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バイク一騎打ち ハーレーダビッドソン対BMW 果たしてハーレーダビッドソンはBMWの伝説を打ち破れるか?

2021年9月15日

ハーレーダビッドソン パン アメリカ スペシャル対BMW R 1250 GS。決闘: ハーレーの新型エンデューロは、伝説のBMW R 1250 GSを凌駕できるのか? ハーレーダビッドソンはパン アメリカ ツーリングエンデューロで、伝説のBMW GSたちのライダーを誘惑したいと考えている。我々は、その長所と短所を検証する。どのマシンが誰に適しているのか?

➤ ハーレーとBMWでどれだけ旅ができるか?
➤ パン アメリカやGSでの楽しみ方はどのくらいあるのか?
➤ オフロードライドでのライバルたちの成績は?
➤ ハーレーとBMWは、荷物を積むときに何が得意か?

今回の比較では常に「BMW GS」がベースとなってしまうが、それは仕方ないのだ。
「GS」は、オールラウンダーであり、ボクサーの心臓を持つクライミングタワーであり、ツーリングエンデューロのスタンダードのような存在だ。
したがって、「GS」は、ドイツでは、この分野で最も売れているバイクであり、40年ほど前から、その普遍的な才能を証明している。
エンデューロ好きなら「GS」の虜になってしまうのは当たり前。競争相手は目に入らない。少なくとも今までは・・・。

よりによって、ハーレーダビッドソンは、オリジナルのメーターをノコギリで切断した。
V2エンジンとアクティブシャシーを搭載した「パン アメリカ」は、「BMW GS」の成功レシピに忠実に作られている。
スピード、旅、必要ならば長距離、そしてたくさんの荷物。
それができるのがオリジナルだ。
BMWは40年以上、6世代にわたってオフロードのフラッグシップに磨きをかけてきた。
そんな「GS」に対抗して作られたハーレーのニューモデルは、ディーラーのショールームに置かれてからまだ数週間しか経っていない。

今回の対決は、「ハーレーはどれだけ違うのか」を明確にするためのものだ。
どのようなタイプのライダーが、どのブランドを使うのが良いのか?
どのモデルが優れているのか?
4つの章では、長所と短所を比較し、詳細な特徴で分類している。
そこでは、最初の実践的な比較から得られた知見を紹介する。

1.ハーレーとBMWでどれだけ旅ができるか?

燃費の良さ、タンクの大きさ、風防の高さはハーレーの方がわずかに優れていて、超ロングツーリングでの耐久性はハーレーの方が上だ。
また、ハーレーの方がやや速い。
更に、「パン アメリカ」のシートは、カジュアルな形状をしているので、「GS」のように固定されたポジションではなく、サドルを前後にスライドさせることができるようにもなっている。
一方で、高速走行時(150km/h前後)には、パニアを装着した、BMWの方が、方向安定性が高い。
パッセンジャーパッケージのおかげで、「GS」のパッセンジャーは、より快適なシートと前方の視界を手に入れることができるようになっている。

ハーレーダビッドソンのパン アメリカ スペシャルのシートは、前後にスライドさせることが容易だ。

2台のマシンは、マルチメディアの面でも対等である

BMWと同様に、ハーレーもボタン一つでスピードを維持することができるようになっている。
さらに、コックピットのディスプレイをナビゲーションデバイスに変換したり、スマートフォンを連動させたり、インカムをダイヤルしたりすることもできる。
原理的には、マルチメディア機能は同等だ。
ゆったりとした滑走性に関しては、BMWが明らかに有利だ。
より大きなトルクを持つボクサーエンジンは、低回転域でよりパワフルに回り、アダプティブサスペンションは路面の凹凸をより確実に処理する。
また、「R1250」のウィンドシールドの高さ調整は、操作が簡単で、安定性に優れている。
一方、「ハーレー パン アメリカ」のウィンドシールドは、非常にガタガタしている。

