【初テスト】新型プジョー308SW プロトタイプに初試乗 その性能と評価は?
2021年6月27日
新型プジョー308SWは、シックで実用的なステーションワゴンだ。
新型プジョー308SWは、シックなシェルとプラグインハイブリッドドライブを搭載し、トランクスペースも大幅に拡大している。全レポート!
➤ 価格と市場ローンチ時期
➤ 外観
➤ トランク容量とサイズ
➤ インテリア
➤ エンジン
➤ ドライビングインプレッション
「プジョー308SW」の価格は、おそらく25,000ユーロ(約335万円)弱からになるだろう。
「プジョー308」の新型モデルでは、エステートバージョンも登場する。
「308SW」は、コンパクトで人目を引く外観と、より高い実用性を兼ね備えている。
加えて、プラグインハイブリッド車も用意されている。
「プジョー308SW」のドイツ市場での発売は、2022年初頭になる見込みだ。
プジョーはまだ価格を発表していない。
我々は、エントリーレベルの価格を25,000ユーロ(約335万円)弱と想定している。
308エステートの全長が25cm以上長くなった
プジョーは単に「308」を長くしただけではない。
リアドアからは「SW」は独立したモデルとなっている。
テールライトはボディの低い位置にあり、黒い帯でつながっていない。
その代わりに、大きなティアオフエッジがリアウィンドウの下に配置されている。
プジョーは、「SW」のために新色「アバターブルー」を用意した。
グッドニュースは、この新色ボディカラーが、「308」の「オリビングリーン」と同様に、追加料金なしで利用できることだ。
プジョー308SWサイズ一覧:
● 全長: 4636mm
● 全幅: 1852mm
● 全高: 1444mm
● ホイールベース: 2732mm
● トランク容量(内燃機関エンジン): 608~1634リットル
● トランク容量(PHEV): 548~1574リットル
「SW」としての「プジョー308」の全長は、25cm以上伸びて、約4.64mになっている。
さらに、ホイールベースは5.5cm伸びて2.73mになっている。
この増加は、ほとんどトランクのためだけのものだ。
内燃機関の場合、最大608リットルの収納が可能だが、これはダブルローディングフロアが低い位置にある場合に限られる。
プラグインハイブリッド車では、バッテリーがトランクフロアに設置されているため、荷室容積は548リットルに縮小される。
後部座席は、すべてのバージョンで40/20/40の比率でトランクから折り畳むことができるようになっている。
これにより、収納スペースは1,634リットル、または1,574リットル(PHEV)に拡大し、1.85メートル以上の長さのものを収納できるようになる。
うれしいのは、トランクリッドが標準装備で、電動で開くようになっていることだ。
そして、トレーラーヒッチもオプションで用意されている。
遮音性を高めたプジョー308SW
コックピットは「308」とほぼ同じだ。
また、「SW」にはプジョーの新世代「i-Cockpit」が搭載されている。
小さなステアリングホイールと、その上のディスプレイというおなじみの組み合わせは、人間工学に基づいて配置されており、快適な着座位置を見つけやすくなっている。
中央にはインフォテインメント用の10インチのタッチスクリーンが配置され、その下にはスピードダイヤルボタンの代わりに、自由に割り当て可能なタイルを持つスクリーンが配置されている。
「SW」特有の装備としては、装備ラインに応じて断熱性を高めた厚手のサイドウインドウが用意されている。
フロントガラスにはヒーターが装備され、「Allure」バージョンには、フレームレスインテリアミラーが装備されている。
十分なスペースとUSB-Cソケットを備えたステーションワゴンのリア
リアは、足元と頭上に十分なスペースが確保されている。
しかし、「308」と同様に、ベンチシートをもう少し傾斜させれば、足を乗せる部分が増えるだろう。
その代わりに、スマートフォンホルダー付きのセンターアームレストと、2つのカップホルダーが兼ね備わっている。
そして、センタートンネルには2つのUSB-Cポートがある。
「プジョー308SW」に搭載されている最もパワフルなエンジンは、プラグインハイブリッドだ。
「308SW」は、コンパクトな「308」のストレッチされた「EMP2」プラットフォームをベースにしている。それに伴い、新しいパワートレインも採用されている。
