジンと4速マニュアルトランスミッションを搭載
  • データカードに記載されている通り、オリジナルのエンジンを保持しており、付属の写真ではパワートレインの解体と再構築の様子を見ることができる
    大林晃平: お上品で高貴だった(成金のためのクルマではなかった)頃のメルセデス・ベンツ。上品なボディカラー、流れるようなライン、タンの内装・・・。今のAMGメルセデス・ベンツは爪の垢を煎じて飲むべき。写真では大きく見えますが、実は現行の「メルセデス・ベンツEクラス」のほうがよほどデカい、です。

ポルシェ934(1976)
想定落札価格: 975,000ポンド(約1億5,200万円)

  • ポルシェ初の量産型ターボチャージャー搭載レーサー
  • 31台しか生産されなかった934グループ4レーシングカーのうちの1台
  • 6年間の優れた競技成績
  • 935の機械仕様にアップグレード
  • 完全な記録、オリジナルの外観の復元
    大林晃平: 箱車レ―シングカーのアイコンともいえる「934」。妙に見おぼえがあり、既視感バリバリなのは、日本人には、田宮模型から出ていた「ラジコンカー」として見慣れているため。もちろんグッドイヤーのロゴ入りレーシングタイアも含め、公道はまったく走れませんが、コレクターには必須の一台。100万ポンド(約1億5,800万円)近くであっても、躊躇しちゃったら一生の後悔間違いなし。

ACエース‐ブリストル(1960)
想定落札価格: 275,000ポンド(約4,350万円)

  • 登録済みのオーナーは2人だけで、最初のオーナーは38年間この車を楽しんでいた
  • 1965年までさかのぼるワークショップのインボイスを含む、詳細なヒストリーファイル
  • 魅力的なオリジナルの「ブリストル」エンジンブロックとシリンダーヘッドを装備
  • 2002年にレストアが行われ、その後は定期的にサービスとメンテナンスが行われている
  • オプションで4速マニュアルギアボックスにオーバードライブを装備
  • 1954年から1963年にかけて生産された463台のエース-ブリストルのうちの1台で、右ハンドルは100台のうちの1台
    大林晃平: ブリストルエンジンと合体したACブリストル。こういうクルマを愛する者こそ、本物の英国車好き、といえる。最初のオーナーは38年間この車を愉しんだ・・・。うそう英国車はそうあるべきだし、クルマも人も幸せな関係を築いてきたといえる。光りすぎていないワイヤーホイールやグリルなども、じつに「らしい」。ぎらついたメッキはアメリカ人に任せるべき。

ポルシェ 356カレラ ザガート スピードスター サンクション ロスト(1960)
想定落札価格: 45万ポンド(約6,975万円)

  • 唯一生産された356カレラ ザガート「サンクション ロスト」スピードスター
  • 1958年と1959年にクロード ストアーズがレースに参戦したポルシェ ザガートのスピードスターを忠実に再現したモデル
  • オリジナルカーのカラーであるビアンコガーデニアで仕上げられている
  • 1960年製のポルシェ356 Bをベースに、2016年にザガート社が完成させたもの
  • マッチングしたポルシェ356カレラ ザガートの「サンクション ロスト」クーペと一緒に提供される
    大林晃平: 唯一生産された「ザガートポルシェ サンクションロスト」。たぶんこれを買い逃すともう巡り合うチャンスはないのではないか、という希少車。そう考えれば7,000万円弱は妥当な価格かもしれない。ポルシェらしくないけれど、そこがまた魅了的。

ポルシェ356A 1600スーパー by Reutter(1959)
想定落札価格: 18万ポンド(約2,850万円)

  • 水陸両用の速度記録保持者であるドナルド キャンベルCBEが最初に所有した車
  • 1965年から一家族で所有
  • 全面的に修復され、その過程が写真で記録されている
  • キャンベル氏がポルシェを所有していたことを証明するポルシェ工場のカーデックス文書
  • 1959年に開催されたブレリオ アニバーサリー レースでキャンベルがポルシェを運転している様子を撮影した歴史的な画像とビデオ
  • ボディ、シャシー、エンジン、ギアボックスのナンバーがマッチ
    大林晃平: 今や3,000万円近い356A。この「ロイター」というコーチビルダーはポルシェ本社の近くに、つまりツッフェンハウゼンにあった会社です。この優しい雰囲気の色も、飾らないホイールも、白いステアリングホイールも、やさしくいい感じを醸し出している。右ハンドルモデルなので、日本で使うのにも駐車券をとりやすく便利。

