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お買い得なクラシックポルシェ ポルシェ924に関するすべての情報と購入アドバイス

2021年5月3日

924はスポーツカードライバーたちのためのクラシックポルシェだ。

924は、スポーティな走行特性と日常的な実用性といった、ポルシェの品質を提供している。しかし、現在メンテナンスやスペアパーツについてはどうだろうか? 購入時に特に注意しなければならないことは? ポルシェ924の現況と購入アドバイス。

1975年に「ポルシェ924」が生まれて早や46年が経った。「ポルシェ924」は、多彩なコンセプト(2+2シーター、大型ラゲッジコンパートメント、折りたたみ式バックレスト、タルガルーフ)を持ち、今でも第1級レベルのクオリティを備えたファンカーである。燃費やブレーキ性能はほぼ現代レベルのものであり、運転特性は現在でも「スポーティ」と呼ぶにふさわしいものだ。また、「924」はポルシェにおけるトランスアクスルシリーズのさきがけとなった。

➤ ポルシェ924の可変性は?
➤ トランスアクスルモデルの走りは?
➤ 「924 S」との違いは?
➤ メンテナンスはどの程度必要か?
➤ スペアパーツの状況は?
➤ 現在の市場の状況は?

ポルシェ924は極めて可変性が高く、日常的な使用に適している

「924」の滑らかな表面のボディと特徴的なガラス製のテールゲートは、一度も変更されることはなかった。乗り心地や座り心地は日常的な車とほぼ同じで、大きくて丸い計器類を備えたフラットなコックピットは、ドイツの徹底した技術と繊細なスポーツカーの魅力をミックスしていて、着座位置や視界も模範的なものだったといえる。ハルム ラゲイ デザインのボディを完成させる大きなガラス製のテールゲートは、視覚的にも特別なアクセントとなっている。

「ポルシェ924」は非常に可変性が高く、日常の使用に適しており、シートの快適さは日常の車とほぼ同じくらい快適で、大きくて丸い楽器を備えたフラットなコックピットはドイツの徹底性と繊細なスポーツカーの魅力をミックスしていた。

初代944に採用されたコックピットレイアウト。シンプルで機能的なデザインであり、完成された好ましいものといえよう。

90cmの高さのローディングシルの他に、ラゲッジルームへのアクセスも便利で、最大370リットルの容量を持つラゲッジルームは十分以上の空間といえる。「ポルシェ924」は、簡単な手順でほぼコンバーチブルに変身させることができる。ルーフパネルを取り外すと、後部のボタンを押すだけで、わずかな風であればルーフパネルを上げることもできる。これを行うには、ルーフパネルを取り外すことが必要となる。

ベーシックモデルの924は、エンジンをアウディ100と共有していた

「924」は、多くのポルシェの伝統を打ち破った1台だ。例えば水冷エンジンを搭載し、トランスアクスルとして開発されており、エンジンとクラッチは車体の前部にあり、トランスミッションはリアアクスルの脇に取り付けられている。そしてその両者の間には、ドライブシャフトを内蔵したリジッドサポートチューブが備わっている。この設計により、バランスのとれた重量配分(924では前後48:52)が可能になり、さらにボディの余裕も生まれた。ベースとなった125馬力の「924」は、「アウディ100」のエンジンブロックに、オーバーヘッドカムシャフト付きのポルシェ製軽合金シリンダーヘッドを採用。「924 S」に搭載された直列4気筒エンジンは、生産の最後の2年間に登場し、「ポルシェ944」に搭載されたものと同じパワーユニットで、150馬力を発揮する。フロントアクスルは「VWゴルフ」に、リアアクスルは「VWビートル」に似たセミトレーリングアーム式である。また、ベーシックバージョンのリアアクスルにはドラムブレーキが採用されていたが、「924 S」にはベンチレーテッドディスクブレーキが装備されている。

