アウディ Audi grandsphere concept EVラグジュアリーセダンが革新的な体験を創出する
2021年9月4日
未来を見据えたファーストクラス
道路を走るプライベートジェット。アウディは、IAA 2021において、Audi grandsphere conceptを発表する。全長5.35mのgrandsphereセダンは、飛行機のファーストクラスを連想させる、最高レベルの快適性を備えたラグジュアリーなプライベート空間と、包括的な乗車体験を融合。自動運転モードでは、ステアリングホイールとペダル類が格納され、ディスプレイが消えて、インテリアが広々とした体験空間へと変化。フロントシートは「運転席」ではなく、最大のスペース、最高の見晴らし、包括的なデジタルエコシステムによる多彩な機能へのアクセスを提供し、まさにファーストクラスのラウンジとなる。
アウディが発表する”sphere”コンセプトカーの第2弾となるAudi grandsphere。
このコンセプトカーに採用されているテクノロジーとデザインは、数年後のアウディモデルに再現されることになる。
2021年8月にデビューしたEVロードスターのAudi skysphere conceptは、可変ホイールベースを備え、ドライバーが操作するスポーツカーから自動運転のGTへと姿を変える印象的な自動車の壮大なビジョンを示している。この2台のコンセプトカーと、2022年に第3弾として登場し、3部作を締めくくるAudi urbansphereは、同じ基本コンセプトを採用しているだけでなく、レベル4の自動運転が可能という点でも共通している。アウディは、フォルクスワーゲングループのソフトウェアシンクタンクであるCARIAD(カリアッド)と協力して、このテクノロジーを2020年代の後半に実現することを目指しているという。
最大のトピックはレベル4の自動運転モードでは、従来のドライバー重視のコックピットとパッセンジャーシートから構成されるインテリアスペースが、ステアリングホイールとペダル類が格納されることによって、広々としたラウンジにその姿を変えることだ。ついに「ミライのクルマ」が実現する。Audi grandsphere conceptが、自動車を”体験型デバイス”へ変化させることになる。
未来を見据えた3つのファーストクラス
Audi skysphere、Audi grandsphere、Audi urbansphereは、アウディブランドが先進的なラグジュアリーのビジョンを示すために製作する3台のコンセプトカー。ただ単にA地点からB地点へと移動するだけでなく、車両の中心的な要素にインテリアを据えることにより クルマ本来の目的をはるかに超えた乗車体験を生み出すことを目指している。
デザインプロセス – インテリアからエクステリアへ
Audi skysphere、grandsphere、urbansphere conceptでアウディは乗員を取り巻く空間を「sphere」(スフィア=球)と呼び、デザインの中心的要素にインテリアを据えている。この新世代の車両では、スペック表のハイライトとなる要素は「駆動システム」や「ハンドリング性能」ではない。発想の起点はインテリアで、その後、車両の技術的なスペックに基づいて、クルマを総合的な芸術作品へと変えるパッケージング、エクステリアライン、プロポーションが決定さた。
空間、形態、機能 – インテリア
Audi grandsphere conceptのドアは観音開きでBピラーはない。 ステアリングホイールやペダル類、あるいは従来型のダッシュボードがないユニークなスペースは、開放感で満たされている。
革新的な経路識別機能によって乗員を事前に認識し、ドアを開き、パーソナライズされたディスプレイとアンビエントライトによって温かく迎え入れる。さらに、ドライバーと乗員の位置を自動的に検出し、空調コントロールの設定やシート位置などの快適機能を、各乗員に合わせて調整、インフォテインメントシステムが、乗客が最近使用したサービスにアクセスし、シームレスにそのサービスを再開。たとえば、乗員がタブレットで試聴していたビデオを、Audi grandsphereのディスプレイで自動的に再生するといった具合だ。運転席でドライバーが読んでいたニュースをピックアップして、投影面に表示することもしてくれる。
レベル4の自動運転を使用しない手動走行モードでは、シートを起こしてクルマを自由自在に操ることができる。そして、シートバックを40°傾けると、乗員はリラックスした姿勢でインフォテインメントシステムを楽しむことができ、60°傾けると、完全な休憩ポジションとなる。エアベントから吹き出るエアは、フィルターで濾過され、温度が調整されるだけでなく香りをつけることも可能。スピーカーから流れるサウンドが他の乗員に聞こえることもなく、すべての乗員には、完全なプライベート空間が確保される。
