モデル名にロイヤルとあるメルセデスベースのモーターホーム カベ トラベル マスター ロイヤルx780 LGBをテスト その全容
2021年9月21日
カベ(Kabe)トラベル マスター ロイヤルx780 LGB。このスウェーデン製モーターホームはボデイサイズも大きく、スペースに余裕がある。アメリカでは良い評判を得ているが、ヨーロッパでは人々から驚きの表情で迎えられている。約2.5メートルのボディ幅を持つ、カベの新しいセミンテグレーテッド(部分統合)車は、新基準を打ち立てられるだろうか。
今日は流れに逆らってみよう。
世界の国々がパネルバンや、幅の狭いセミインテグラル(部分統合)車を目指している中、我々は正反対の方向を目指す。
スウェーデンのメーカー、カベ(Kabe)が発売した、「ロイヤル」シリーズのセミインテグレーテッドバンは、ボディ幅がなんと2.45メートルもある。
今回のテストで、我々が主に知りたいことは通常の部分統合型に比べて、10cm増えたボディ幅は、果たして効果があるのか?
そして、その巨体で、交通渋滞の中をストレスなく泳げるのか(?)、ということだ。
旅行者はどこでも楽しく体を伸ばせる
この車は、メルセデス スプリンターをベースにした、贅沢な気分を味わえる大型モーターホームである。
そのことは豪華な仕上げにも表れているが、最大の特徴は完璧な室内環境にある。
これは、温水式床暖房と、独立したキャブヒーター、そして特殊なサンドイッチウォール構造によって実現されている。
特許取得済みのプラスチックプロファイルには、空気の通り道があり、熱伝導を最適化するアルミニウムの内層には、湿気を蒸発させる通気性のある壁紙が貼られている。
加えて、美しい音響効果も得られる。
部屋の空気は、家具の後ろで、自由に循環させることができるようにもなっているため、贅沢な空間をはっきりと感じることができる。
窮屈さがないので、旅行者はどこでも気持ちよく体を伸ばすことができるようにできている。
例えば、L字型のシーティンググループでは、ベンチの高さが調整でき、アームレストも折りたためるようになっている。
また、コーナーキッチンには、換気扇とオーブンが標準装備されている。
さらに、大きなシングルベッドは、我々が知る限り、最も快適なもののひとつだ。
唯一、バスルームでは、自由に動くことができないのがマイナーな欠点だ。
快適なオンボードライフのための巧みなソリューション
そして、「ロイヤル」シリーズには、欲しかったものがすべて標準装備されている。
それが、高額な購入価格の理由でもある。
スマートホームコントロールシステムから、ルーター、MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエキスペリエンス)システム、アンビエントライティング、130Ahバッテリー、ベッドのアジャスタブルヘッドレスト、ガス圧減衰式キャビネットフラップ、ワイドなボディドア、パノラミックルーフウィンドウ、引き出し式アンテナ付きテレビ、強化オルタネーター、クルーズコントロール、マルチファンクションステアリングホイール、エアコンまで、すべてが搭載されている。
さらに、車内での快適な生活のための巧みなソリューションも用意されている。
チェックルームの濡れたレインジャケット用のドリップトレイ付き乾燥棚、クローゼットドアの小物用ワイヤーバスケット、片手で操作できる強固なフラップファスナー、人間工学に基づいた形状のシート、必要な場所に設置されたコートフックなどがその例だが、ボディとキャブの間にあるつまずきやすい段差もない。
さて走行性能だが、懸念されていたような道路空間の狭さを感じることはあまりない。
しかし、特に狭い車線では、対向車に注意を払う必要がある。
大型のエクステリアミラーや、標準装備のバックカメラは、運転の際に大きな助けとなる。
シャシーは快適にチューニングされており、遮音性も高く、標準装備のオートマチックトランスミッションと、パワフルなエンジンにより、リラックスして運転することができるようにちゃんと仕上がっている。
結論:
そう、ワイドボディは一応道路にフィットする。
そして室内には、もちろん広く快適な空間を持っている。
素材の良さ、作りの良さと相まって、カベは一流のバケーションコンパニオンとなる。
ロイヤルというネーミング通り、大きく立派で快適そうなモーターホームだが、おそらく一般的なユーザーが通常運転できる大きさの、最上限ぎりぎり、もしくはそれを超えたあたりのサイズの一台だろう。
大きければ大きいほど、室内が広く快適なのは当たり前だが、目的地まで運転する時に気を使うことや、燃費なども当然ハードルとしてでてくるだろう。もちろん日本にもこのサイズの車を所有し使える場所があることは確かである。だがさすがに友人に相談された場合、「大丈夫だから買っちゃえよ」というのはあまりにも無責任なアドバイスで、友情関係にひびが入りそうだ。
「いろいろと条件をもう一度見て考えて、それでも大丈夫そうなら購入して、ぜひ納車されたら乗せてね」というアドバイスのほうがいいのではないか、そんなサイズの豪華キャンパーである。
Text: Alexander Failing
加筆: 大林晃平
Photo: Sven Krieger / AUTO BILD