ガチンコ勝負 高性能スポーツセダン対決 アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオ対BMW M3コンペティション 結果は?

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ジュリア クアドリフォリオが新型M3に挑む。

パワーリムジンバトル。BMW M3とアルファロメオ ジュリア クアドリフォリオは、510馬力という、やや下品なまでに余裕のあるパワーを持っている。我々の比較テストでは、どちらが速いかを明らかにする。

スポーツカーの比較テストでは、ついつい、いつも熱っぽく、そして至極当然のように議論する傾向にある。
スポーツカーの魅力とは何か、絶対的なスプリント能力やコーナリング能力とは違うスポーツカーの魅力とは何か、ということを考えてしまうからだ。
現在、我々は4ドアスポーツサルーンの魅力的なモデルの典型的な例と言える二台をテスト車として用意した。
そう、アルファロメオの「ジュリア クアドリフォリオ」が、ニュー「BMW M3」に挑戦するのだ。

官能性の面では、明らかにジュリアがリードしているが、今回は「M3」という高速マシンと、世界で最もレーシーなスポーツセダンとの対決だ。
後者は、歴史、ビッグネーム、パワフルなドライビングカルチャー、そしてフェラーリのユニットと密接な関係にある魅惑的なV6エンジンを備えている。
さらに、キビキビとした「ジュリア」は、ジーナ・ロロブリジーダのガウンが埃まみれのポテトサックに見えるような、スキンタイトのきらびやかなドレスに、そのふくよかな体を包み込んでいる。

そんな「ジュリア クアドリフォリオ」は、「M3」よりも良い音を奏で、マットなスクリーンのカラフルな点滅ではなく、クラシックな丸い計器類を備えたコックピットだけで、ドライバーに対してより快適な印象を与える。

イタリアンビューティ。ジュリアは、その形状とスタイルでライバルよりも魅力的。このテスト車は日本では見かけないボディカラーを身にまとっている。

つまり、我々の意見では、パワフルな「ジュリア」が、「THEロードスポーツカー」であることは明らかだ。
しかし、イタリアンスタイルを愛するがゆえに、スポーツカーにはスピード感も必要となることもまた事実だ。

M3は、より正確なドライビングマシンである

M部門は、すでに「3シリーズ」でそのことを保証するために性能に関しての十分な努力をしている。
そして、新型「M3」は、現在、最もホットなストリートリーガルのBMWだ。
より速く、よりアクティブで、よりエキサイティングで、同時により安定している。
3シリーズのトップモデルは、一流で統制のとれた電子ドライビングアシスタント軍団によって、地獄のようなコースを走り、限界までコースにとどまり、車輪をしっかりと地面につけ、パワーを推進力に変え、残忍なパフォーマンスを微妙に配分し、トップスピードでもブレーキに神経を集中させず、最終的には物理学を蹴散らすことができる。
最終的に、我々のデータレコーダーは、0から100km/hまでのスプリントで3.7秒を記録し、100km/h走行時からBMWは32m強で完全停止した。
そして、サーキットのゴールを1分31秒26で通過しているが、これまたセンセーショナルな数値だ。

しかし、「M3」のサーキット最高速度の前には、面倒な手続きが必要である。
気温に応じてタイヤの空気圧を調整し、ドライビングコントロールモードを目まぐるしく変化させる(トラクションコントロールだけでも10段階ある)。
勇気と技術とサーキットの知識と電子機器が完璧に融合したとき、「M3」はすでにハイオクガソリンをたっぷりと消費し、285のリアタイヤに貴重なゴムのあとを路面に残している。

