ガチンコ勝負 プラグインハイブリッドSUVバトル VWティグアン対ボルボXC40対プジョー3008 その勝者は?

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プラグインハイブリッドSUV三つ巴!フランス対スウェーデン対ドイツ 比較テスト

プジョーとボルボがVWティグアンに迫る。プラグ付きのコンパクトSUVは日本でも今とても高人気のホットモデルだ。今、新しいVWティグアンは、プジョー3008とボルボXC40に立ち向かう。3台の人気SUVによる直接対決。

三拍子揃ったSUV

フォルクスワーゲンは現在、ティグアンにも電動ハイブリッドバージョンがある。
この人気SUVは、2020年には、約6万人の新しいオーナーを見つけたとされている。
そして、我々は断固とした予測を立てる。
来年も他のSUVがこのベストセラーSUVの販売台数を上回ることはないだろう。
その理由の一つは、VWがコンパクトSUVのデザインを一新しただけでなく、プラグインハイブリッドとしても提供されているからだ。
これはVWのSUVの多くのドライバーにとって重要なことで、「ティグアン」の3台のうち2台は社用車か商用車として登録されているからだ。
したがって、環境補助金も得られるプラグインハイブリッドの「ティグアン」をカンパニーカー(社用車)として利用する人(会社)もますます増えることだろう。

3008はシステム性能の面で最も控えめなままだ

「ボルボXC40 T5リチャージ」は、262馬力で車体をプッシュするが、一方で、最高速度を180km/hに制限している。
それは、渋滞が絶えない現実の世界、そして気候変動が迫りつつある現実の世界に完全にフィットする、正しい動きかもしれない。
フランスからはこのプラグインハイブリッドSUVクラスに、「プジョー3008」を投入、ライバルに挑戦する。
これまた、大幅に新しくアップグレードされているが、225馬力のシステム性能を持つフランス製SUVは、少なくとも紙の上では、最も抑制されたモデルとなっている。
ほぼ正確に、その中間にあるのが、「ティグアン」で、VWは245馬力の総システム出力と、115馬力のこの比較テストのモデルの中で、最も強力な電動モーターを備えている。
エキサイティングな三者三様の戦いを振り返る。

VWは「ティグアン」のスペースコンセプトを登場以来何も変えていない。
フェイスリフトを受けてフレッシュアップした「ティグアン」だが、ホイールベース(2.68m)やスペースコンセプトは変わっていない。
そして、それは良いことだ。
「ティグアン」は、全テスト車のシートの中でも、最もゆったりとしていて、大きくて張りのあるシート(後席は縦方向に移動可能)と、最大のラゲッジコンパートメントを備えている。
さらに快適な居住性、確かなワークマンシップによるしっかりとした作り込み、そしてフルデジタルパッケージが兼ね備わっている。
自然なボイスコントロールとApple CarPlayとAndroid Autoを介したワイヤレス接続は我々のお気に入りで、クライメートコントロールは、ゴルフよりもはるかに使いやすい。

一方、ボルボには妥協することへの意欲が必要だ。
中央に大きくて配置されたタブレットを使うには慣れが必要で、運転中は明らかに気が散ってしまう。そして、2列目シートに入りたい場合は、まず平らな屋根の柱の下に潜って、不幸にも小さなベンチに座る必要がある。

「3008」には他の2台よりももう少しスペースがある。
しかし、ドライバーは小さくて非常に低いステアリングホイールに慣れる必要がある。
室内の素材はややシンプルで、トランクはハイブリッドでないモデルよりもやや小さい。
しかし、それはボルボもVWも同じだ。

ボルボは、息切れしてしまうが

運転すると、「XC40」には驚かされる。
静止状態から100km/hまでの加速は最速で、3気筒のドライブを気持ちよく体験できる。
他の2台のプラグインハイブリッドSUV同様、燃焼エンジンと電動モーターの間の相互作用は概ねスムーズだ。
しかし、純粋な電力のみでの航続距離は、40km以上には到達しなかった。
そしてバッテリーが空になると、車体の重さも相まってガソリンエンジンへの負担がかかる。
「XC40」の乗客たちは、あまりにも詳細に道路の路面状態について知らされる。
プジョーはこの面では優れているが、残念ながら、ボディは道路の凹凸をうまく制御、吸収できていない。
それでも高速移動には「3008」はお勧めだ。
加速は最も遅いが、時速160kmからは明らかにリードする。

ボルボはスプリントでは競争相手を置き去りにするが、もう少し洗練されていてもいいのではないだろうか。

3台のテスト車は、いずれも燃費的にはまずまずだ

「ティグアン」は、全体的に気持ちよくバランスのとれたドライビングを提供する。
GTEモードでスポーティさを少しだけ発揮し、アダプティブダンパー(1,019ユーロ=約13万円)のおかげで、ここでは他のどの候補よりもスムーズな乗り心地を実現している。
正確なステアリングとDSGは、優れたパフォーマンスを巧みに丸め込む。
プラグインハイブリッドSUVの世界へのエントリーは、わずか43,000ユーロ(約570万円)弱のVWとプジョーで最も簡単にできる。
ボルボは48,000ユーロ(約638万円)以上を必要とするものの、それには贅沢な装備が付属している(ナビゲーション、電動テールゲートとキーレスエントリーなど)。またボルボは、リッターあたり12.8kmという3台中、最も優れた燃費を提供する。
「ティグアン」は保険会社の間で最高レベルの信頼を享受しており、3008はこの面では最低だ。
そして保証は?
3台とも2年以上の保証を提供することをあえてしていない。
この点は非常に残念だ。

第3位 800満点中515点: ボルボXC40 T5リチャージ
スタイリッシュなスウェーデン車。しかしスペースとシャシーの洗練が不足している。

第2位 800満点中516点: プジョー3008 225 e-EAT8
独自のキャラクターを備えた好もしいSUV。しかし、居住性の面で改善の余地あり。

第1位 800満点中568点: VWティグアン1.4 eハイブリッドOPF
家族にもレジャーにも対応する広々としたスペースを備えたオールラウンダー。ハイブリッドドライブで気兼ねなく快適に過ごせる。

燃費の面では、XC40が12.8km/ℓともっとも効率がよく、ティグアン(12.1km/ℓ)と3008(11.6km/ℓ)はより多くの燃料を必要とする。

結論:
ディーゼルが嫌いな人にお薦めの3台。
コンパクトなプラグインSUVは十分に速く、燃費の面でも悪くない。
そして、現在の環境ボーナスのおかげで、かなり手頃な価格で競争力もある。

定番はやっぱり強かった、というのが正直な感想で、やっぱり売れているものや定番商品にはちゃんとそれなりの理由があるのである。とはいってもボルボもプジョーもかなりの充実した内容を持ち、今回の比較テストは接戦であったといってよいと思う。
ボルボもプジョーもお洒落だし、それぞれの国の特色を出したものだし、だからといって実用性がおざなりになっているかというと、そんなことはまったくなく、どれを選んでも毎日の生活の中で満足のいく実用車である。
そんな中で「ティグアン」が勝者となった理由は、やはりバランスよく、すべての面で優等生だったことと、やはり長年実用車を作り続けてきたフォルクスワーゲンの成果といってよいのではないだろうか。もはや「ゴルフ」ではなく、「ティグアン」を選ぶことに何の違和感も持つことのない時代だし、ひょっとしたら「ゴルフ」よりも多用途に使えるかもしれない…。そんな風に思わせるところもSUVが強い理由なのである。

Text: Gerald Czajka, Dennis Heinemann
加筆: 大林晃平
Photo: Toni Bader / AUTO BILD