フェラーリ250GTE 2+2シリーズⅢ by ピニンファリーナ(1963)
想定落札価格: 25万ポンド(約3,950万円)

  • フェラーリ250GTE 2+2の766台目、シリーズIIIの115台目の生産車
  • 1963年4月にスイスに納車され、その後の人生の大半をスイスで過ごしたと記録されている
  • ベージュのコノリーレザーにアズーロという工場出荷時の仕様で登場
  • 2021年9月に発行されたフェラーリスペシャリスト、マルセル マッシーニ氏によるヒストリーノート付き
    大林晃平: オシャレなピニンフェラーリ。色よし雰囲気よし程度よし。価格も昨今のスーパースポーツカー価格を考えればなかなかなバーゲンプライス。ワイヤーホイールやクロームメッキの上品な輝きは、スイスに住んでいたという出生を表すかのよう(ちょっとほめ過ぎ)。上品で高貴なクーペというのはこういうこと。「フェラーリ ローマ」の隣に止めたら、もちろんこちらの「勝ち」。

アストンマーティンV8ヴォランテ ザガート(1988)
想定落札価格: 25万ポンド(約3,875万円)

  • 37台しか製造されなかったV8ザガート ヴォランテの1台
  • オリジナルのカラースキームとオリジナルのフューエルインジェクション付き320馬力エンジンを搭載
  • 走行距離はわずか6,742マイル(約10,854km)、オリジナルと思われ、前オーナーは3名のみ
  • エアコン、オートマチックギアボックス、リミテッドスリップデフなどのオプションを装備
    大林晃平: なかなかオシャレなアストンザガート。でも何かイマイチ、と思ったら、まずはこの、関口宏がCMをやっていたころのサニーみたいなボディカラーがアストンマーティンらしくないこと。もう一つはライトカバー、ではないかと感じた。この彫の入ったライトカバー、これはいけません。アストンマーティンは目が命、です。

ポルシェ 356カレラ ザガート クーペ サンクション ロスト(1961)
想定落札価格: 45万ポンド(約6,975万円)

  • 2台しか生産されなかった356カレラザガート「サンクション ロスト」クーペの1台
  • クロードストアーズ社のスピードスターのカラーリングであるビアンコクチナシに、赤のテールフィンのハイライトを加えて仕上げられている
  • 1961年製のポルシェ356カレラをベースに、2017年にザガート社が製作
    大林晃平: さっきのザガートポルシェのクーペバージョン。スピードスターと同じ金額。でもポルシェのようでポルシェでない、ベンベン。と考えながら頭に浮かぶのは、アルピーヌとか、Mismaque Squalにそっくり。まるで兄弟のようです(って疑う人は、検索してごらんなさいな)。

おまけ:
(マジか)その1: フェラーリディーラー向けイルミネーション看板。

約100万円(6千ポンド)します。
大林晃平: 興味のない人にはありえないかもしれないが、エンスージャストであればあるほど、こういう「普通に売っていないもの」ほど、「欲しいもの」なのである。そしてそういう人にとっては、100万円は惜しくないし、逆に「ああそういうものなの?」と言うかもしれません。私はもちろん、買いませんが。(笑)

おまけ:
(マジか)その2: フェラーリ250GTのオリジナルステアリング。

いくらすると思いますか?5,000ポンド(約78万円)でやんす。(笑)
大林晃平: クルマ全体の価格から微分積分すると意外と安いような感じもしますが、普通に生活をしている価値感覚の人からしたら、こんなもの(失礼)ひとつが、牛丼2,000杯でありますか!です。

そのほかにも550マラネロ(2000年)が約2,500万円、911Sタルガ(1976年)が約930万円で出品されていました。

以上です。
今回もお楽しみいただけましたか?
We hope so.
次回もお楽しみに!

Text & photo: RM Sotheby’s