初テスト 新型ジープ コンパス ジープ製コンパクトSUVの実力を試す その結果と評価は?
2021年8月8日
コンパクトSUV、新型ジープ コンパス1.3l GSE T4をチェック。ジープはコンパスの方向性を変えたのか?今回のモデルアップデートは、ジープ コンパスの弱点を改善することになっているが、果たしてそれは可能なのか?我々は最初のチェックを行った。
キャンバストップ、恒久的な全輪駆動、そして常に冒険を追い求める姿勢。
我々一人ひとりが、「ジープ」から連想することは、とても深いものだ。
しかし、現行のモデルレンジとの違いは、それと同じくらい顕著だ。
欧州では、「ジープ コンパス」は、長年にわたって、シリーズのベストセラーとなっている。
仕事の後にちょっとした冒険をしたいときのプラグマティズム。
コンパクトでモダン、そして(ほとんど)前輪駆動。
全体的に素朴な外観と、紛れもないブランドエンブレムが組み合わされている。そういった部分こそ、好評な理由だ。
コンパスのフロントは、より力強くなった
生産開始から5年が経過し、イタリアのメルフィの生産ラインから出荷されている「コンパス」が、モデルアップデートを行った。
外観では、デイタイムランニングライトを内蔵した、より精悍なフロントエンドとなり、内部では、最大10.1インチの新しいセンターディスプレイが採用されている。
このディスプレイは、先代よりも高い位置にスライドし、コンピューターは5倍高速化され、「UConnect-5」システムにより、Apple CarPlayとAndroid Autoがワイヤレスで利用できるようになった。
新しいデジタルインストルメントディスプレイと組み合わせることで、より使いやすくなっている。
このような改善は、シートヒーターを見つけることさえ、ちょっとした冒険だったので、良いアプローチと言える。
出来映えも良くなっている。
残っているのは、やや魅力にかけるエンジンラインナップだ。
オートマチックトランスミッションでは、1.3リッターはもはや説得力がない
150馬力の1.3リッター「GSE T4」に乗った。
お行儀がよく、余裕のある力強いエンジンだ。
問題は、オートマチックトランスミッションしかないことだ。
DSGトランスミッションは、不必要に長い間、エンジンを高回転に保ち、以前の自動マニュアルトランスミッションのように感じられる。
130馬力のエントリーモデルでは、マニュアルの方がよくマッチしている。
「コンパス」が、フロアパンと多くの技術を共有している、「フィアット500X」の、やや骨太なシフトフィールには慣れている。
唯一の1.6リッターのディーゼルも、130馬力を発揮するが、ファンにとっては悔しいことにオートマチックは用意されていない。
対して、180馬力と240馬力のプラグイントップモデルには、トルコン式オートマチックが独占的に搭載されている。
ベース価格47,600ユーロ(約628万円)の、「トレイルホーク(Trailhawk)」は、価格帯の上限を示している。
一方で、ベーシックモデルの「スポーツ」は、28,000ユーロ(約369万円)と、かなりリーズナブルな価格設定になっている。
新しい競合モデルと比較すると、「コンパス」は独自の特徴をいくつか残しているが、しかしそれは、この車が本物の「ジープ」であることを示しているにすぎない。
テクニカルデータ: ジープ コンパス1.3l GSE T4
● エンジン: 4気筒ターボ、フロント横置き ● 排気量: 1332cc ● 最高出力: 150PS@5500rpm 最大トルク: 270Nm@1560rpm ● 駆動方式: 前輪駆動、6速デュアルクラッチ ● 全長×全幅×全高: 4404×1819×1629mm • 乾燥重量: 1505kg • トランク容量: 438~1387リットル ● 最高速度: 199km/h ● 0-100km/h加速: 9.2秒 ● 燃費: 15.6km/ℓ ● CO2排出量: 151g/km ● 価格: 33,000ユーロ(約435万円)より
結論:
緩いシャシー、緩いステアリング、調和のとれていないパワートレイン・・・、競合他車と比較して、「コンパス」はやや遅れをとっている。
モデルチェンジしても、そのような部分は何も変わらない。
しかし、誰も真似できないのは、その、「ジープである」、ということだ
ジープというブランドというだけで、なんだか楽し気で、未完成の部分もなんだか許される、そう考えると、なんだか得なブランドではあるが、特に「ラングラー」などには、その傾向が強い。この「コンパス」はそういう意味では、ちょっと贔屓目な評価すぎる気もするが、まあフィアットの兄弟車でもあり、悪路をガンガン行くクルマではまったくなく、あくまでもコスメティックを施されたSUV風味の小型車なのである。
今後は、この分野ももちろんハイブリッドシステム、あるいはEVにならざるを得ない世界情勢ではあるが、まだしばらくは、この車は普通の内燃機関のままで行くらしい。気軽に、街で着るアウトドアブランドのように力を抜いて乗ったら、それはそれで楽しい一台なのだろう。次のモデルはきっとハイブリッドシステムだろうし、価格も上がるだろうから、そういう意味では今がお買い時なジープなのである。
Text: Malte Büttner
加筆: 大林晃平
Photo: Fiat Chrysler Automobiles