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これら7台のコレクターズクラシックカーの価格が今下がりつつある 最新情報と価格チェック

2021年5月29日

ポルシェ911やジャガーEタイプのような高価なコレクターズカーの価格が下がっているのだ。その一方で、少なくとも下落傾向に逆らうモデルもある。最新高価中古車市場分析レポート。

上がれば上がるほど、下がれば下がる。
これは、過去10年の間に価格が高騰したクラシックカーにも当てはまるのだろうか?
マーケットオブザーバーである「クラシックデータ」社によれば、「高額なコレクターズアイテムの場合、いくつかの車種では大幅な下落が見られます」と述べている。そして、「しかし、すべてのモデルが誇大広告のように大幅に安くなっているわけではありません」と付け加えた。

ナローポルシェとジャガーEタイプの価格が暴落

好況時にさらなる成長を期待して高値で購入したポルシェの投機家には、ほとんど喜びは残っていないかのようだ。
初期モデルの「ポルシェ911」をめぐる高騰の終了は、2016年にすでに始まっていた。
それ以来、ドイツのナンバーワンスポーツカーの象徴であるオリジナルバージョンは、着実に下降線をたどっている。
例えば1965/66年に製造された「911」は、ピーク時の2015年と比較して、最大で9万ユーロ(約1,200万円)もの価値を失った。
また、「ジャガーEタイプ」も大打撃を受けて値段が下がってきている。
フラットフロアを備えたオリジナルモデルは、一時的に20万ユーロ(約2,680万円)以上の価格が続いていたが、今やそれから30%の値下がりを経て、2015年当時と同じくらいの価格にまで下がっている。
サンババスとして人気のある「VW T1」は、2つのウィングのサイドドア「バーンドア」を備えているが、状態が良ければ今でも6桁の値段がつく(つまり日本円で1,350万円以上ということ)。
約13%と、ブームの年である2017年以降の価格スライドは、したがってむしろ穏やかなものとなっていて、結果的に2015年の水準にほぼ戻っている。

降格: ジャガーEタイプ3.8リッター(1961-62年)。2018年から価格が30%も降下した。 ©Christian Bittmann

価格が急上昇したアウディ スポーツ クワトロ

しかし、「クラシックデータ」によれば、コンディション2で現在の市場価格が36万ユーロ(約4,820万円)の「アウディ スポーツ クワトロ(1984-85)」のように、価格が上昇している勝者もいる
アウディファンの間では、ホイールベースを32センチ圧縮した「クワトロ」を「ショートワン」と呼んでいるが、若干の後退はあったものの、5年前に比べて13万ユーロ(約1,740万円)もの値上がりとなっている。
メルセデスのパゴダ(W113)も、最近ではその流れに逆らってわずかに上昇している。
しかし、「クラシックデータ」によれば、これは主に、高く値付けた出品価格が、業者側の非現実的な希望的観測であることが影響し、やや過大に評価されたためであるという。
また、米国からの再輸入による豊富な供給量のおかげで、大幅な値上げが避けられたことも事実だ。

そういった中、「メルセデス300SL」は、非常に高いレベルで安定している。
ガルウィングモデルは、最高の状態であれば、100万ユーロ(約1億3,400万円)以上で取引されている。
一方、弟分である「190SL」は下降線をたどり、2016年当時の128,000ユーロ(約1,715万円)から、現在ではコンディション2では105,000ユーロ(約1,407万円)にまで急落した。
そして将来的には価格が5桁に戻ることは否定できない。
以下に、コレクタークラシックカーの間での勝者と敗者を紹介する。

価格上昇スター: アウディ スポーツ クワトロ(1984-85)。現在の市場価格はコンディション2で36万ユーロ(約4,824万円)だ。 ©Gooding & Company

ドイツでナンバーワンのスポーツカーの象徴である「オリジナルバージョン911」は、着実に下降線をたどっている。例えば1965/66年に製造された「911」は、ピーク時の2015年と比較して、最大で9万ユーロ(約1,200万円)の価値を失った。
クラシックデータによる「ポルシェ911(1965/66年製、130馬力)」の価格: コンディション2: 13万ユーロ(約1,742万円)、コンディション3:11万5,000ユーロ(約1,540万円)。

