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6輪ピックアップトラック? アメリカに負けてたまるか オランダ製チューニング メルセデスX350d 6×6

2021年5月20日

ユニークなメルセデスX350d 6×6は、G63 6×6よりもはるかに安い。

メルセデスのピックアップトラックであるXクラスが6輪に? それは実際に存在する! そのユニークな個体が最近販売された。その価格は、ほとんどバーゲン状態!?その全容。

この「メルセデスXクラス」は、ユニークな標本だ。
「メルセデスG63 AMG 6×6」ではなんだか物足りず、「ラムTRX」をベースにした1217馬力のヘネシーマンモスでは予算が合わないという人にとっての、別の選択肢だ。
6×6に改造された「メルセデスX350d」はいかが?

451,010ユーロ(約6千万円。日本では限定5台販売=価格は8,000万円)、これは「メルセデスG63 AMG 6×6」の2013年当時の新車価格だ。
一方で、その後、3アクスル(車軸)のGクラスの価格は上昇し続けている。
中古車でも60万ユーロ(約8,000万円)円を切るものは見つからない。
ブラバス製の700馬力の改造車は、7桁の価格(1億3千万円超)で取引されている。
しかし、メルセデスの6輪ピックアップトラックは、「G63 6×6」よりずっと安価に入手可能であることは、このユニークな「X350d 6×6」が証明している。
オランダのディーラー、「クラシック ヤングタイマー コンサルタンシー(Classic Youngtimers Consultancy)」は、シリーズ生産バージョンとしては不人気の、「メルセデスXクラス」を過激に改造した。

このXクラスは、世界に一台しか存在しない。3つのアクスルを備えたX350dは、モンスターピックアップに変異する!

リフトアップ、オフロードタイヤなどなど。
そのような改造の結果、このワイルドな「X350d 6×6」が誕生したのだった。
このワンオフモデルは、このプロジェクトのために特別に製作されたサブフレームの上に構築されており、3本目のアクスルのためのスペースを確保するとともに、全長5.34mの純正「Xクラス」よりもかなり長くなっている。
チェッカープレートが敷かれたロードエリアも拡大され、「カーレックスデザイン(Carlex Design)」社製のロールバーも追加装備されている。
しかし、それだけではない。
武骨な印象を与えるために、車高はさらに10cm高くされ、オフロード用のホイールとマッチした太いタイヤが装着されている。
この新しいホイールセットを装着するためには、大型のフェンダーフレアを取り付ける必要があった。
強化されたアンダーライドガードはオフロードでの実用性を高め、パナメリカーナグリルは見た目以上の美しさを追求している。

ダッシュボードのレタリングを除いて、インテリアはそのままだ。このこともリーズナブルな価格維持に貢献している。

このコンバージョンはコンプリートカーであるにもかかわらず、いくつかのパーツが変更されている。
メタリックブラウンの塗装と、ブラックレザーの内装が標準装備されている。
特にコックピットには、技術的兄弟である「日産ナバーラ」や「ルノー アラスカン」との密接な関係が見て取れる(つまり、正直に言って、それほど魅力的な内装とは言えない)。
それは、まさに、メルセデスが2020年5月に、3年も経たないうちに「Xクラス」の生産を中止した理由でもある。

「X350d 6×6」の価格は10万ユーロ(約1,340万円)という素晴らしいものだ。
これは「G63」よりもはるかに安いことは言うまでもない。
改造された「Xクラス」のボンネットの下で働くのは、伝説の「G63 AMG 6×6」用の5.5リッターV8ツインターボ(544馬力)はなく、「X350d」の標準的な3リッターディーゼル(OM642)の258馬力だ。
最大トルク550Nm、十分すぎるほどの地上高、6×6ドライブを備えたこのワンオフモデルは、たとえV8がなくても、ほとんどの場所を走り抜けることができるはずだ。
2020年に初登録されたこの「Xクラス」は、わずか10,538kmしか走っておらず、現在、この改造に真剣に興味を持っている人は、残念ながらがっかりすることになるだろう。
なぜなら、このピックアップはわずか数日で誰かの手に渡ってしまったからだ。
これも、「G63 6×6」に比べて価格が安かったことが原因だったかもしれない。
「クラシック ヤングタイマー コンサルタンシー」は、3アクスルの「Xクラス」が税別95,000ユーロ(約1,270万円)だったとしている。
ドイツでは、この「6×6」は、113,000ユーロ(約1,500万円)程度で、「G63 6×6」の数分の一の価格であった。
「クラシック ヤングタイマー コンサルタンシー」が限定生産シリーズ化すれば、好評を博することは間違いないだろう。

世の中には必要とする需要など(おそらく)ないはずではあるが、こういう6輪SUVやトラックが生まれてくる、ということは、人とは違ったクルマに乗りたい人というのは必ずいつの時代にも存在するのである。
この「Xクラス」をベースにした6×6に、本格的なオフロード性能や耐久性を求めてはいけないことは言うまでもなく、本当にあくまでもちょっとした冗談の延長線上で、人を驚かしたり、注目を浴びたりすればそれで役目ははたしたわけで、あとはちゃんと壊れずに家に帰りつければ十分、そういうクルマなのである。
せっかくここまでやったのだから、内装も思い切りモデファイして、いっそのことマイバッハみたいな感じにしちゃったらよかったのに、妙にその部分だけは真面目くさっていて、つまらない「Xクラス」のままである。まあ値段が値段ではあるし(といっても絶対的には決して安くなないのだが)、ダッシュボードや内装などに根本的な手を入れると、あっという間に倍くらいの値段になってしまうのかもしれない。
せっかくなので、手に入れた人は内装にもちょっと手を入れて、お好みの雰囲気に仕上げてほしいものだ。

Text: Jan Goetze
加筆: 大林晃平
Photo: Classic Youngtimers Consultancy