BMW R 1250 GS:テクニカルデータ/長所・短所
テクニカルデータ:
● エンジン: 2気筒ボクサー、空冷/水冷 ● 排気量: 1254cc ● 最高出力: 136PS@7750rpm ● 最大トルク: 143Nm@6250rpm ● 最高速度: 200 km/h ● タイヤ: v./h. 120-70 19/170-60 17 ● シート高: 850~870mm – 重量: 249 kg – 燃料タンク容量: 20リットル ● 価格: 16,580ユーロ(約218万円)より
エルゴノミクス:
シートの高さは機械的に調整可能だが、ステップによってシートポジションはやや固定される
ウィンドスクリーン:
安定性とシンプルな高さ調整機能を備えたウィンドスクリーンは、高速走行時にも優れた保護性能を発揮
ホイール:
チューブレスタイヤを装着したクロススポークタイプの製アロイホイール、リアは17インチ、フロントは19インチ
エグゾースト:
フラップコントロール付きのエグゾーストは、非常に音が良く、時には厳しい鼓動音をたてる
リア:
贅沢なパッドを使用したピリオンパッケージは快適な姿勢を実現。ハイライズでレッグラインポジションも良好
プラス/マイナス:
プラス: 非常にパワフルで、出来栄えも良く、非常に快適で、ブレーキ時の前後のブレもない
マイナス: 高速スタート時にクラッチに負担がかかる、ハードなギアチェンジ時に車体が反応する

2.パンアメリカとGSの楽しさの違いは?

同じ車重でありながら、ハーレーの方が、ハンドリングが軽快で、レボリューションマックスエンジンは、高回転域でより活発に動く。
コーナリングでは、ハーレーの方がリーンアングルの可能性が大きく広がる。
また、スプリントも速い。
しかい、「GS」に搭載されているような、最新のシフトアシスタントが、「ハーレー パン アメリカ」には搭載されていない。
停車状態から急発進するときには、BMWの角張ったクラッチが目立つが、これも「パン アメリカ」の方がスムーズだ。
エンジンを酷使して限界まで走るのが好きなライダーは、ハーレーの方が楽しめるだろう。

ギアチェンジでBMWが傾く

とはいえ、BMWは車重をうまく隠しているし、勇気あるシフトチェンジを含めた高速カーブで変更も躊躇しない。
残念なのは、急激なシフトチェンジをすると、「GS」はギアチェンジのたびに大きく沈み、大きく跳ねる。
このピッチングが気になって、ハンドリングに神経質になってしまうのだ。
一方で、ハードブレーキング時のフォークのサポート力は素晴らしいものがある。
この技術(テレレバー)を採用したBMWを高く評価したい。
慣れの問題なのか、 悩ましいのは足の動きを制限するメインスタンドの位置だ。
直接比較すると、BMWの方が「パン アメリカ」のささやき声のような排気音よりも、はるかに不機嫌な音がする。

BMWは急なシフトチェンジをすると上下動が激しくなることがある。惜しい!

ハーレーダビッドソン パン アメリカ スペシャル:テクニカルデータ/長所・短所
テクニカルデータ:
● エンジン: V2、水冷式 ● 排気量: 1252cc ● 出力: 152馬力@8750rpm ● 最大トルク: 128Nm@6750rpm ● 最高速度: 225km/h ● タイヤ: 1.V./H. 120-70 R 19/170-60 B 17 ● シート高: 830~894mm ● 重量: 258kg ● 燃料タンク容量: 21.2リットル ● 価格: 17,995ユーロ(約万円)より
エルゴノミクス:
2段階のロックが可能なシート、優れたクッション性、シャシーの追加高さ調整機能
コックピット:
マルチレイヤーのメニューナビゲーションを備えた大型コックピットディスプレイ、調整が難しいウィンドシールド
ホイール:
スポークタイプ(チューブレス)には500ユーロ(約6万円)の追加料金が必要。サイズはフロント19インチ、リア17インチ
エグゾースト:
抑制された排気音が特徴の、「スクリーミンイーグルシステム(アクセサリー価格:約1,200ユーロ=約15万円)を採用
リア:
ペイロード(積載量): 197kg、フットレストの取り付け位置が高いため、人間工学的にパッセンジャーの位置が制限される
プラス/マイナス:
プラス: 旋回性に優れた力強いV2、軽快なドライビングフィール、クリーンなハンドリング
マイナス: スペシャルパッケージに縛られた余分なもの、エッジの効いたスロットルレスポンス、プロセッシングの弱点