インテリアには、ウッドやウール、合成繊維や金属が、ウォールパッドやシートカバー、あるいはカーペットとして露出し、心地よい手触りを提供するが、ウッドパネルをはじめとして、これらは、最高品質の素材だけで作られる一方で持続可能な栽培によるものか、リサイクルされた原材料から作られている。Audi grandsphereには、レザーは使用されていない。
自動運転モードでは、投影面で映画を楽しんだり、インフォテインメントコンテンツを表示させたり、ビデオ会議の画面として利用したりすることができます。また、投影面の下にはセンサーバーが一体化されていて、音楽再生やナビゲーションなど、異なるコンテンツを素早く切り替えられるよう工夫されています。ここには、車内でアクティブになっているすべての機能とアプリケーションが表示され、メニューごとにアイコンが点滅します。
ドア開放部の近くには、非常に革新的なコントロールエレメントであるMMIタッチレスレスポンスが備わっています。ステアリングホイールを使用する手動走行モードで、ドライバーがインテリアの前方に座っている場合、このコントロールを使用して、回転リングとボタンを介してさまざまな機能メニューを選択したり、クリックしたりすることができます。ディスプレイにタッチすると、触覚フィードバックが返されます。それにより、シンプルで直感的な操作が可能です。
レベル4自動運転中にドライバーがシートを後方に移動してリクライニングさせると、これらの快適機能を指で操作する必要がなくなります。この姿勢では、アイトラッキングとジェスチャーコントロールを使用します。眼に向けられたセンサーは、コントロールユニットが作動するときに視線を検出します。この時、乗員は身体を起こすことなく、ジェスチャーによる疑似動作をするだけで、手で触れずにシステムを操作することができます。
アイトラッキング、ジェスチャー、ボイスコントロール、手書き入力、タッチ入力など複数のインターフェースが用意されていますが、すべての操作モードには同じコンセプトが採用されています。Audi grandsphere conceptは、個々のユーザーに合わせて調整され、ユーザーの好みや頻繁に使用するメニューを学習します。このような方法で基本的なコマンドを完璧に実行することはもちろん、ユーザーに向けてパーソナライズされた提案を行うことも可能です。
光学インジケーターを使用た目に見えないタッチサーフェスが常に提供され、左右のドアのアームレストに収納されたVRメガネでホロライドシステムといったインフォテインメントデバイスと組み合わせて使用することができます。
大きな塊から削り出したようなエクステリアデザイン
Audi grandsphere conceptは、全長5.35m、全幅2m、全高1.39mのラグジュアリークラスのクルマであることを全身で表現。3.19mのホイールベースは、現行Audi A8のロングホイールベースバージョンすら上回るサイズだ。
Audi grandsphereのエクステリアデザインは、明らかにこれまでのデザイン手法とは異なった「電気自動車」の特徴が表現されている。短いオーバーハング、フラットなボンネット、可能なかぎり前方に移動したフロントウィンドー。しかし、多くの電気自動車とは異なり、そのデザインは、未来的というよりは、伝統的な美しさの理想形を追求したものにも見える。
ボンネット基部に端を発する第2の水平ラインは、サイドウィンドー下側を通過し、上記の水平線と同様、キャビン全周を貫いている。ホイールアーチには、典型的なアウディデザインであるソフトで印象的な形状が採用され、巨大なCピラー後方のスレンダーなリアセクションは、伝統的な流線形をモチーフにしている。まるで1つの大きな塊から削り出したような印象だ。
駆動システムと充電
Audi grandsphereのテクノロジープラットフォームは、バッテリー駆動の電気駆動システム専用に開発されたプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)をベースにして、EVの利点を最大限に活かすことができる。PPEの主要なエレメントは、フロントおよびリヤアクスル間に搭載された容量約120kWhのバッテリーモジュールで、アクスル間のベース部分全体を使うことで、フラットなバッテリーレイアウトが実現した。
それにより、充電時間は従来型エンジンの燃料補給と同等レベルに近づいた。300km以上の走行に必要なエネルギーの充電は、わずか10分で完了。さらに、容量120kWhバッテリーの充電レベルが5%まで低下した場合でも、25分未満でバッテリー充電レベルを80%まで回復させることができる。
quattroドライブシステムが、Audi grandsphereにも採用され、530kWのシステム総合出力と、960Nmの最大トルクを発生する、2基の電気モーターが搭載されている。選択した駆動システムと最高出力にもよるが、航続距離は750kmを超えるため、内燃エンジン搭載車と遜色なく、日常のニーズを満たす完璧なユニバーサルカーに仕上がっている。
Text&photo:AUDI AG./Audi Japan
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