まるで映画かアニメの世界 楽しくて楽しいマイクロカー イセッタ物語

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なんとも可愛くて、かわいくて、キュートで、愛らしい。日に日にデカくなる一方の現代の自動車からは想像もつかないマイクロカーの世界。イセッタ。イタリア製イソ イセッタの作ったマイクロカーをBMWがライセンス生産したのは、遠い、遠い昔の話。65年以上も前の50年代半ばの物語だ。フォトギャラリーで、素敵で、楽しげで、平和なメルヘンの時代の絵や写真を理屈抜きで楽しんでください。

【イセッタ物語】

今日であれば、衝突安全性について議論され、車検に通るかどうかも懸念されるだろう。50年代の女性は、今でも老人ホームのダンスパーティーのパートナーとして引っ張りだこだろう。
大林晃平: 子どもたちもお母さんも、なんとも幸せそう。こういうクルマで送り迎えされたら、非行に走ることもないだろう。どことなく冷蔵庫を思わせるドアだが、その開発には、なんと本当に冷蔵庫が関係していたのである(次の項を参照のこと)。
モデルの種類の多さは、本当の意味での愛好家にしか理解できないし、そのような人でも二度見することがあるほどだ。(笑)
大林晃平: 開発当初には、「2台のスクーターの真ん中に冷蔵庫を置いてデザインした」と言われる(本当のハナシ)。確かにそういわれてみれば、そうとも言えるクルマである。左が4輪、右が3輪。グラスエリアやキャビン形状だけでなく、ワイパーのパーク位置や、ミラーの取り付け部分までかなり異なっていることに注目(それほどちゃんと配慮された設計なのである)。
グッドムード、良い天気、ナイスカー、それ以上に何か必要ですか? イセッタのドライバーたちはとても社交的で、このカップルも体を密着させるのが好きなようだ。
大林晃平: それにしても急坂だ。単気筒エンジンには辛すぎる…。と余計な心配をしてしまうが、なんとイセッタはミッレミリアにも出場し、「フィアット トッポリーノ」に勝ったこともある! やるときゃ、やるクルマなのだ。
大林晃平: なんとタクシー! 乗ってみたい! だが運転手の他には、もう一人と、その子どもで満員である。荷物はリアキャリアに括らないと室内にはスペースがない。これは言うまでもなくBMWイセッタのほう。
Photo: Uli Sonntag
ゴッゴモビルTS250クーペ。
大林晃平: 小さな車の中では、このゴッゴモビルも有名。ドイツのメーカーで、農機具などを作っていたが、自動車を熱望する人のために、このゴッゴモビルを作りあげた。ちなみにゴッゴモビルには写真の「TSクーペ」の他に、「Tセダン」と「TLバン」の3種類があり、1960年代半ばまで作られた。
Photo: Markus Heimbach
メッサーシュミット。
「イセッタ」は最大13馬力(!)を発揮し、キャビンスクーターは、ゴッゴモビル(Goggomobil)や「メッサーシュミット」の重大な競争相手となった。
大林晃平: 「メッサーシュミット」には3輪と4輪があり、これは前車。数年前にレプリカも登場するほどの人気者。映画「アダムスファミリー」でもモップ(という名前の登場人物、というかおばけ)が乗っていた。キャノピーをがばっと開けて乗り込むというところまで「メッサーシュミット」らしい、飛行機譲りの設計だ。
Photo: RM Auctions
そう、ステーションワゴンやバン、SUVが登場する前の時代の物語だ。もちろん、それは家族にとっても決して不幸な時代ではなかった。
大林晃平: なんとキャンピングトレーラーをひっぱる! 無理させてエンジンが焦げちゃわないか心配だが、なんとも楽しそうな夏旅行のスナップである。ちなみにこれはBMWイセッタ(エンブレムで判別できる)。
“ビッグイセッタ”とは、「BMW 600」につけられた名前で、明らかに子供のいない高所得者夫婦が犬を連れてドライブに、というシーンである。イセッタは「BMW R 60」とエンジンを共有していた。
大林晃平: 4輪モデルでかなり自動車ライクになった姿。仲睦まじい様子で出かけた二人にピッタリ。
ヒャ―、大人が4人乗ってるよ。グッドユーモア? シャレ? ジョーク? 当時、このスタイリッシュなホワイトリボンタイヤは含まれていなかった。
大林晃平: ちゃんと後ろにドアがついたモデル、ではあるが真夏は灼熱地獄だろう(ちなみにヒーターはオプションで用意されていたという)。いかしたツートンカラーが素敵。
50年代のBMWの広告: 最小の小屋に親子3人用の最小のスペース。それでも人々はこのクルマを買い求めた。
大林晃平: 特殊なリンケージでドアと一緒にスイングするステアリングホイールシステムにご注目。メーターパネルももちろんドアについている。前面衝突にはくれぐれもお気をつけて。
大林晃平: なんともかわいい表情。このクルマが街にあふれたら、きっとあおり運転のような行為は減少するに違いないと思うのだが…。フロントに描かれた文字は恋人たちのイニシャルだろうか。
Photo: Uli Sonntag
「イセッタ」はブランドとしてイメージが高く、様々に活用された。この切手、未使用であれば高そう。
大林晃平: ドイツの切手になるほどの人気者! イタリアにおける「チンクエチェント」や、フランスでの「2CV」のような、愛されるべき存在なのだろう。「イセッタ」は最終的に16万台以上が生産された。
何となく、この光景には説得力がある。66年後の今、我々は、スマート(Smart)の写真で楽しめているだろうか・・・。
大林晃平: これは3輪のモデル。生産された16万台のうち、21世紀の現在に何台が生き残っているか気になるところだが、今生息している車たちは、これからもずっと生き延びてほしいと願う。

Text: Lars Busemann
Photo: Werk