ジャガーのEタイプも大打撃を受けた。フラットフロアのオリジナルモデルは、一時、20万ユーロ(約2,680万円)以上の価格だったが、30%の値下がりを経て、現在は2015年当時と同じくらいの価格になっている。
クラシックデータによるジャガーEタイプ(1961-62年)の価格: コンディション2: 14万8,000ユーロ(約1,980万円)

サンババスとしての「VW T1」は、2翼のサイドドア「バーンドア」を備えているため、良好な状態であれば今でも6桁の価格がつく。約13%と、ブームの年である2017年以降の価格スライドは、むしろ穏やかなものと言えよう。現在平均的な個体の価格は、ほぼ2015年のレベルに戻っている。
クラシックデータによる「T1スペシャルモデル(1951-56年、25馬力)」の価格: コンディション2: 131,000ユーロ(約1,755万円)、コンディション3: 83,000ユーロ(約1,112万円)。

100万ユーロ(約1億3,400万円)に到達するのではないかという声もあったほど、2017年には、「ビッザリーニGT5300」がそれに迫る勢いであった。それ以来、「イソ グリフォ」の末裔は6桁のステップで下降している。
クラシックデータによる「ビッザリーニGT5300ストラーダ(1963-69年、350馬力)」の価格: コンディション2: 70万ユーロ(約9,380万円)、コンディション3: 53万5000ユーロ(約7,169万円)。

「メルセデス パゴダ(W 113)」を12万から15万ユーロ(約1,600~2,000万円)の範囲で永続的な価格と価値を確立しようとするディーラーの試みは失敗に終わった。このような金額は、非の打ちどころのない血統と完全に文書化された歴史を持つ「トップスモデル」によってのみ達成される。
「クラシックデータ」に登録されている販売状況を見ると、オリジナルの「230SLモデル」は、2015年以降、74,000~92,000ユーロ(約990~1,230万円)の間で推移し、直近では再びわずかに価格が上昇する傾向にある。

BMW 507: 5万ユーロ(約670万円)の下落? 大したことではない。最高時の車両価格は190万ユーロ(約2億5千万円)だった! 実際、「BMW 507」は、2015年以降、飛躍的に上昇した水準を比較的維持できている。年代別のコレクション整理が市場を活性化させているが、それでも価格をこれ以上圧迫することはないだろう。

勝者: アウディ スポーツ クワトロ(1984-85)の価格は、「クラシックデータ」によるとコンディション2で36万ユーロ(約4,824万円)だ。アウディファンが「ショートワン」と呼ぶ、ホイールベースが32センチ圧縮された「クワトロ」は、若干の後退を喫したものの、5年前よりも13万ユーロ(約1,742万円)も高い価値がある。

高騰、高騰、高騰といった時期もやや落ち着いてきたようで、これはもちろん自動車を趣味とする者にとっては大変好ましい流れである。どんなヴィンテージカー、クラシックカー、あるいはちょっと古いクルマも、すべて同じように価格が上がるなんて変な話だし、投機の対象だか財テク(古い)だか知らないが、自動車で簡単にゼニ儲けようなんて、なんともあさましい話である。そして最近はその投機対象がクルマからロレックスに移ってきているようで(それも悲しい話ではあるが)、やや自動車の世界は落ち着きを取り戻しつつあるような雰囲気が強い。
だから高くなる車もあるし、安くなる車もある、そんなこと当たり前のことでは、それこそが健全な社会なのではないだろうか。ではどんなクルマが高くなるのか?
そりゃあ数が少なかったり、思い切り古かったり、格好良かったりすりゃあ自然と高くなるでしょうけれど、そんなことにとらわれずに、昔憧れていた車や、どうしても心に染みついた一台を選ぶことが一番、且つ、最高のチョイスであることは言うまでもない。

Text: Martin G. Puthz
加筆: 大林晃平
Photo: Roman Raetzke / AUTO BILD