激レアなアルファロメオ発見 1952アルファロメオ1900Cカブリオレ ボロボロの状態で見つかる 果たしてその値段は?
2021年8月19日
ウルトラレアな1952年式アルファロメオ1900Cカブリオレ。そのコーチビルダーはカロッツェリア ピニン ファリーナ。「Pininfarina」ではなく、「Pinin Farina」の時代だ。88台しか作られなかったうちの1台という希少なモデルである。
1952年式「アルファロメオ1900Cカブリオレ(コーチビルド: ピニン ファリーナ)」は、1900Cプラットフォームを使用した、88台のカブリオレのうちの1台だ。限定生産されたカブリオレは、エレガントなライン、魅力的なプロポーション、繊細なディテール、そして優れた製造品質を備えていた。ピニン ファリーナが、アルファロメオのために製作したカブリオレは、全体的なデザインにおいて、同時期のランチア、フィアット、フェラーリのシャシーに搭載されたものとよく似た、デザイン手法である。シャシー01063は、米北東部、ニューイングランド地方のニューハンプシャー州のガレージに、30年間眠っていた貴重なコーチビルドのアルファロメオであり、実に素晴らしい発見である。これは、過去55年間、同じオーナーの下で過ごしてきた理想的なレストア候補だ。レストアが施されたら、数々の世界的に名だたる走行会やコンクール デレガンスに参加することができることは言うまでもない。
このピニン ファリーナ製カブリオレの最初のオーナーとして記録されているのは、ドイツのダルムシュタットに在った「第7避難病院」に駐留していた、アメリカ陸軍軍曹のリロイ ベル ジュニア氏である。1964年9月、彼はこのアルファロメオを、「ベース アメリカン エレメンタリースクール(小学校)」に勤務する教師、バーバラ ウルビエロニスに売却した。記録によれば、購入時のカブリオレは、ブルーに塗装されており、すでに9万キロ近く走行していたという。それから2年間、ウルビエロニスさんはフランクフルトのアルファロメオ代理店であるオートフリードリッヒ社に、1900Cのメンテナンスを依頼した。その後、1966年に、ニューハンプシャー州に帰国する際には、自慢の愛するピニン ファリーナ製カブリオレとともに戻ってきたという。アメリカに戻ってからも、アルファロメオは、1983年まで時々運転していたが、最後には自宅のガレージに収められ、そのままとなった。
現在、レストアされていない「1900Cカブリオレ」のオドメーターは98,615kmで、1960年代半ばに約10,000km走行している。このカブリオレには、全体的にかなりのレストアが必要だが、オフホワイトにレッドのシートで仕上げられたピニン ファリーナの特徴的なボディワークはほぼそのまま残っており、重要な部品や、トリムのほとんどがそのまま使用されている。また、この「1900Cカブリオレ」には、非常に人気の高いオリジナルの「ティーポ1308」エンジンが搭載されているほか、オリジナルの在独米軍登録プレートや、最近ではニューハンプシャー州のバニティプレートとマッチしたキーチェーンタグも残されている。これらの特徴に加えて、このアルファロメオには、保険、登録、機械的な修理に関する全書類を含む、ドイツにいた頃の記録のファイルも併せて提供される。56年間の所有期間を終えたばかりの、レストアされていないこのアルファロメオは、とてもエキサイティングな発見だ。
シャシーナンバー: AR1900C01063
エンジンナンバー: AR130800132
- 珍しいコーチビルドのアルファロメオ。88台しかない、ピニン ファリーナ製1900Cカブリオレの1台。
- オリジナルの1308エンジンを搭載。
- 55年以上のワンオーナー
- 理想的なレストア候補車
- 数々の走行会やコンクール デレガンスに参加可能
このままの状態での価格:267,500ドル(約2,950万円)
「アルファロメオ1900Cカブリオレ」は本文中にも記されている通り、88台だけ生産された美しいカブリオレだ。今回の一台の程度は見た通りの、レストアをかなりの部分で要する程度の一台ではあるが、大変良いポイントは、今までの経歴がすべてクリアに判明しているということだろう。年月は経ているし、その走行距離もかなりのものではあるが、それよりもこの一台がどのように歴史を刻み、今までどのように乗られてきたのか、あるいは大きな事故や盗難などに遭遇していないかなどが明確に証明されているため、安心して?購入することのできるクルマではある。
全体的なレストアに関しては相当な時間と金額を必要とすることは言うまでもないが、パーツの欠品などもなく、写真を見る限りかなり揃っているものと思われる。大切なのはこういうクルマがちゃんと発見され、こうしてレストアの方向に歩み始めているということで、極論すれば、きっとこれからは廃車になることも世の中から消え去ることもなく、ずっと大切にされることが保証されたようなものだ。そしてこのクルマが消失してしまわずに救われたこと、そのことこそが一番良かったニュース、と言える部分なのである。
Text & photo: GULLWING MOTOR CARS
加筆: 大林晃平