12台限定ベントレースペシャルコーチビルドモデル マリナー バカラル発表
2020年3月5日
ベントレー マリナー バカラル: W12 好天限定659馬力スペシャルベントレー
この659馬力のベントレーは超限定モデルだ。作られるコンバーチブルの台数は、世界中でたったの12台なのだから。
ボンネットの下には659馬力のW12エンジン、インテリアには5000年前の木材を使用。
ベントレー マリナーの特別な、特別なモデル、「バカラル」が発表された。
しかしわずか12台しか作られないというコンバーチブルは、(この手のスペシャル限定モデルにありがちな話ではあるが)もうすべてすでに売り切れ。ベントレーは価格を明らかにしていない。そして屋根もない。
ベントレー マリナー バカラルのリアスタイルは普通のコンチネンタルGTCとの非常に明確な違いが多く存在する。テールランプと、大型バルジ、などである。リアフェンダー上のなんとも成型しにくそうなラインにも注目(おそらく熟練職人の手づくりだろう)
一見、バカラルはコンチネンタルGTCのように見える。しかし、ベースを同じにしているとは言え、実際の印象は異なる。ベントレーによれば、ボディパーツはほぼすべて新しいパーツであり、キーレス機能を含むドアハンドルのみがコンチネンタルGTと同じものが装着されていると述べている。つまり他のすべての部品は、バカラル用に開発されたものなのだ。
ドアとフェンダーは完全にカーボンで作られているが、フロントは明らかにすでにお披露目された100周年記念モデルEXP 100 GTの影響を受けている。
コンチネンタル GTに比べて、バカラル(透明感溢れる美しいエメラルドグリーンが七色の表情を見せることでも知られるメキシコのバカラル湖にちなんで名付けられた)は、リアアクスルが20ミリワイドになっている。そしてそれは、エレガントな22インチホイールを装着するのに十分なスペースを生みだしている。
スピードスターハンプ(こぶ)、フードなし
ベントレーによると、スペシャルモデルはバルケッタであるため、デザイナーはバカラルにスピードスターのようなハンプ(バルジ・こぶ)を2つ与えた。コンバーチブルトップがないため(つまりまったくの幌なし 雨の日の耐候性などはなっから考慮していない)、明らかにこれはオープントップドライビング用に開発されたものだ。
リアは特に独特な形状で、3次元のナローなリアライトが支配している。さらに金色のベントレーのロゴもリアセンターに備わっている。
フロント座席の後ろには、スケドーニのテーラーメイドのラゲッジセットを置くスペースが備わっている。実際に使うかどうかは怪しいが、アクセサリーとしては魅力たっぷり。いずれにしろ雨になったらずぶ濡れだが。
コンチネンタル GTCとは異なり、バカラルは純粋な2人乗りだ。バックシートの代わりの場所は、イタリアのブランド、スケドーニのテーラーメイドラゲッジを収納できるようになっている。
回転式スクリーンを含むコックピットは、大部分がコンチネンタル GTのものが使われているが、その部分ももちろんそのままではなく、細かく手が入れられている。センターコンソールは、乗車する2人がコックピットに囲まれているという感覚を与えるために、一層高く持ち上げられた。
さらには多くのディテールがコストを度外視して骨が折れるほどの手間と、時間を割いてより洗練された雰囲気を醸し出している。
シートパターンはバカラル専用であり、合計148,199個(!!)のステッチで構成されている。
素材に関してもベストオブベストなものが採用され、ウッドパネルなどは5000年前の木材、シート生地などは最高級のウールやイタリアンレザー「ベルーガ」が使用されている。
659馬力の6リッターW12
ボンネットの下には、ベントレーが「世界で最も先進的な12気筒」と(控えめに)説明している有名な6リッターW12が搭載されている。今までのベントレーモデルに備わったW12の最高出力は635馬力だったが、バカラルは659馬力を発揮する。
限定生産の12台すべては(この手もモデルがそうであるように、発表前の時点で)売り切れたため、ベントレーはオープンスペシャルモデルの価格を明らかにしていない。しかし、W12を搭載した標準型コンチネンタルGTCの価格は230,000ユーロ(約2875万円)を大きく上回っていることは明らかだし、内容から推察してもベントレー マリナー バカラルはその倍以上、最低500,000ユーロ(約6250万円)はするだろうと考えられる。
だが、そんな価格などまったく心配しなくていい12人のオーナーには、この高級なベントレーが届けられる。そしてそれらの12台のベントレーは、各オーナーの個人的嗜好に応じてどのような色、素材も選ぶことができ、宝石のように仕上げられている。
ただし、繰り返すが、この車に屋根はない!
雨の日にはどうするのかって?
そんな日には別のクルマに乗るだけのことである。このクルマを購入したオーナーたちが、このクルマ一台だけ所有する、などということはあり得ないのだから。
雨の日は普通の4ドアセダンかクーペのベントレーに、雪の日はベンティガをガレージから選べばそれで解決!
もちろんこの写真はボディカラーも内装も、あくまでも一例であって、望めばどんな色でも素材でも選択可能。だが、もう12台のクルマはすでにオーナーが決まっているため、これから発注することはできない。
Text: Jan Götze
Photo: ベントレー