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JRモータースポーツ JRM GT23 チューンナップヒーロー 日産GT-R(R35)今回は? たったの760馬力です

2021年8月26日

この「日産GT-R GT3」レーシングカーは、ストリートリーガル(公道仕様)だ。イギリスにあるJRモータースポーツは、道路用のレーシングカーを製造している。最大760馬力を発揮する、JRM GT23は、正真正銘のGT3レーサーをベースにしているのだ。

チューナーの間では「ロードレースカー」という言葉が、何となくスポーツカーとレーシングカーそれぞれの匂いがするようなものに対して使われることがある。しかし、「JRM GT23」は、やや異なる。
このクルマは、イギリスのJRモータースポーツのレーシングカーだった「日産GT-R GT3」を、レーシングチームが、公道走行可能な仕上げたものだ。
そして、この車は23台が製造される予定だ。

1.35トンの車重で最大760馬力を発揮

「GT23」は、原理的にはレースカーと同じだ。
ボディ、シャシー、パワートレインは、2015年シーズンの「GT3」から受け継いでいる。
レギュラーモデルの「GT-R」とは対照的に、ここではエンジンが大幅に低く、より後方に配置されている。
これは最適な重心を保つために非常に重要な処置だ。
また、「GT23」は全輪駆動ではなく、後輪駆動のみとなっている。
恐ろしいことに、3.8リッターのツインターボV6にはなんと出力制限がない。
それは、684馬力のパワーを発揮する。
さらに、JRモータースポーツでは、760馬力へのアップグレードも可能だ。
わずか1,350kgというライトウェイトな車両重量で、どのようなドライビングパフォーマンスを発揮するのかは、実際に試してみない限り、誰にもわからない。
このエンジンを日常的な使用に適したものにし、影響を受けにくくするために、ピストン、コンロッド、カムシャフト、ターボチャージャーなどが変更されている。

ボディはレース用のGT3と同じで、公道ではより残虐な印象を与える。

カーボン製センターロックホイール

パワーは、ニューマチックシーケンシャル6速トランスミッションで管理されている。
シャシーのジオメトリーやサスペンションは、レーシングカーと同じだが、スプリングやダンパーは、日常使用に適したものに変更されている。
ホイールは、センターロック付きの2つのオプションが用意されている。
バージョン1は、18インチで、サーキット用のスリックタイヤを装着している。
バージョン2は、20インチのカーボンファイバーホイールに、ロード用タイヤを装着したものだ。
ホイールの後ろには、APレーシング製の4ピストンおよび6ピストンのブレーキが装着されている。

コックピットにはアルカンターラを使用

インテリアでは、JRモータースポーツが、基本的にロールケージなどにアルカンターラを貼っているだけだ。
また、オンボードコンピューターにも多少の変更が加えられている。
それ以外のコックピットは、レーシングカーに対応しており、市販の「GT-R」を、高級セダンのように見せることもできるほどレーシーなものに変更できる。
JRモータースポーツでは、この「GT23」を、23台製作する予定で、独自のメンテナンスサービスプランも用意している。
価格についてはまだ公表されていないが、10万ユーロ(約1,300万円)前後の予算が車輛本体価格とは別に必要なのは間違いない。
ベーシックな「GT-R」の価格は122,340ユーロ(約1,590万円)で、かつて209,990ユーロ(約2,730万円)だったニスモは、現在製造されていない。

シーティングポジション(着座位置)は、シリーズ生産モデルに比べて大幅に低く、後ろに下がっているため、日常生活では役に立たない。

世界では「GT-R」の存在価値がまだまだ高く、登場した時の、あの迫力が若干薄れてきた感じのする日本よりも、おそらくずっと高値安定のままだ。そして「GT-R」をさらにチューニングするメーカーもかなり多い。
イギリスにあるJRモータースポーツ(JRといっても、国鉄ではない)の作るこの「GT-R」も760馬力にまで高め、さらに数々の装備をはぎ取って軽量化し、空力パーツを付けた、レーシングカーを公道走行仕様にコンバージョンしたモデルだ。個人的には「GT-R」といえば、その存在を世界舞台に押しあげた独特の4輪駆動システムがつかないことが残念ではあるが、ベースになった「GT-R NISMO GT3」は、もともとレギュレーションの関係上後輪駆動なのだからJRモータースポーツにはどうすることもできない部分である。後輪駆動760馬力の「GT-R」がいったいどういう世界のクルマなのか、私などにはまったく想像がつかない世界であることは間違いない。

Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: JRM Group