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続報 オペル マンタAのレストモッド電動バージョンを隅から隅までレポート

2021年5月25日

オペル マンタGSeエレクトロモッド(ElektroMOD)

オペルは、このマンタAを電気自動車のレストモッドとしてカムバックさせる! オペルは、50年前のマンタAを電気駆動のレストモッドに改造した。今回、我々はシートチェックを行った。そのスペックとともにすべてをレポートする。

この「オペル マンタ」は電気自動車だ。
「オペル マンタGSeエレクトロモッド」は、リュッセルスハイムを拠点とするメーカーの4輪ブランドアンバサダー(外交大使)を務めている。
その理由は?
それは、レストモッド(現代の技術を取り入れた古い車)が、その改造によって、過去と現在を結びつけるからだ。
これを説明するために、オペルは、50年前の「マンタA」に新しい電気パワートレイン、「オペル モッカ」の現代的なコックピット、スクリーンと最新の照明技術を備えた未来的なラジエーターグリルデザインを与えた。
以下にすべての詳細をレポートする。

アニメーション付きグリル

「マンタGSe」は一見しただけでも、昨日と今日をミックスしたような印象を受ける。
もちろん、これは偶然ではない。
「オペルクラシック」がボディシェルを提供したのであるから当然だ。
完璧な「マンタA(1970〜1975)」が犠牲になったのではなく、レストアが必要な個体を見つけてコンバージョン(改造)したものだ。
さらに重要なことは、コンバージョンのためにボディを改造したわけではないので、この「レストモッド」は、原則として従来の技術に戻すことができるようにもなっている。
それが特に顕著に表れているのが、フロントデザインだ。
「GSe」のインプライドグリルは、現行のオペル製SUVである「モッカ」にビジュアル的に近いものとなっている。
ギザギザのデイタイムランニングライト、現代的なヘッドライト、停車中にさまざまなアニメーションを表示できるセンタースクリーンなどが、古いボディにはめ込まれた、一種のボックスの中に収められている。
リアでも、その変化は実際よりも深いものに見える。

4つのリングライトを縁取るブラックのコントラストバンドは単にペイントされただけで、テールライトはオリジナルのシートメタルのくぼみを利用して製作されている。
フロントとリアにはバンパーレスのレーシングルックを採用し、クーペのタイムレス(時代を超越した)なデザインを実現している。
横顔は、現代的なデザインの17インチホイールに、ロープロファイルタイヤを装着しているだけで、それ以上の改造はない。
オリジナルのエクステリアミラーのみキャップを交換し、クロームのトリムはブラックアウトされている。

イエローブラックのワンオフはドイツのナンバーも取得しているので、路上で動かすこともできる可能性が高い。

標準装備のギアボックスはそのまま

「マンタ」はインテリアでは大きな変化を遂げている。
クラシックな計器類の代わりに、ダッシュボードに2つのスクリーンを備えた「モッカ」のコックピットが取り付けられている。
このモダンなディスプレイは、クーペの繊細な構造に驚くほどよく調和している。
運転席と助手席にはアダムSのスポーツシートが装着され、「マンタA」のインテリアにはアルカンターラとレザーが使用されている。
オリジナルのステアリングホイールは新しいレザーで覆われており、新しいスクリーンの下には、ヒーターとブロワーのための古いスライダーコントロールが覗いている。
一番上のスライダーは、電気駆動のリカバリーの強さを調整するためのものだが、詳しくは後述する。
4速トランスミッションのシフトレバーは、センタートンネルから運転席に向かって突き出ている。
単なるダミー?

2つのスクリーンを備えたモダンなコックピットは、クラシックカーのインテリアとうまく調和している。なかなかスパルタンな雰囲気も好ましい。

このクルマはダミーではない!

というのも、「マンタGSe」には、電気駆動装置が搭載されているが、トランスミッションは標準のままだ。
希望者は、クラッチとギアスティックを使って古典的に4つのギアを変速するか、4番目のシャフトを直接入れたままにしておけば、「マンタ」は停止状態からトップスピードまで問題なく走ることができるはずだ。
これは、エンジンルームに搭載された108kW(147馬力)の電動モーターが255Nmのトルクを発揮し、1137kgの軽量クーペを楽に走らせることができるからだ。
ちなみに、改造後も駆動部はリアにある。
オペルはまだ走行性能を公開していないが、これだけは知っておいてもらいたい。
リアアクスルに搭載された31kWhのバッテリーは一応200km分の航続距離用の電気を蓄える。
そしてその充電は、右後輪の後ろにある電源接続部から9kWの充電器で行うようになっている。

結論:
古い車を新しい技術に変えてもいいだろうか?
確かに好みの問題ではあるが、「マンタGSe」の場合は、重要な作業がうまく行われていると言わざるを得ない。
ディテールにこだわり、慎重にモダナイズされた「マンタGSe」は、「古き良き時代」と「現代」のバランスをうまくとっている。
「エレクトリックマンタ」を取り巻くチームが、その勇気あるアイデアを実現することを許されたのは素晴らしいことだ。

流行しているレストモッド、今回はオペルである。オペルというと日本では地味なメーカーというイメージが強いが、実際にはレースにもラリーにも出ているメーカーで、スポーティな車もたくさんその歴史上に存在している。今回の「マンタ」もそんな一台で、この車を懐かしく感じる人も多いだろう。
そんなイメージリーダー的な「マンタ」をEVでレストモッドしたのが今回のクルマだが、ワンオフであり製品化する予定はないらしい。なかなかスタイリッシュだし、昔っぽいデザインでもあるのだが、やはりその生産に至るまでにはまだまだ大きなハードルがたくさんあるのだろう。もちろん価格も問題で、この「マンタ」があまりに高価だったらそれほどの数は望めないだろうし、非常に限られたものとなってしまう。
そう考えれば、ワンオフとしてイメージアップに貢献するくらいの存在のほうがいいのかもしれない。純粋にスタイルだけを見てみれば、なかなか格好いいのだから、そういう広告塔であるならば、なかなかの存在といえよう。

Text: Peter R. Fischer
加筆: 大林晃平
Photo: Opel