ベーシックバージョンの4気筒エンジンは、アウディ100のエンジンブロックと、ポルシェのシリンダーヘッドを採用している。

125馬力のベーシックバージョンでさえも、「ポルシェ924」はスポーティだ。ベーシックバージョンであっても、そのライトウェイトさのおかげで、十分に元気で俊敏な走りができる。しかし、一方で、スポーツカーにこだわる人にとっては、エンジンサウンドは不満足な感じであろう。正確で十分にダイレクトなラック&ピニオンステアリングにより、テストコースのスラロームレーンでは、小柄なクーペを正確に周回させることができる。コーナーでの過剰なスピードは、フロントエンジンを搭載したポルシェがフロントアクスルをおだやかに牽引することで、最初は抑えられる。そして、ありがたいことに、経験の浅いドライバーであっても、急カーブでは、カウンターステアで曲がりきることができるのが幸いだ。一方、「924 S」の場合は、均一なパワーデリバリーに説得力があり、より自信を持って運転することができる。

限界に達すると、924はアンダーステアからオーバーステアに切り替わる。しかし、それでもコントロール性は十分に確保されている。

整備されたポルシェ924だからこそできる低メンテナンスコスト

サビが発生するのは、主に1980年以前までに製造された車両だ。1980年以前のモデルは、フロアアッセンブリーに加えてボディに溶融亜鉛メッキが施されていてはいるが、それでも十分安心して保証できるものではない。30年以上経過して、保護層が損傷していたりすると、それ以降の個体にもサビが発生している可能性が高いからだ。タールプルーフやテールゲートのシールが破れて水分が侵入したり、ダッシュボードのサポートが割れたりすることは、すべての「924」の問題だ。ダッシュボードの代替品はもうないが、アクセサリーのダッシュボード用カバーは緊急時の解決策として有効だ。

ポルシェ944のエンジンを搭載した924Sには、テレフォンダイヤルデザインのホイールが装着されていた。

テクニカルデータ: ポルシェ924(125馬力)
● エンジン: 4気筒、フロント縦置き ● カムシャフトドライブ: トゥースドベルト ● 排気量: 1984cc ● 最高出力: 125PS@5800rpm ● 最高速度: 204km/h ● ブレーキ: ディスク(フロント)/ドラム(リア) ● 平均燃費: 8.6km/ℓ ● CO2排出量: 235g/km ● ガソリンタンク容量: 84リットル ● 全長×全幅×全高: 4213×1893×1660mm ● 乾燥重量: 1,125kg ● 100 km/h時からの完全停止: 46.9m ● 前後重量配分: 52:48

2リットルの4気筒エンジンは本来、頑丈であるが、多くの歴代オーナーが手入れを怠っていることも多いため、メンテナンスが必要なことも多い。自然吸気エンジンはフリーホイーラーなので、タイミングベルトが切れても終わりではない。さらに、時には、カムシャフトセンサーの故障が発生したり、オイルスプレーパイプが詰まったりすることもある。K-ジェトロニックの暖機レギュレーターとノズルは、長いアイドルタイムを要するが、トランスアクスルのトランスミッションはトラブルが少ない。

「ポルシェ924」のボディパーツの供給は不安定だ。「924」の状況は、「911」ドライバーが享受しているパラダイスのようなパーツ供給とは比較にならないほど困難である。ポルシェは在庫切れの部品を一部製造しているものの、クランクシャフトのベアリングや一部のボディパーツは在庫切れのままとなっている。またターボとSモデルは維持費が少し高くなる。

良い状態のポルシェ924は1万ユーロ(約132万円)から入手可能

「ポルシェ924」は、最近少し価格が下がってきた。そのイメージは、VW/Audiとの関係や、「911」の長い影に悩まされ続けているからである。また市場に提供されている台数が多いため、価値が上がらないのも事実だ。走行距離が少なく、歴史のあるオリジナルを探している人には選択肢が増えているといえよう。クラシックデータでは、125馬力モデルのコンディション2が9,500ユーロ(約125万円)、コンディション3が5,200ユーロ(約68万円)からとなっている。一方で、「924 S」はコンディション2で10,500ユーロ(約138万円)、コンディション3で6,000ユーロ(約79万円)からで取引されている。

