初テスト 525馬力V8ランドローバー ディフェンダー110でワイルドテスト その性能と評価は?
2021年8月12日
ワイルド・ワイルド・ベスト
525馬力の5リッターV8を搭載するランドローバー ディフェンダーは、まさに高嶺の花だ。我々は、ランドローバーのパワーをテストしてみた。
ランドローバーで500馬力超え?
1970年代、初めてV8エンジンを搭載した「ランドローバー シリーズIII」が登場したとき、搭載された3.5リッターのキャブレターエンジンは、わずか91馬力だった。
そのランドローバーがこのたび、8気筒エンジンを搭載した「ニューディフェンダー」を発表した。
「メルセデスGクラス」の、AMGバージョンの成功は、オーバー500馬力クラスのモンスター級のパワフルな車を、高額で購入する人々がいることを証明している。
たとえそれがスポーツカーではなく、SUVでもない、本物のオフロードカーであっても・・・。
V8ランディの疾走能力には目を見張るものがある
だから、ディフェンダーのボンネットに、5リッターのスーパーチャージャー付きV8を埋め込んだのは理にかなっている。
しかも、ワンテン(110)と呼ばれる、ロングの4ドアモデルだけでなく、ショートのナインティ(90)にも搭載されている。
驚いたことにそのモデルは、単に大きなエンジンを詰め込んだだけでなく、シャシーにも手を加えている。
強力なスタビライザーバー、硬めのダンパー、再チューニングされたエアサスペンションにより、スピードの乗ったコーナリング時の横方向への傾きや、車体の動きが抑えられている。
ステアリングは、他の「ディフェンダー」バージョンに比べて、しっかりとしたフィードバックと、よりダイレクトなステアリングレスポンスを実現するための努力が認められる。
2.5〜2.7トンの車両重量にもかかわらず、スーパーチャージャー付きV8がスロットルの動きを加速に変換する様子は、音響的にも素晴らしい体験だ。
荒れた土地でもディフェンダーなら問題なし
言うまでもなく、ディフェンダーはスポーツカーではない。
コーナーでスピードを出しすぎると、ESPが作動し、すぐに速度を落とす。
22インチのストリートタイヤを装着している「ディフェンダー」は、ドイツの高速道路で240km/hを超えることができるが、もちろん、オフロードタイヤを装着することも可能で、その場合は電子制御で、191km/hで加速は停止する。
V8には、リダクションギアや、電子ロックを備えた、「フルオフロードパッケージ」が搭載されており、オフロードの厳しい状況下でも、625Nmという太いトルクを、細かく発揮することができる。
8気筒エンジンをラリースタイルで走らせたい人には、電子制御式の「アクティブリアディファレンシャル」がお勧めだ。
これは、緩い路面での、コントロールされた、控えめなドリフトをサポートしてくれる。
まったくもって理不尽だが、楽しいものだ。
また、「P400e」と呼ばれる、プラグインハイブリッドモデルも、ラインナップにはある。
V8とほぼ同等の速さでありながら、燃費を抑え、わずか0.5%の税金で済むという、社用車としては夢のようなモデルだ。
テクニカルデータ: ランドローバー ディフェンダー110 P525 V8
● エンジン: V8、スーパーチャージャー、フロント縦置き ● 排気量: 4999cc ● 最高出力:525PS@6000rpm ● 最大トルク: 625Nm@2500rpm ● 駆動方式: 全輪駆動、8速AT • 乾燥重量: 2678kg ● 全長×全幅×全高: 5018x2008x1967mm ● トランク容量: 972~2277リットル ● 0-100km/h加速: 5.4秒 ● 最高速度: 240km/h ● 平均燃費: 7.8km/ℓ ● CO2排出量: 290g/km ● 価格: 127,300ユーロ(約1,680万円)
結論:
V8が心に響くところでは、理性は沈黙する。
冷静に考えてみると、プラグインハイブリッドに比べて、0-100km/h加速タイムは0.2秒短いが、燃料は少なくとも2倍必要となることはお忘れなく・・・。
AUTO BILDテストスコア: 2-
先日お伝えした、「ランドローバー ディフェンダー」のハイパフォーマンスバージョンは、チューニングカーメーカーが製作し、販売したものだが、今回の「V8ディフェンダー」はメーカー自身が開発したものである。
こういうオフロードヴィークルに、ハイパフォーマンスエンジンを積むことになった先駆けは、いうまでもなく「メルセデスベンツ ゲレンデヴァーゲン500GE」で、あの時は驚くと同時に、なんてことをするんだ、と思ったものだが、いつの間にか、その「500GE」、いや、今は「G500」は、普通のカタログモデルになり、今やごく普通の「ゲレンデヴァーゲン」のグレードである。
もちろんトルクもあるし、エンジンの性格も、線の細い6気筒よりも良いかもしれないが、それでも高速道をカッ飛んで行くようなクルマではないことは言うまでもない。
重さや重心の高さは物理的に変えようもないため、ハンドリングもブレーキも決して過信してはいけないものであることは言うまでもない。メーカー自身が開発したものだから、オフロード性能はもちろんのこと、ある程度は高速走行もこなせることは言うまでもないが、あくまでも主体は悪路に向いた一台であることを忘れてはならない、そういうクルマが「ディフェンダー」なのである。
Text: Thomas Rönnberg
加筆: 大林晃平
Photo: Jaguar Land Rover