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5,000ユーロ(約68万円)で買える楽しいロードスター×5台 トップバッターは日本車です

2021年6月16日

マツダMX-5(NB)、メルセデスSLK(R170)、BMW Z3など、格安で買えるロードスターを中古でチェック。この5台のロードスターは、5,000ユーロ(約68万円)くらいで、中古車として入手可能だ。走りの楽しさ、軽さなど、ロードスターには自由な感覚がある。今回は、手頃な価格になった5台のモデルを紹介する。

夏はロードスターの季節だ

どんなに高価なクローズドスポーツカーであっても、ロードスターのようなダイレクト感とドライビングプレジャーを感じさせるものはほとんどない。
しかし、1980年代頃のロードスターの未来は、決して明るいものではなかった。
あまり安全でなく、実用的でなく、時代遅れであったため、「MG MGB」や「トライアンフ スピットファイア」のようなロードスターの伝説的モデルは、モデルレンジから外されてしまった。
しかし、1989年にマツダが「MX-5」を発売されると世の中は一変した。
この車は世界中を興奮の渦に巻き込み、クルマ好きに幸福感の波が押し寄せた。
アウディ、BMW、メルセデスなど、多くのメーカーがこれに続いた。

まさに90年代から2000年代に人々に喜びと楽しみをもたらせたこれらの車が、現在、再び好意的に受け止められている。
なぜなら、5,000ユーロ(約68万円)以下で、ロードスターを所有するという夢を叶えることができるからだ。
以下、フォトギャラリーでは、この予算で購入できる5つのモデルを紹介している。
お楽しみあれ。

その前にもうひとつのアドバイスをしておこう。
ロードスターを所有、愛用することは往々にして容易ではない。
ロードスターは、長い間乗り続けられ、たいていは2人か3人のオーナーの手を経た個体が多い。
そのため、ニューオーナーは、たとえば小型車のオーナーよりも多くのことが当然のように要求される。
したがって、購入者にとっては、知識のある人からメンテナンスの行き届いたものを手に入れることが、より重要になる。
ボロボロになっていたり、チップチューンされていたりするような車は避けた方がいいのは当然だし、ファブリックルーフ(幌のルーフ)を長持ちさせるには、かなりの注意が必要となる。
だから履歴がはっきりしないロードスターは、少なくとも批判的に見るべきだ。

マツダMX-5(NB):

ロードスターの救世主? 1989年に初代が発売されて以来、日本製ライトウェイトオープンカーは一世を風靡してきた。1998年には2代目が発売され、やや重くなったが、要望に応じてパワーもアップした。110馬力の1.6リッターエンジンと140馬力(後に146馬力)の1.8リッターエンジンの2種類が用意されていた。
「MX-5」の最大の問題点、それは「サビ」である。「NB」では主にサイドメンバー、フェンダー、シルなどが被害を受けやすい。幸いなことに、この問題は「MX-5」のオーナーの間ではよく知られている。対策や修理の程度は、実際に車を持ち上げてみないとわからない。それ以外の致命的な問題はほとんど存在しない。さすがは日本車である。

「NB」の優れたマニュアルトランスミッション、標準装備の4チャンネルABS、そしてトルクフルな自然吸気エンジンは、運転する楽しさを提供してくれる。価格? 110馬力のモデルはすでに3,000ユーロ(約41万円)以下で販売されているが、より希少な1.8リッターエンジンを搭載したモデルは、それより2,000ユーロ(約27万円)ほど高くなる。
気楽に乗れるロードスターらしいロードスターはやはりこれ。今でも大人気の初代にくらべると、この2台目はやや人気薄で価格も妥当。細かいことなど気にせず乗るのなら、軽快でおすすめだ。維持費も心配なし。

アウディTTロードスター(8N):

丸くて、丸い、TT・・・。1998年、アウディのスポーツカーがドイツ市場に投入された。エンジンは当初、1.8リッターターボ(180馬力または224馬力)のみだったが、その後、他のバージョンや、3.2リッターVR6(250馬力)が追加された。クワトロドライブ(全輪駆動システム)は224馬力のモデルに用意されている。
ソフトトップの水抜きがしっかりしていると、湿気が室内に侵入してしまう。また、サビがまったく発生しないということはほとんどない。リアスポイラー、シル、フェンダーなどが弱点だ。その他にも、ウィンドウレギュレーター、ピクセルの欠陥などがある。またチューンナップされた個体は荒く乗られていたことも多く、程度が難しいので避けたほうがいい。

