E-Legend EL1 アウディ スポーツ クワトロへのオマージュ しかしEVで驚愕の価格だ

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スポーツクワトロのオマージュは100万ユーロ(1億3400万円)以上、そしてEVモデルとなる。バイエルンのメーカーが、「アウディ スポーツ クワトロ」を電気自動車として復活させる。現時点でのすべての情報をお届けする。

自動車の長い歴史上には、レジェンドと呼ばれる車がある。
メルセデスの「300SL」、ポルシェの「カレラGT」、マクラーレンの「F1」など、多くの人が手に入れることのできない、しかしアウディにも、それに勝るとも劣らない魅力を持った車がある。
「アウディ スポーツ クワトロ」がその1台だ。
インゴルシュタットで製造されたこのホイールベースの短縮型全輪駆動クーペは、ヴァルター ロールが成功を収めた、伝説の「アウディ スポーツ クワトロS1 E2」のロードゴーイングカウンターパートモデルだった。
この30年の間に生き残った「スポーツ クワトロ」は、わずか数台だけで、今では高額で取引されているが、もし市場に出たとしても、その数はもちろん限られている。
そこで登場したのが、有名なアウディへのオマージュとなる1台のEVだ。
バイエルンの小さなスポーツカーメーカーであるE-Legend社は、「EL1」で「アウディ スポーツ クワトロ」の精神を蘇らせると同時に、電気自動車として現代に蘇らせたいと考えている。
800馬力以上の出力と、フル充電状態でノルトシュライフェ(ニュルブルクリンクサーキット北コース)を2周できるバッテリー容量を備えたこの車には、期待が持てそうだ。
以下に、電気自動車のスポーツ クワトロの概要を紹介しよう。

「E-レジェンドEL1」の外観は、「アウディ スポーツ クワトロ」に近いものであると考えられており、その意図は守られているようだ。
この「EVクワトロ」は、オリジナルのようにエッジの効いたデザインで、その遺伝子を否定することはできない。
しかし、新しい電動モデルのフロントには現代的なLEDヘッドライトを搭載している。
さらにボンネットには特徴的なベンチレーションインサートも備わっている。
「EL1」のホイールアーチは大きくフレアしており、これは特にリアで印象的な形で目立っている。
リアでは、E-レジェンドは、クラシックなリアデザインを採用し、円周上のライトストリップと小さなリアスポイラーでそれを表現している。

後ろから見てもオリジナルのスポーツ クワトロを強く意識したものとなっている。

オール電化のアウディ スポーツ クワトロのインテリアはまだ確定していない
「E-レジェンドEL1」は、今後生産される予定だが、インテリアはまだ確定していない。
とはいえ、装備についてはすでに詳細が明らかになっている。
エアコン、パワーウインドウ、パーキングセンサー、インフォテイメントなどが装備される予定だ。
シャシーはトリプルアジャスタブルで、駐車場やスピードバンプに対応したリフト機能もオプションで用意される予定だ。
スポーティなデザインと、1,680kgという車両重量にもかかわらず、乗員は快適さを犠牲にする必要はない。

インフォテイメントシステムは、シンプルなダッシュボードのデザインにもかかわらず、省略はされてない。サイドミラーはカメラ式が採用されている。もちろんこれはコンピューターグラフィックスで、まだまだイメージスケッチの段階

カーボンモノコックを採用した30台の電気自動車スポーツ クワトロ
メーカーはこの「EVクワトロ」を、30台製造する予定だ。
生産はプロトタイプのエキスパートであるロディング社が担当する。
ここでは、「EL1」のカーボンモノコックが製造されている。
つまり、このスポーツカーは、大部分が生粋のバイエルン車なのだ。
また、E-レジェンド社のボスであり創業者のマーカス ホルツィンガーは、「スポーツ クワトロ」の再来を、自ら描いてみせた。
このデザイナーは、かつてフォルクスワーゲンのデザイン部門で働いていたことがある。
具体的なテクノロジーに関しては、バイエルンのメーカーは、まだ口を閉ざしている。
しかし、「E-レジェンドEL1が」最大816馬力を発揮することだけはすでに知られている。
「クワトロ」の後継車は、リアアクスルに2つ、フロントに1つの計3基の電動モーターを搭載している。
最高速度は255km/h、0から100km/hまでの加速は2.8秒で実行される、としている。
「ポルシェ タイカン」や「アウディe-tron GT」と同様に、「EL1」は800ボルトの技術と、最大150kWの急速充電機能に依存している。
バッテリーパックの容量は90kWhで、最大400kmの走行が可能とされている。
スポーティなドライビングスタイルであれば、この距離は、まだまだ希望的観測にとどまるだろうが、フルロードでノルトシュライフェを高速で2周することは可能なはずだ。

ワイドな頬、大きなホイール: EL1はミックスタイヤを履いている。

EL1は「IAA 2021」で公式デビュー
今年はフランクフルトではなく、ミュンヘンで開催される「IAA 2021(ドイツモーターショー2021)」では、多くの人がこのクルマを見ることができるだろう。
興味を持った人たちが、ショー会場で、バイエルンの正しい最終的な完成EVモデルを目にすることができるかどうかは、まだわからない。
「EL1」の価格は、89万ユーロ(約1億1,926万円、消費税別)からと予想されている。
さらに付加価値税を含めれば、このスポーツカーは100万ユーロ(約1億3,400万円)の大台を容易に突破するであろう。
潤沢な資金を持つファンのための「スポーツ クワトロ」オマージュのEVだ。
しかし、「EL1」だけではなく、「E-レジェンド」からの、さらなるモデルもすでに計画されている。
「EL1」の発表会では、「ランチア ストラトスHFストラダーレ」が傍らに置かれていたが、これは次のプロジェクトを示唆しているのかもしれない。

アウディクワトロが一番輝いていた頃、それはこの「スポーツ クワトロ」や「ビック クワトロ」の時代なのではないだろうか。ラリーではミッシェル ムートンが大活躍し、テレビでは、カラヤンが「クワトロ」を自ら運転して移動する姿が報道される、そんな全盛期の「スポーツ クワトロ」をEVで蘇らせよう、というのが今回のプロジェクトである。
しかし、このようなモデルの常で、決して価格は安くない、というか大変高価である。1億3,400万円あれば、ロールスロイスとフェラーリとポルシェとアルピナと、買い物用に、フィアット500ツインエアも買えるだろう。それだけの価格をEVのクワトロ一台に出すかというと、個人的には考えてしまう。
まあこういうクルマを買う層には、価格ではなく、魅力こそすべてなのだろうが、それであれば内装なども、思い切り当時のラリーカーそのものに仕立てあげてみてはいかがだろうか。なにせ1億円以上なのだから、それぐらいのオジサン接待はあるべきだ。

Text: Andreas Huber
加筆: 大林晃平
Photo: E-Legend