デザイン比較 初代Cクラスと新型Cクラス(6代目)のデザイン分析 約30年の間にどのように変化と進歩を遂げたのか クイックチェック

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メルセデスCクラス W202とW206: 2世代のデザイン比較。

メルセデス・ベンツCクラス、そのデザインを検証する。メルセデスCクラスは、5世代でこれだけ変わった。最新型Cクラスは5代目となる。約30年の間にメルセデスのセダンがどれだけ変わったか、直接比較することで明らかになる。

1993年に初代メルセデスCクラスが発売されて以来、ダイムラー社は膨大な数のニューモデルシリーズを発表してきた。
AクラスからGLSクラスまで、Cクラス、Eクラス、Sクラス、SLクラスのブランドコアを補完する数え切れないほどのニューモデルが登場したのである。
かつての「エントリーモデル」であった「メルセデスCクラス」にも、大きな変化があったことは間違いない。
それは、新型「W206」とその原点である「W202」のデザインを直接比較すると、その変化の大きさがよくわかる。

W202のCクラスは、古典的なセダンの形をしていた

W202とW206のシルエットには、一見しただけではわからない共通点がある。

デジオグリーンの「W202」は、「メルセデス・クラシック・コレクション」からの1996年型C280だ。
飾り気のないラインは、クラシックなセダンの形をしていて、フロントエンド、パッセンジャーコンパートメント、リアエンドという明確なパターンは、サイドビューを見れば一目瞭然だ。
また、このシルエットからは、Cクラスの2つの特徴が見えてくる。
それは「2ウィンドウデザイン」と「エントリーポイント」だ。
前者は、ドアに組み込まれた2つのサイドウインドウのことで、例えば「アウディA4 B5」では、Cピラー部分に窓があるため、6ライトとなる。
「エントリーポイント」とは、リアドアの上端の折り曲げ部分のことで、これは常にリアウィンドウバーの約10cm前に位置している。
「W202」のリアは、パッセンジャーセルと明確に分離したボクシーなデザインが印象的だ。
これに対し、他の同時代のメルセデスは、フルート型のライトやバッジグリル、ボンネット上のスリーポインテッドスターなどを備えていた。

メルセデスW206は、初代Cクラスよりもはるかにスポーティなデザインとなっている

箱型のW202のリアと、丸みを帯びた均質な形状のW206のリアビューは、対照的だ。

一方、「W206 Cクラス」を見れば、5世代の違いが一目瞭然である。
流れるようなフォルムは、まるでひとつの金型から作られたかのようだ。
フロントエンドは腰を落として明らかにスポーティになり、突き出たエプロンの後ろにはセンサーや衝突構造が隠されている。
シルエットを見ると、フロントとリアのライトが脇腹に伸びるような強いウェッジシェイプになっている。
このデザインは、車をよりコンパクトに見せ、まだかなり長いリアオーバーハングを視覚的に短くする効果がある。
「W202」との類似性はあるのだろうか?
それは探せば出てくる。
「2つのウィンドウを持つデザイン」はそのままで、リアドアのエントリーポイントも存在している。

しかし、それ以外の部分ではこの2台は全く異なったデザイン言語で作れている。
特にスペースユーティリティの分野では、「W206」は「W202」よりも格段に大きいにもかかわらず、リアスペースや運転席の足元・頭上スペースは大きくなっていないばかりか、狭くなっている部分さえも見受けられる。また着座ポイントやドライビングポジションもかなり変わっていることも見逃せない。

細かいディテールでは、スリーポインテッドスターの起立したフードマスコットのモデルが「W206」では消滅したことは大きな違いだが、泥が跳ねても視認性が落ちないテールランプや、泥はねを気にせず乗降できるドア下部の処理なども進化の過程でどこかに置いて来てしまったらしい。
つまり機能的というよりも、現在のメルセデスはエモーショナルとかラグジュアリーといった言葉を優先するといったように、その哲学を大きく変えたということでもある。だから正直言えば、「W202」と「W206」はまったくの別物ともいえるし、時代の流れはここまで自動車の姿を変えたのである。
今回はエクステリアデザインに関しての検証であるが、インスツルメンツパネルやインテリアデザインに関しては、もう漁船と宇宙船ほど違う。いつか機会があれば、じっくりその辺も検証してみたい。

Text: Peter R. Fischer and Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: Daimler AG