【フォトギャラリー】

長年にわたり、「ポルシェ924」はその有名なファーストネームを得るために努力してきた。それは徐々に本物のポルシェとして受け入れられつつある。もちろん、いつまでも「911」の名残はないものの、手頃な価格のポルシェとして好感を得ている。
トランスアクスルの原理を応用したトランスミッションは、リアアクスルに配置されている。これにより、前後の車軸にほぼ同じ重量がかかるため、カーブを素早く安全に通過することができるというメリットがある。
ステアリングホイールは調整可能だが、ステアリングホイールはとても低い位置にあり、シートの高さ調整を無駄にしてしまう場合も多い。しかし低く設定すれば「マツダRX-7」のようにカエルのような低い視点から世界を見ることができる。

リトラクタブルライトは、緊急時に歩行者に重傷を負わせる可能性があるという。

スポーツシート、スポーツステアリング、握りやすいシフトレバーなど、スポーツカーのフロント装備はこうあるべきだと思う。ただ、左のサイドシルにあるブレーキレバーは慣れるのに時間を要する。
インテリアでは、数多くのスイッチやレバーがVWとの関係を示している。しかし、低いシートポジション、高いベルトライン、センターコンソールに追加された計器類は、本物のスポーツカーのような雰囲気を醸し出している。今見てもシンプルで機能的なデザインだ。
大きなテールゲートは荷物の積み込みを容易にしてくれるが、荷室が広いため、「924」には「レンガ職人のポルシェ」や「主婦のポルシェ」などのニックネームもついている。整理整頓された荷室は、やはりとてもすっきりしていて、プライバシーを守るためのブラインドもついている。
ガラスドームには、当然ながら専用のリアワイパーが付いている。
トランクには、省スペースの折りたたみ式スペアホイールが設置されている。写真はそれを膨らますためのエアポンプ。
アウディのエンジンのため、「924」もポルシェ性能を持つというのは、言葉の綾に過ぎない。「924」は、高回転域に到達するのに苦労しているのがわかる。最大出力時、つまり5800rpmからの回転数は、まさに音と振動と緊張感に満ちている。
1975年に生産を終了した「914(VWと共同開発販売)」の後継モデルを、VWではなく、ネッカーズルムのアウディで生産するというポルシェの決断は、賢明なものであったことがわかる。1988年まで「924S」として製造されることになった。
Photo: Harald Almonat

「ポルシェ924」、今改めて見るとその大きさといい、軽さといい、そしてその性能や内容など、とっても好ましく魅力的に思える一台である。こんな名車がなんで成功しなかったのかといえば、それはもちろん「911」の存在が大きすぎたからで、「924」はもちろんのころ、「928」も「944」も販売的に成功したとはいえなかったのは、「911」という絶対的存在(最強のライバル)がいたからである。そしてそれは、内容や絶対的な性能うんぬんかんぬんではなく、「ポルシェらしくない」、「RRじゃないとポルシェじゃない」、そして「911とあまりにも見た目が違いすぎる」というような、なんとも気の毒になるような理由で失敗作という刻印を押されてしまったのだから、そういう意味では、本当に「924」も「928」もかわいそうである。

そして実は、それから30年以上も経過した現在も同じような状態であるがゆえに、どのポルシェのモデルも、基本的には「911」のような顔つきと、どこかに「911」風のモチーフを取り入れた自動車こそ「ポルシェ」だと言ってラインナップに揃えているのである。
本当に今見ると「924」は、新鮮で魅力的な自動車である。今この形で出たら、今度こそ受け入れられるのかどうかは自信がないが、これぐらいのサイズと軽さと性能のポルシェが新たに生まれたら、と思ってしまうことは事実なのである。

Text: Matthias Techau, Martin G. Puthz
加筆: 大林晃平
Photo: Christoph Boerries