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TURBO 3 伝説のグループBモンスター ルノー5(サンク)ターボ が猛々しいレストモッドとして復活!

2021年8月9日

レジェンドオートモービルをレストモッドモデルに、コンバージョン。デザイナーとエンジニアだけの小さなチームが、伝説のルノー5ターボを復活させようと計画している。すべての情報!

伝説的なパッケージに、新しい技術を盛り込むことができるのが、レストモッドと呼ばれる車だ。
ここでは、旧車を、最新の技術で現代に蘇らせることができる。
1980年代の伝説的なクルマのひとつに、「ルノー5(サンク)ターボ」がある。
この控えめな小型車は、当時の改造によって、グループBのモンスターとなり、ロードバージョンの「ターボ1」と「ターボ2」でも素晴らしい性能を見せた。
フランスの新興企業である、レジェンデ アウトモビルス(Legende Automobiles)社は、このクラシックカーに新たな命を与えたいと考えている。
彼らの作る「R5ターボ3」では、この伝説的なラリー車を公道に復帰させると同時に、最新の技術と素材を採用している。
以下に、「R5ターボ」の新バージョンについてのすべてを紹介する。

「ターボ1」、「ターボ2」と同様、レストモッドのベースとなるのは、3ドアの「ルノー5」だ。
その上にカーボンファイバー製のシャシーを組み、オリジナルの2台よりも、かなりワイドに見えるようにしている。
デザイナーは、2台の先代モデルの良いところを採り入れ、1台の車にまとめた。
フェンダーに加えて、ホイールのサイズも大きくなっていて、フロント16インチ、リア17インチとなっている。
リアホイールアーチに備わった、2つの巨大なエアインテークは、当時と同様に、ミッドエンジンに冷却風を供給する。
フロントには、特徴的な長方形のヘッドライトが装着されているが、「ターボ3」では、LEDライトになっている。
リアも同様だ。
ここにも先代のデザインが引用され、現代的なLEDテールライトによって現代に生かされている。

リアの広いぽっちゃりした頬も、当然ながら良いフォルムの一部を構成している。

インフォテイメントのないR5ターボのインテリア

インテリアは、クラシックな「ルノー5ターボ」との共通点はほとんどない。
丸い計器類は、フルデジタルの計器群に変わっている。
デジタル化はそれだけで、インフォテイメントはない。
しかし、だからといって快適性が犠牲にされているわけではない。
写真を見る限りでは、80年代にマニアが夢見たデュアルゾーンエアコンシステムが搭載されている。
コックピットとダッシュボードはグレーのアルカンターラで彩られ、そこにオレンジのアクセントが加えられている。
巨大なシフトレバーやカスタムシートなど、「ターボ3」が真のスポーツカーを目指していることがわかる。

室内は、スポーツドライビングのために抑制されたものとなっている。R5ターボ3は、必要なものだけを採用した、スポーティなモデルだ。

オリジナルを大幅に上回るパワー

レストモッドのエンジンもシートの後ろに配置されている。
しかし、はっきりしているのは、ニューエディションのターボは、内燃機関に忠実であり、電動化はしていないということだ。
様々な情報によれば、その出力は406馬力に達し、シーケンシャルギアボックスを介して後輪に送られるとのことだ。
これはオリジナルよりもかなり高い値だが、誰も文句を言わないだろう。

台数や価格は未定だが、この新しいオールディーズは、おそらくあまり路上で見かけることはないだろう。
また、最初のモデルがいつ完成するのかもわからない。
価格は、ベース車を除いて、1万ユーロ(約1,320万円)台になることは間違いない。
ここでは、すでにランチア デルタ インテグラーレを現代に移植したアウトモビリ アモスが良い参考となろう。
移植後のイタリア車のコストは30万ユーロ(約3,960万円)というものだ。
「ターボ3」も同様の範囲に収まるだろう。

旧い形を再解釈: ターボ3は、現代的な装備が施されているにもかかわらず、明らかにルノー5であることがわかる。

結論:
「R5ターボ3」は、レジェンデ アウトモビルスのデザイン&エンジニアリングチームが、自動車の歴史の中で他に類を見ない車を復活させたものだ。
当時も、ルノーはターボモデルで、どちらかというと飾り気のない市販車を、妥協のないスポーツカーに仕立て上げていた。
このレストモッドは、これらの美点と、現代のテクノロジーを組み合わせることで、貴重な遺産にふさわしいものとなるだろう。

ルノー5ターボが大好きで大好き、という女性を知っている。もうこのクルマこそ一番で、それは永久不滅の存在、それほどの想いを聞いたこともあった。
もちろん僕も「ルノー5ターボ」の魅力は理解しているつもりで、特に最初の、つまりシリーズ1こそが、「ルノー5ターボ」の魅力が、ぎゅーっと詰まったモデルであると思っている。
理由はあのマリオ ベリーニの手掛けた内装につきる。なんでまたこんな過激なこの車にこんな内装を、と思ってしまうほど、派手でチャーミングで、でもセンスあふれる内装なことか。あの内装だけで、僕は「ルノー5ターボ」に、「負けました」という気持ちなのだが、そういう目から見るとこのレストモッドはその部分がちょっと足りない。
確かにこのレストモッド「ルノー5ターボ」、内装も頑張っているが、ちょっとあの何とも言えないチャーミングな内装にまでは、及んでいないことが残念だ。
さらにもうひとつ付け加えると、ライトの形状というか、表情がやや不気味で、せっかくの「ルノー5ターボ」のかわいらしさが、木端微塵になってしまっている部分が気になってしまう。
ライトひとつで表情も変わるし、全体の雰囲気は左右される。いくら最新のライトで明るくとも、この表情ではせっかくの「ルノー5ターボ」が、可哀そうな気がするのだが…。

Text: Andreas Huber
加筆: 大林晃平
Photo: Legende Automobiles