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ロータスからAMGエンジン搭載ポルシェ ケイマン対抗モデル登場 ロータス エミーラ その詳細をレポート

2021年7月11日

ロータス最後の内燃機関エンジン搭載車

ロータスは、AMGエンジンを搭載した新しいポルシェケイマンのライバルモデルを発表した。このロータス最後の自然吸気エンジン搭載車、エミーラは、AMGエンジンを搭載しただけでなく、スポーツ用だけに設計されたモデルではなくなっている。その詳報をお届け。

ロータスに大きな変革が迫っている。
中国の吉利汽車グループの傘下に入った英国の伝統的なブランドは、将来的には電気自動車のみを製造することになっている。
しかし、その前に内燃機関を搭載した最後のモデル、「エミーラ」が登場した。
「ポルシェ ケイマン」のライバルとなるこのモデルは、ロータス製モデルとして初めてAMGエンジンを搭載している。
そのパワーユニットは、「AMG A45」にも搭載されている2リッターのターボチャージャー付き4気筒だ。
このユニットは、「エミーラ」にミッドエンジンとして搭載されるために、さらなる改良が加えられており、AMGが試行錯誤を重ねて開発した8速デュアルクラッチを介して後輪に365馬力を供給する。
これ以上の性能データはまだない。

ファーストエディションは2022年春にデリバリー開始予定

しかし、2基目のエンジンとして用意されている、トヨタのおなじみの3.5リッターV6のデータはすでにあり、それは406馬力と430Nmを発揮し、マニュアルまたはオートマチックの変速機を備えている。
この6気筒エンジンを搭載したモデルは、0-100km/hを4.5秒以下で駆け抜け、最高速度は290km/hに達するとされている。
ロータスは、このエンジンを搭載した「エミーラ ファーストエディション」の受注を開始し、2022年春に最初のモデルを納入する予定だ。
一方で、AMG製4気筒搭載モデルの市場投入は2022年夏を予定している。
価格についてはすでに手がかりがあり、72,000ユーロ(約950万円)以下でスタートする予定だ。

ロータスは、エミーラ(名前は「リーダー」を意味する)の重量を1,405kgとしている。

ハイパーカーのロータス エヴィージャをベースにしたデザイン

全長4.41m、全幅1.90m、全高1.23mのこの2シーターは、フロントフードのエアアウトレットや、特徴的なフルLEDヘッドライトなど、電気自動車のハイパーカー「エヴィージャ(Evija)」を参考にしたデザインとなっている。
テールライトは、マクラーレンのモデルを彷彿とさせるフィリグリー曲線のシグネチャーを採用し、両サイドをつなぐ連続したストリップライトは、ブレーキをかけたときにしか見えないようになっている。
エアアウトレットは再びランプユニットの下に配置されている。
そして、その下のスカートはブラックで縁取られている。
ナンバープレートのカットアウトの左右にはテールパイプがあり、もちろんディフューザーも備わっている。

日常的な実用性を初めて重視

そのデザインからは想像できなくても・・・。
「エミーラ」の開発では、ロータスは、スポーティさに加えて、日常的な使用にも適していることを、もう一つの目標とした。
例えば、サスペンションは、標準では快適性を重視して設計されているが、より妥協のないスポーツセットアップは有償オプションでしか提供されない。
この新しい試みは、インテリアにも表れている。
もちろん、スポーツシート、スポーツステアリングホイール、シフトノブの赤いカバーやマニュアルシフトの部分的に見えるシフトリンケージのような特別なタッチなど、ロータスには通常の美点が備わっている。
しかし、従来とは異なり、カップホルダー、ドアコンパートメント、USBおよび12Vポート、さらにはコンソール上にボトル用のネットが用意されている。
また、シート裏の収納スペース(208リットル)や、ミッドエンジンの後ろにある151リットルのトランクも、実用性の高さをアピールしている。

12段階の電動調整が可能なプレミアムスポーツシートをオプションで用意。

デジタルコクピットを標準装備

このセグメントでは、アナログ計器の代わりに12.3インチのスクリーンが採用されている。
付属のセンターディスプレイは10.25インチと適度な大きさで、もちろんApple CarPlayやAndroid Autoでスマートフォンとペアリングできるようになっている。
また、ローンチコントロールをはじめ、レインセンサー、パーキングアシスト、レーンチェンジアシストなど、スポーティなドライビングには必ずしも必要ではない、デジタルヘルパーデバイスも搭載されている。

ロータスの魅力、それは軽さとシンプルさ、なのでないかと思う。軽さを実現するためにコーリン チャップマンは新しい素材を惜しみなく、勇気を持って使用し、彼にとっての理想的なスポーツカーを実現させていた。
惜しまれつつ生産を中止した「エリーゼ」も、軽く、シンプルで、新しい素材(技術)を取り入れた自動車だった(シャシーなどへの接着剤の使用は、発表当時大きな話題になっていた)。
今回発表された「エミーラ」は、ロータス最後の内燃機関のスポーツカーであり、日常の使用にも十分成立するような自動車だという。確かにATあり、デジタルデバイスあり、荷室ありという点など、これなら苦労せずに毎日の足として成立するだろう。もちろん現在の路上で使用するにはデジタルデバイスによるサポートシステムは必須だし、快適装備満載であることも否定はしない。やせ我慢がスポーツカーの魅力ではないから。
でも、1000万円の価格で1.6トンのスポーツカーが「エリーゼ」の後継ということはあり得ないし、言ってみれば「エヴォーラ」の進化系、なのだろうか。個人的にはよりシンプルで軽いロータスが、革命的な素材や技術を使い登場することを期待したい。例え、それがEVであったとしても、とびきり軽く、シンプルで小さなスポーツカーだったとしたら、コーリン チャップマンはきっと賛成して(喜んで)くれるような気がする。

Text: Katharina Berndt
加筆: 大林晃平
Photo: Lotus Cars