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チューニング メルセデスをBMW、ポルシェ、そしてフェラーリのボディカラーにすることもできる! そんなメルセデスカスタマイズ部門の詳細!

2021年7月1日

メルセデス デジーノ マニュファクチャ(Designo Manufaktur): Sクラス、Eクラス、Gクラス、AMG GT。メルセデスのカスタマーは、「デジーノ マニュファクチャ」プログラムにより、BMW、ポルシェ、フェラーリのカラーで、自車をペイントすることもできる。すべての情報はこちら。

個性化の重要性はますます高まっている。
メルセデスの顧客たちは、過去70年の間に考えられたあらゆるメルセデスカラーで、自分のクルマを塗装してもらうことができるだけでなく、BMW、ポルシェ、フェラーリといった、他のメーカーのカラーもリクエストすることができる。
それを可能にしているのが、社内のカスタマイズ部門「デジーノ マニュファクチャ」だ。

現在の自動車の大半は、「ブラック」、「ホワイト」、「シルバー」などの没個性的なボディカラーで注文されているが、特に高級車やスポーツカーの分野では、個性を求める声がますます高まっている。
この要求は、徐々にではあるが、より安価な車のカテゴリーにも波及してきており、現在では、ほとんどの主要メーカーが社内にカスタマイズ部門を持ち、顧客のあらゆる希望を可能にしている。
それらの部門は、アウディでは「エクスクルーシブ(Exclusive)」、BMWでは「インディヴィジュアル(Individual)」、メルセデスでは「デジーノ マニュファクチャ(Designo Manufaktur)」と呼ばれている。

これまでも特別な色のリクエストに応えてきた

通常のカラーパレットでは物足りなくなったオーナーたちは、「デジーノ マニュファクチャ」部門になんでも相談できるし、これまでは、1950年代以降のメルセデスの全カラーを選択することもできた。
チャイナブルー(カラーコードナンバー(以下同):MB934)」や「アルマンディンレッド(MB512)」などのクラシックな色から、「ドルフィンブルー(MB380)」、「ミモザイエロー(MB618)」、そして「マンゴーグリーン(MB875)」などのエキゾチックな色まで、希望に応じて発注することができた。
しかし、これだけの品揃えがあっても、まだ満足できない顧客がいることは想像に難くない。そこで、メルセデスはもう一歩踏み込んで、他メーカー車の色の選択も、タブーではなくした。
唯一のハードルは、その色が承認され、入手可能であることだ。
承認さえされれば、フェラーリカラーの「ジアロトリプロストラト(Giallo Triplo Strato)」をまとったメルセデスAMG S 63カブリオや、BMWカラーの「ラグナセカ(Laguna Seca)」をまとったメルセデスAMG G 63など、理論的には何の問題もなく、再塗装できる。
なお、このオプションは、メルセデスの全モデルに用意されているわけではなく、Eクラス、Sクラス、Gクラス、そして2ドアのAMG GTモデルに限定とされていることは、意外と知られていない。

デジーノ マニュファクチャ部門からもうひとつの逸品。メルセデスAMG S 63カブリオの「デジーノ オリーブ(MB255)」。

BMWやアウディも個別プログラムを提供

もちろん、他のメーカーもこのニッチな分野に注目しており、アウディやBMWでは、他メーカーのカラーシェードを利用できる同様のプログラムをすでに提供している。
例えば、BMWはポルシェの「スピードイエロー」、「マイアミブルー」、「ブリュースターグリーン」、アウディの「ナルドグレー」、ランボルギーニの「ヴェルデエルメ」などを公式に提供しています。
アウディも、販売店から、「アウディ エクスクルーシブ」部門を通じて、他メーカーのカラーをリクエストすることができるようになっている。
それらの色を使うことが承認されれば、世界で唯一台の、ワンオフカラーの「RS3」や「RS6」を作ることが可能になるのだ。
モデルや手間(マルチレイヤー塗装の場合)にもよるが、特別塗装の費用は、アウディでは、3,000ユーロ(約40万円)からとなっているが、メルセデスがどれほどの追加料金を請求するかは、現時点ではわかっていない。

S63カブリオの特別装備と特別なウッドレザーを使ったインテリアの様子。

デジーノ マニュファクチャのインテリア

個性化の選択肢は、エクステリアカラーだけにとどまらない。
必要に応じて、顧客はインテリアでも思い切り楽しむことができるようになっている。
メルセデスは、「デジーノ マニュファクチャ」プログラムによる、特別なワンオフモデルを定期的に発表している。
例えば、特別なペイント仕上げの「エフェクトオレンジ(Effect Orange)」を施した「メルセデスAMG GTC」に、「カルクマ(Curcuma)」のインテリアトリムと、それにマッチしたコントラストのステッチを施したモデルなどがある。
また、「Gクラス」でおなじみの「デジーノ オリーブ(MB255)」塗装仕上げに、「ナッパポルセリン(Nappa Porcelain)」の上質なインテリア、「ナッパサドルブラウン(Nappa Saddle Brown)」の特別なトリム、「スペシャルウッドデジーノセン(Special Wood Designo Sen)」のトリムパーツを組み合わせた「メルセデスAMG S 63カブリオ」なども存在する。

カルクマ(Curcuma)デジーノレザーを採用したメルセデスAMG GTCのインテリア。

どんな色でも作ります、という受注生産は以前からどんなメーカーにも存在し、ポルシェなどは、色見本を自分で持っていくとペンキを調合して作っていたものだった。まあそういう希望をするユーザーにとっては価格などどうでもいいことだろうが、ざっと100万円以上かかることも珍しくなく、納車された後は「そのペンキの耐久性には責任も保証もできません」という誓約書にサインする必要もあると聞く。
今回のカスタマイズは、他のメーカーのクルマの色を塗る、という部分がミソで、用途としては例えば「フェラーリを持っているけれど、その色と同じメルセデス・ベンツ ゲレンデバーゲンを作って、ガレージに並べたい」というような、わがままな顧客向け、であろうか。
他のメーカーにとってそれがありがたいことか、それとも迷惑なことなのかは、わからないが、もはやなんでもありの世の中で、垣根を超えた話は太っ腹というか、ちょっと節操がないというか、色ぐらいはその車に似合った色を設定しておいてくれよ、と思ってしまうのは買えない者のやっかみだろうか。
まあ単体で、街で見かけたら、「変わった色のメルセデス・ベンツ」としかわからないだろうし、オーナーこっそりと楽しむ分には迷惑を誰にもかけないだろうからいいのだろうか…。

Text: Jan Götze
加筆: 大林 晃平
Photo: Mercedes