また、電子制御の命綱がなければ、BMWは厳しい挙動もしめすが、それでも予想外に穏やかなアンダーステアでエイペックスに向かってプッシュし、素晴らしくソフトな尻振りでカーブの開口部に入り、極めて正確にストレートに移行し、7000rpmを超えても、並外れた貪欲さで6気筒エンジンの回転を路面に伝えることができる。
このことは好きな人にはたまらない。
さらに電子デバイスのモードを変えることにより、「M3」は上級ドライバー向けの野獣のようなドライビングマシンに変身し、ドリフトスキルをデジタルダイアリーに記録したり、長時間のテールスイングを評価したりすることもできるようになっている。
もちろん、ジュリアにもいくつかのドライビングプログラムが用意されている。
最もシャープで楽しいのは、「レース」設定だ。
ダンピングはハードに、スロットルレスポンスは爆発的に、トランスミッションはシャープに、エグゾーストノートは最大に、ドライビングコントロールはお休みに。
センターコンソールのDNAノブを回した後のコンディショニングは、そんな感じだ。
アルファはBMWよりもスムースな印象を受けるが、ステアリングの噛み合わせが鋭く、曲がった後のボディの傾きが大きいため、気弱な印象も受ける。
しかし、それでも「ジュリア」はサーキットでの楽しい時間を与えてくれる。

気をつけて! ESPなどの補助装置がないBMW M3コンペティションは、上級者向けといえるだろう。

アルファは、縦方向のダイナミクスという点では秀ている

2.9リッターV6のターボ特性がより強調されているため、600Nmのトルクを細かくコントロールするのはBMWよりも難しい。
さらに、アルファは前輪をより強く外側に押し出し、修正時の荷重変化の反応で、より反抗的に揺れ、後輪の荷重が逸脱するとすぐにスピンしてしまう。
確かに、ドライバーには多くのことを要求する。
しかし、BMWのレーシングコンピューターよりも魂が伝わってくることは事実だ。
最終的には、1分32秒63という、アルファは、BMWより1.5秒近く遅いラップタイムだったが、これはこのリーグでは優秀なほうだ。
しかし、注意してほしいのは、走行性能を直接比較した場合、ジュリアはそれほど遅れをとっているわけではないという事実だ。
アルファは0から100km/hまでの加速がコンマ2秒遅い一方、100km/h時からの完全停止は若干早い。
また、BMWが「M3」の最高速度を290km/hに規制しているため、最高速度も307km/hと高くなっている。
要するに、「ジュリア クアドリフォリオ」も速い獣なのだ。
つまり言ってみれば、よりスポーティな車は「M3」で、より魅力的な車はイタリアからやってきたアルファロメオということになる。

決して侮ってはいけない。ジュリアは、たとえサーキットでの走行が不十分であっても、ちゃんとM3をその視界に捉えている。

第2位: 400点満点中293点 アルファロメオ ジュリア クアドリフォリオ
音がよく、よく走り、とても楽しませてくれる。多くの分野であまり洗練されていないのは残念だが、高性能と官能性を求める者のハートをつかむと言う面では勝利者だ。
価格: 84,000ユーロ(約1,117万円)から

第1位: 400点満点中308点 BMW M3コンペティション
壮大なエンジン、パワフルなトラクション、素晴らしいステアリング、安定したハンドリング。我々のテスト車は装備の充実した非常に高価なものだった。
価格: 89,500ユーロ(約1,190万円)より

結論:
新型M3は現在、BMWの最高のスポーツカーである。
今回の比較テストでも、運転しやすく、安全で、ブランド力のあるセダンだということを証明して見せた。
アルファロメオも素晴らしく、いい意味で野蛮なタイプだ。十分に速く、ドライビングの楽しさを兼ね備えている。

本当に今回は甲乙つけがたい2台ではある。この2台は高性能であることと4ドアセダンであること、そしてどちらとも魅了的という点で共通しているし、どちらも格好いいと思える姿をしている。それでもどちらを選ぶかと聞かれたら、本当にそこは好きなブランドや共感できる部分がどちらにあるか、というありきたりな結果になるだろう。
今回のテスターは「M3」に軍配をあげているし、客観的な性能や完成度という面によるジャッジではその通りだと思う。だが個人的ではあるが、より格好良く、より自動車を操っている気にさせるかという部分では「ジュリア」のほうに軍配をあげたい。
そんなの客観的判断じゃないと言われればそれまでではあるが、こういった自動車の世界ではエモーショナルな部分も重要になってくるし、正直言って、乗っている自分がカッコよいクルマに乗っているかどうかは、ものすごく大切なのである。

Text: Jan Horn, Mirko Menke
加筆: 大林晃平
Photo: Olaf Itrich / AUTO BILD