3.オフロード走行でのライバルの評価は?

先行するには?
オフロード走行性能は主にタイヤで決まる。両モデルともラグトレッドの装着が可能だ。しかし、それについてはここでは触れない。
それ以外の装備にも目を向けたいと思う。
例えば、「ハーレー パン アメリカ」のリアは、オフロード走行時に、ボタンひとつで約5cm下げることができる。
この電動式サスペンションの調整は、不整地でバイクを支える際に非常に役立つ。
どちらのモーターバイクも、歩行ペースであれば気持ちよく移動できる。
トラクションコントロールやABSシステムなどの運転支援機能は、路面やライディングスタイルに合わせて調整することができ、ライダーは2台のモーターバイクのライディングモード(それに応じたレスポンスの良いスロットルレスポンス)や、ダンパーの硬さを何度も調整することができるようにできている。

2台とも、歩きのペースでも簡単に扱え、理論的にはオフロード走行も可能なマシンだ。

これは、万が一、マシンが転倒しても適用される

万が一、バイクが転倒した場合はどうなるだろうか?
ハンドルの先に77kgの牽引力があるBMWは、傷ついた「パン アメリカ」が85kgの力で真っ直ぐに戻すのに比べて、幾分か楽に持ち上げることができる。
BMWは、バルブカバーとライダーのフットレストにしか接触しないので、よりエレガントに(つまり素材への影響が少なく)転倒する。
一方でハーレーは、エキゾーストサイレンサー、ハンドルバーエンド、フットレスト、スペシャルに標準装備されているサイドラジエターガードなどの「接点」に着地する。

転倒してしまった場合、BMWの方がハーレーよりも接地面が小さいので傷がつく部分が少ない。

4.ハーレーとBMWの積載性の良さとは?

パニア(荷かご)、タンクバッグ、トップケース…。
考えられる最大の収納方法を合計すると、BMWは147リットル、ハーレーは130リットルの荷物を積むことができる。
また、ハーレーには、タンクバッグ仕様しかない。
加えて、両者ともに、ソフトバッグ、ハードケース、アルミケースが用意されている。
従って、「GS」の最大積載量は216kg、ハーレーは197kgのバラストを追加することができる。
BMWとは異なり、ハーレーでは、キャリアシステム装着時の最高速度を制限していない(GSの場合 最高180km/h)。

BMW GSは、交通手段としてはもう少し才能があると思う。その上、本当に多くのことを乗客に提供している。

結論:
BMWの方が優れている?
いくつかの分野ではそう通りだ。
「パン アメリカ」はオリジナリティが高く、よりアクティブで、豊富なシャシー技術と、パワフルなエンジンを備えている。つまり、本当の意味での別の選択肢なのだ。
それでは、「BMW R 1250 GS」はどんな人にお薦め?
頻繁に旅行する人、テクノロジーを愛する人、裕福な人。
向いていない人は?
30歳以下の人。
「ハーレーダビッドソン パン アメリカ スペシャル」はどんな人に向いているか?
BMWに対する反抗心の強い人、ハーレーへの転向希望者、新進気鋭の人々。
向かない人は?
内向的な人。

Text: Jan Horn, Mirko Menke
Photo: Olaf Itrich / AUTO BILD