感心したこと: 「TT」のデザインの細部へのこだわりだ。その出来栄えも今に至るまで納得のいくものだ。「TTロードスター」には最低でも5,000ユーロ(約68万円)は投資すべきだ。年を重ねるごとに価値が上がっていくクルマを探しているなら、メンテナンスが行き届いていて、ヒストリーが完全に残っているモデルに最低でも3,000ユーロ(約41万円)以上を投じるべきだろう。
「TT」が軽快なロードスターかどうかは別として、毎日の実用性は大変高いし、質感の高さはピカイチ。クアトロなら全天候型ロードスターとなりえる。でも繰り返すが、ロードスターらしい軽さは、まったくない。

MG MGF(RD):

1995年にイギリスで発売されたロードスター。その特徴はハイドロガスシャシーを採用したミッドエンジンで、スポーティさの中にも十分な居住性を実現している。1999年にマイナーチェンジを行い、2002年にはさらに改良を加えた。その後、2002年にもマイナーチェンジが行われ、以降は「TF」と呼ばれ、シャシーもシンプルになった。
シリンダーヘッドガスケットの問題が発生する。最良のケースでは、すでに改良されたガスケットに交換されている。冷却システムにも問題があり、ハイドロガスのシャシーは定期的なメンテナンスが必要となる。また、錆も問題となる。

「MGF」のコックピットは英国風の高貴な雰囲気を醸し出しているが、プラスチック丸出しのウッドは必須ではない(というか、ないほうが良い)。このクラスでは当たり前のことだが、身長が1.9メートル前後の人でも問題なく乗れる。価格は約2,000ユーロ(約27万円)からだが、メンテナンスの行き届いたモデルはその倍の価格になる。
「MG」の復活か!などと一時期かなり話題になったものの、FFであることや全体的な安っぽさから、今ではすっかり忘れ去られてしまっているのが気の毒。よくよく考えてみれば最後の「MG」かもしれない。
Photo: Thomas Ruddies

メルセデスSLK(R170):

1996年に発売された「SLK」は、ユニークなセールスポイントを持っていた。フォールディングルーフを採用したことで、競合車よりも防寒性や対候性が高く、軽装でも安心できるようになった。エンジンのパワースペクトルは、136馬力(SLK 200)から誇らしげな354馬力(SLK 32 AMG)まで多岐にわたっている。
当初の予想に反して、ルーフ構造は安定していることがわかった。また、アクスルサスペンションにも注目だ。「SLK」は、この時代の他のメルセデスモデルに比べて錆びることが少ない。とはいえ、アンダーボディ、テールゲートロックの周辺、フェンダーとそのスカートへの移行部分は要チェックだ。

現在の視点で見ると、「SLK」のステアリングはややフィーリングに欠ける。一方、コックピットは成功したデザインと品質の良さで得点を稼いでいる。価格は3,000ユーロ(約41万円)前後からで、走行距離が10万キロ前後のものは2,000ユーロ(約27万円)アップで購入できる。もうすぐ「SLK」もクラシックカーになるだろう。
オープントップの仕組みがかなり複雑で重いため、軽快さに欠けるのが残念。日本には大変少数ながら「MT」も輸入されている(かなりレア)。
Photo: Roman Raetzke / AUTO BILD

BMW Z3:

1995年にドイツ市場で発売された「BMW Z3」。BMWとしては初めて、ドイツではなくアメリカで製造されたモデルである。当初は4気筒エンジンのみを搭載していたが、1996年には初の6気筒エンジンを搭載し、その後も続々と追加された。パワースペクトルは115馬力(1.8)から325馬力(M 3.2)までとなっている。
初期の頃は、作りのクオリティに不満があった。1999年のフェイスリフトではインテリアが改良された。前後のアクスルはもちろん、タイロッドエンド、サスペンションジョイント、コントロールアームなどにも注意が必要だ。内装がかび臭い? そうであれば、ほとんどの場合、水が浸入しているので注意。

「Z3」の室内はロードスターのように風通しが良い。ここ数年、中古車の価格水準は上がっている。しかし、少し運が良ければ、4気筒の「Z3」が5,000ユーロ(約68万円)で見つかることもある。6気筒のモデルはもっと高く、10,000ユーロ台(約136万円)台の価格になっている。
「007 ゴールデンアイ」にもちょい役で登場したが、地味なルックス(?)だったためか、その後はちょっと忘れ去られてしまっていた。FRだし、今あらためて見てみると軽量で比較的安価な、ロードスターらしい自動車だと思う。
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD

Text: autobild.de
加筆:大林晃平