エントリーモデルは、1.2リッター3気筒ガソリンエンジンで、110馬力または130馬力から選択できる。
よりパワフルなバージョンには、8速オートマチックトランスミッションがオプションで用意されている。
ディーゼルエンジンでは、130馬力の1.5リッター4気筒エンジンがあり、追加料金でオートマチックトランスミッションも選択できるようになっている。
2種類のプラグインハイブリッドは、180馬力と225馬力を発生し、純電動走行距離は約60kmを達成するという。
12.4kWhのバッテリーは、オプションで7.4kW(標準:3.7kW)の充電も可能で、プジョーによれば、32Aのウォールボックスで、2時間弱で100%満タンになるという。
また、ステーションワゴンの電気自動車バージョンやスポーティな「PSE」グレードが登場するかどうかは現時点ではまだわからない。
最初のテストで納得したプラグインハイブリッド車
我々は、「プジョー308SW」のプロトタイプをすでに試乗した。
130馬力のガソリンエンジンと225馬力のハイブリッドのトップモデルの両方だ。
もちろん、最終的なチューニングや、いくつかの最終的な煮詰めはまだ終わっていないものの、すでに明確なことはある。
プラグインハイブリッドモデルでは、電動モーターと内燃機関の相互作用が見事に機能している。
切り替えはスムーズで、電動モードから燃焼モードへの切り替えは、デジタルコックピットを見て初めて気づくことが多いくらいだ。
オートマチックトランスミッションも、目立たないようにうまく機能している。
しかし、残念ながら、130馬力のガソリンエンジンのパワー不足を、慌ただしいシフトダウンで補おうとしているのが残念だ。
全体的にギアチェンジがもう少しスムーズだといいのだが・・・。
「プジョー308SW」のシャシーは、快適性を追求したものになっている。
シャシーに関しては、ソフトというキーワードもあり、クラシカルなフランス車の一面を見せている。
スポーツモードにしても、どちらかというとソフトで、速い負荷の変化で、ボディが跳ねてしまうことがある。
しかし、これは決して悪いことではない。
なぜなら、このモデルではスポーツ性をも担っているのだから。
しかし、プジョーはステアリングを改善する必要がある。
プロトタイプでは、スムーズすぎてリターントルク(戻りの力)が少ないことがわかった。
しかし、まだ微調整をする時間はある。
「プジョー308SW」の最初の出荷は2021年末を予定している。
ドイツでは、このステーションワゴンがディーラーのショールームに並ぶのは、おそらく2022年初頭までかかるだろう。
価格は多少上昇し、25,000ユーロ(約335万円)弱からのスタートとなりそうだ。
結論:
プジョー308SWは、実用面でも不足のない、実にシックなステーションワゴンになった。
特に、印象的なブルーを、追加料金なしで提供している点は高く評価できる。
プラグインハイブリッドバージョンは、プロトタイプでの最初のテストでも納得のいくものだった。
ただしオートマチックトランスミッションの作動はもう少し穏やかであってほしい。
デザインコンシャス路線まっしぐらのプジョーだが、今度の「308SW」でも、さらにその勢いを加速させているように感じる。エクステリアデザイン、特にリアデザインなどはエイリアンを連想させる(?)、攻めたものだし、内装のデザインなどは小径のステアリングホイールをはじめとして、世界中の生産車の中でもかなり特異的なものだ。
昔からのコンサバティブなプジョーファンは嘆くかもしれないが、フランス車としての特徴(つまり、デザインが優れたもの、ということ)を持ちながらも、シトロエンの方向性とは違うベクトルに進むためには、こういうデザインストリームにならざるをえないのだろう。
だからといって実用性もおろそかにしていないところは評価できるが、昔ほどのスペースユーティリティや質実剛健で実直な働き者、というイメージは微塵もない。そんな価値感覚、古いよ、とでも言うように、かつてのプジョーにはなかったような斬新で、素敵なボディカラーを用意し、イメージの転換を徹底的に続けるプジョー。いったいどこまで尖っていくことができるのか興味津々である。
Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: PSA Group