【このクルマなんぼ?】希少なオリジナルカラーの初代VWゴルフGTI(1983) eBayで販売中
2021年5月10日
レアなカラーのオリジナルVWゴルフ1 GTI(1983モデル)が販売中。この希少なカラー「プラチナム ダイアモンド メタリック」のオリジナルVWゴルフ1 GTIは、わずか84,500kmしか走行していない。現在、このクラシックカーはeBayで販売されている。全ての情報をお届け。
フォルクスワーゲンが1976年に「VWゴルフ1 GTI」を発売したとき、すべてのVW幹部は、この小型コンパクトスポーツカーが成功するとははなから思っていなかった。45年と7世代後の今、明らかになっているのは、「ゴルフ1」が伝説のモデルであるということだ。「GTI」という略称は、事実上、コンパクトスポーツカーの象徴であり、初代は今やクラシックカーとして人気を博している。しかし、「ゴルフ1 GTI」が安価で手に入った時代はとうに過ぎ去った。メンテナンスの行き届いた個体の供給は非常に限られており、1万ユーロ(約133万円)以下では、ほとんどがスクラップ状態のものとなっている。そんな中、希少なカラーである「プラチナム ダイアモンド メタリック」のオリジナル「ゴルフ1 GTI」がeBayに出品されて話題を呼んでいる。
出品された「VWゴルフ1 GTI」は、1983年に製造されたもので、走行距離はわずか84,500kmに過ぎない。後期型のため、ボンネットには、それまでの1.6リッター4気筒(110馬力)に代わって、1982年に導入された1.8リッターDXエンジン(112馬力)が搭載されている。また、1979年には4速マニュアルに代わって5速トランスミッションが搭載された。「GTI」は1トン弱の車重で、0から100km/hまで9秒という滑らかなスピードで駆け抜け、最高速度は187km/hを記録した。
VWゴルフ1 GTI最初の季節限定車、その後6年間保管
eBayに出品されたGTIに話を戻そう。売り手によれば、今までの車歴は完全に追跡可能で、走行距離(84,500km)は正確な数字だ。2005年まで、このゴルフは最初に手に入れたオーナーの下で、VWディーラーでのみサービスを受けていた。2005年には2番目のオーナーに売却され、2012年まで季節限定の車として、5ドア「GTI」を運転していた。その後、登録が抹消され、保管されていた。その6年後、つまり2018年に現在の販売者がこの初代「GTI」を手に入れ、長い保管期間を経て、最初の整備を行った。これには、タイミングベルトの交換、点火ケーブル付きのすべてのスパークプラグ、両方のホイールベアリングの新品化を含む大規模なサービスが含まれていた。しかし、最近では、現オーナーはゴルフをほとんど運転しなかった。この「ゴルフGTI」はオリジナルの13インチのスチール製ホイールに、古いタイヤが装着されたかたちで販売されている。
eBayに出品されたGTIには、小さな欠陥しかない
ボディカラーに塗装されたバンパーこそオリジナルではないものの、これも初度登録後すぐにVWディーラーで塗装されたものだそうだ。厳密に言えば、この「ゴルフ」のボディは再塗装されていないし、少なくとも無事故であることは間違いない。正直なところ、売り手は欠陥やトラブル部分のリストも出しているが、これは修理や整備が趣味の愛好家やメカニックにとっては、あまり問題にならないはずだ。欠陥としては、バックの際にライトが作動しないことが挙げられるが、これは販売者によるとリバースギアスイッチの不良によるものだという。また、ヘッドライトの再調整も必要だという。検査に関係のない、その他の欠陥としては、ラジオの不良、オイル交換の保留、走行距離計が確実に作動しなくなったことなどが挙げられる。この欠陥は、過去数年間の低走行距離のために、カウンターが動かなくなっただけなので、走行距離の信憑性には影響しないはずだ。
1万ユーロ(約133万円)以下で買える良い「ゴルフ1 GTI」は存在しない。全体として、これは「コンディション1」の完璧にレストアされたミュージアムカーではなく、小傷のある誠実な「GTI」であり、後付けのサイドウインカーを除いて、オリジナルの状態であり、完全な歴史と非常に珍しいカラーコンビネーションを備えた、誇ることのできる個体だ。
「ゴルフ1 GTI」の中古車は供給が非常に限られているため、価格比較は必ずしも容易ではない。基本的には、こう言えるだろう。10,000ユーロ(約133万円)以下には、あちこちいじくられた跡やお幅に改造された個体が多い上に、酷い状態のものが多い。運がよければ、1万2,000~1万5,000ユーロ(約160~200万円)という手ごろな価格のものも見つけることができるものの、「GTIピレリ」のような人気の高いスペシャルモデルは3万ユーロ以上(約)400万円)で取引されることもある。ちなみに、1976年のオリジナル価格は13,850マルク(約92万円)だった。
「フォルクスワーゲン ゴルフ」、そして「GTI」、それは本当に偉大な存在だったなぁ、とつくづく思う。特に「ゴルフⅠ」と「ゴルフⅡ」はこれからも永く記憶されるモデルで、おそらく今後どんなゴルフが登場したとしても、それらの輝きは霞むことはないだろう。
本文中にも記されている通り、「GTI」はフォルクスワーゲン本社の開発者たちが考えた以上に成功し、新たなジャンルを確立したといえる。そんな「ゴルフⅠ」の「GTI」ももはや登場から40年以上。もうミントコンディションのモデルはほとんどなくなり、今回の一台もちゃんと?8万5千キロを走行し、いくつかの不良個所を持つ個体である。黒とかシルバーの印象が強い「GTI」にとっては、珍しいともいえる一台だが、最終的にはいくらで取り引きされたのか気にはなるところだ。それにしてもジウジアーロのデザインしたボディは今でも全然古臭くない。やはり彼は天才的なデザイナーであることを認識する次第である。
Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: eBay/brownie2906