ポルシェ911カレラ カブリオ ソフトウェアを駆使して911Sレベルにまでチューンナップ その性能と実力は?

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スピードアート(Speedart)のポルシェ911カレラカブリオを現在485馬力でテスト中。

ポルシェのチューナーであるスピードアートは、ソフトウェアによってベーシックな911をSレベルにまで引き上げたいと考えている。我々はそれをチェックし、チューニングされたコンバーチブルを試乗した。

チューナーは多くのことを約束するのが好きだ。
この国では数少ないポルシェのチューナーである「スピードアート(Speedart)」も例外ではない。
ビョルン ストリニングを中心とするチューニングチームは、これまでのところ、大げさではなく、最近のプロジェクトでは常にその約束を守ってきた。
さらなるパワーの向上は、測定可能で、顕著なものだった。
そして今度はこれだ。
ツッフェンハウゼンのポルシェ本社から、約8キロ離れたゲルリンゲンに拠点を構える彼らは、ベーシックな「911カレラ」に少し手を加えるだけで、「911カレラS」のレベルにまで引き上げることを考えている。

ただし、価格に関しては別だ。
最終的には、「スピードアート ポルシェ911」は、136,102ユーロ(約1,800万円)からとなっている「911カレラSカブリオ」よりもはるかに安い価格で提供される。
我々が試乗した385馬力のベーシックな「カブリオ」は120,600ユーロ(約1,590万円)で、485馬力へのパフォーマンスアップグレードでさらに4,750ユーロ(約62万円)が加算されるものの、合計すると「Sモデル」よりも10,752ユーロ(約142万円)も安くなる。
もちろん、このような金額は、通常、このクラスのモデルの購入者にとっては、購入の際にあまり考慮する必要などない金額だろうが・・・。
しかし、ほぼ同じ性能を、より安い価格で手に入れられるのであれば、それに越したことはない。

ゴールドリムのレトロなデザインのポルシェ911カレラ

計測用コンピューターを助手席に装着する前に、911の周りを簡単にご紹介しよう。
やはり、この「911」は明らかに他のものとは少し異なっている。
ペイントとホイール、これはスピードアートのポルシェのトレードマークのひとつだ。
ダイナミックなボディカラーに加えて、本物のエアロダイナミクスが備わっている。
例えば、フロントにはスポイラーリップが付いている。
しかし、我々の意見では、リアウイングは必要ないのではないかと思う。

見た目やダウンフォースはともかく、1,565ユーロ(約20万円)のリアウイングは議論の余地がある。

スピードアートの「ポルシェ911カレラ」は100馬力アップするが、ホイールなどもお勧めだ。
チューナーが独自に開発した「Fox Evo II」の丸目を装着している。
フォックスとはキツネを意味するが、このホイールは往年の伝説的なポルシェのホイールデザインに似ている。
サイズは?
フロントが21インチ、リアが22インチ。
ローダウンは?
高さ調整可能なコイルスプリングを使用し下げられているが、標準のアダプティブサスペンションはアクティブなままのため、必要に応じて硬くしたり柔らかくしたりすることができるようになっているのだ。
サウンドは?
コンバーチブルには特に重要な要素だ。スピードアートではフラップ式のエキゾーストシステムを採用しているが、その詳細は路上でテストしてからのお楽しみだ。

性能についても一言。
チューナーのキットでは、PDKの制御電子機器を含む新しいソフトウェアにより、100馬力の向上が約束されている。
しかしターボに手を加えることなく、それだけのパワーが得られるのだろうか?

ポルシェ911のスポーツエキゾーストが奏でる豊かなボクサーサウンド

乗って、屋根を上げて、空港までの道路をまっすぐに進む。
インテリアでは、丁寧に仕上げられたデコラティブステッチや、ホワイトの布張りのバンスなどが魅力的だ。
リアでは、ボクサーエンジンとスポーツエグゾーストシステムが、深いゴロゴロという音で身も心も暖めてくれる。
そして、スポーツモードで、意のままに加速発進する。
その音は往年のボクサーの咆哮に似ていて、市販モデルの薄っぺらい音とは、まったく比較にならない中毒性がある。
マニュアルのギアシフトを堪能し、靴の裏で合金ペダルを自在に操るのは、文字通り快感だ。
オプションのスポーツエグゾーストを装着した「911」でも、スピードアートのような、喉越しの良い音は出ない。
また、そのサウンドは決して煩わしいものではない。

フォックス ホイール(伝説的なポルシェ フックス ホイールに似ている)は、ゴールドとシルバーの2色が用意されている。

スピードアート911は最高速度300km/hを突破

485馬力は、サウンドスケープ(音の風景)と同様に気迫にも満ちている。
スピードアートソフトウェアは、「カレラS」のパワープラントの特徴を取り入れ、レブリミットまで一貫したリニアなパワーの立ち上がりを実現している。
5000rpm以上の高回転域でも、エンジンにはまだ余裕があり、力強くブーストする。
そして、0から100km/hまでは、ベーシックな「911コンバーチブル(クロノパッケージ付き)」よりも0.5秒速いタイムで到達する。
0から200km/hまでは、ほぼ2秒も速い。
我々が計測した「カレラSカブリオ」だけが、より速い(12.5秒)。
250km/hを超えても、チューニングされた「カブリオ」は明確な推進力を持っており、最高速度300km/h(標準291km/h)までは、十分な性能を発揮する。
テストコースでのパフォーマンスと同様に、ポジティブな驚きを与えてくれるのが、コーナリング性能だ。
スポーツスプリングや大径ホイール、フラットタイヤを装着しているにもかかわらず、十分に快適な乗り心地を実現している。

標準トリムの後ろには、スピードアートシステムの太いパイプが装着されている。そのサウンド?楽しい。

結論:
チューニングには価値がある。
車両価格に比べてリーズナブルな4,750ユーロ(約62万円)で、「Sモデル」の走行性能を備えたベーシックな「911」を手に入れることができるのだ。
さらにスポーツエグゾーストシステムを装着すれば、ポルシェの楽しさを完璧に味わうことができるようになっている。
しかし、ウイングやフェンダーなどの見た目は好みの問題であることに変わりはない。

Text: Guido Naumann
Photo: AUTO BILD