エンジン車派も魅了する!走りが楽しいトヨタの新型EV「トヨタ C-HR+」は、アーバンクルーザーより大きくbZ4Xより小さいトヨタの新しいミドルクラスEVだ
2026年11月1日
モデルラインナップがわかりにくくなっているのは、韓国メーカーだけではない。新しい「トヨタ C-HR+」も、人々を混乱させるかもしれない。すでにおなじみの「C-HR」と共通するのは、名前の略称と、おおまかな基本フォルムくらいだからだ。
全長が17cm長い「C-HR+」は、電気自動車専用モデル。一方、「C-HR」にはフルハイブリッドとプラグインハイブリッドが用意される。ここまで、おわかりいただけただろうか?
トヨタ C-HR+はどんな人に向いているのか?
・EVへの乗り換えを考えている人: C-HR+の操作はごく自然で、しかも運転が楽しい。これまで電気自動車にほとんど関心がなかったドライバーをも納得させる可能性を秘めている。
・通勤や長距離移動で使う人: テスト電費は17.6kWh/100kmで、満充電からの航続距離は403km。効率を意識して走れば消費電力量を14.0kWh/100kmまで抑えられ、さらに遠くまで走れる。
C-HRと似ているのは名前くらい
電動タクシーとして人気の「bZ4X」を知る人なら、「C-HR+」に乗り込んだ瞬間、見覚えのあるコックピットに気づくはずだ。幅広のセンターコンソールに、小径ステアリングの上方へメーターを配置した、プジョーを思わせるレイアウト。押し下げて操作する独特のシフトセレクターも、おなじみのものだ。間違いなく、ハイブリッドの「C-HR」より、電気自動車の「bZ4X」に近い。

名前がほぼ同じ「C-HR」に比べると、全長だけでなく全幅も約4cm大きい。今回テストするのは、大容量のパナソニック製77kWhバッテリーと224馬力のモーターを搭載する前輪駆動の4×2仕様だ。同じバッテリーを搭載する343馬力の四輪駆動仕様もあり、こちらの価格は5万4,000ユーロ(約999万円)からとなる。
床下のバッテリーが後席の快適性に影響
前席の着座位置は、一般的な乗用車とSUVの中間くらいの高さだ。床下にバッテリーを積む電気自動車によくあることだが、後席はフロアに対して座面が低い。床から座面までの高さは約30cmと、やや低め。ただし、足先は前席の下に収まり、後席の背もたれ角度も2段階に調節できる。

荷室の積載面はおおむねフラットだが、荷物固定用のフックは頼りなく、側面の内張りに取り付けられているだけ。最大積載重量が600kgを超えるという、非常に優秀な数値を誇るだけに、少々残念なところだ。
一方、前輪駆動モデルの牽引能力は750kgと控えめ。トレーラーを牽引するなら、1,500kgまで対応する高価な四輪駆動モデルを選ぶことになる。実用面では、荷室床下のスペースがタイプ2充電ケーブルを収めるには少々窮屈だったことも気になる。傾斜したボンネットの下にも、フランクと呼ばれるフロント収納を設ける余裕はなかった。
| トヨタ C-HR+ | |
| エンジン | シンクロナスモーター |
| 最高出力 | 165kW (224hp) |
| 最大トルク | 268Nm |
| 最高速度 | 160km/h |
| トランスミッション | シングルステージリダクションギア |
| 駆動 | 前輪駆動 |
| タイヤサイズ | 235/60 R18 H |
| タイヤ銘柄 | Bridgestone Turanza 6 Enliten |
| 消費電力 | 13.4kWh/100km |
| 航続距離 | 607km |
| バッテリー容量(gross/net) | 77/72kWh |
| バッテリー | リチウムイオン電池 |
| AC/DC充電パワー | 11/150 kW |
| 充電時間(10-80%, DC charging) | 約28分 |
| 荷室容量 | 416L |
| 全長/全幅/全高 | 4530/1870/1595mm |
| ホイールベース | 2750mm |
| ベース価格 | 41,990ユーロ(約776万円) |
| テスト車価格 | 45,990ユーロ(約850万円) |
EV嫌いも振り向かせるC-HR+
走り出すまでの操作は、気持ちがいいほど昔ながらでわかりやすい。注意をそらすタッチスクリーン操作ではなく、指で触れて操作できる物理ボタンがずらりと並ぶ。
ステアリングは中立付近から正確に反応し、低速では軽い。速度が上がると少々ゴムをねじるような感触になり、それなりの操舵力も必要になるが、全体としては好ましく、予想以上にスポーティだ。

驚かされるのは、その走り全体の印象だ。C-HR+は運転がとても楽しく、筋金入りのEV嫌いをも転向させる可能性がある。
それもそのはず、チーフエンジニアのDaisuke Ido(井戸大介)は、以前レクサスでスポーツカーの開発を手がけていた。その経験が、走りにはっきり表れている。ホイールベースを10cm短縮し、車高を25mm下げ、スタビライザーを強化し、サスペンションブッシュも変更。いくつかの工夫によって、どちらかといえばおとなしい「bZ4X」のシャシーに、新たな活力を吹き込んだのだ。
制動距離は、もっと短くあってほしい
最低地上高は18.5cmあるため、「C-HR+」が極端に低く構えているわけではない。ゴーカートのようでありながら快適でもある、この走行感覚を生み出しているのは、明らかに低い重心だ。適度な高さの着座位置と、そこから得られる良好な視界も、この組み合わせの魅力を高めている。
いつものテストコースにある鋭い突き上げを伴う凹凸でも、ダンパーが車体の揺れを効果的に抑える。これなら気分が悪くなる人もいないだろう。そんな路面でも、「C-HR+」はスポーティにすら感じられる。

欠点はふたつある。ひどく荒れた石畳では、室内からわずかにカタカタ音が出て、全体としてしっかりした造りの印象を少し損なうこと。そして、いささかトヨタらしいことに、制動距離があまり感心できない。
冷間時38.7m、温間時39.4mという数値は、もはや現在の水準とはいえない。われわれは、これより数mも短い距離で止まるクルマをテストしている。
幅広のセンターコンソールがドライバーを囲い込む
細かな不満を挙げたついでに、もう少し続けよう。幅広で存在感のあるセンターコンソールには、大型スマートフォンを2台置ける。ただし、充電トレイに置くと、スマートフォンが少々熱を持つ。
また、ドライバーの動作を誤って判断しがちな、わずらわしいドライバーモニターを解除したい人は、5階層にも及ぶメニューの奥深くまで潜ることになる。どうぞお楽しみに。

もうひとつの弱点は、荷室にある4カ所の荷物固定ポイントだ。金属製のボディではなく、側面の内張りに取り付けられているだけなのである。重い芝刈り機を積んで曲がりくねった道を走るなら、むしろ後席背もたれのグリップに固定したほうがよさそうだ。
電費と充電時間は好印象
一方で、うれしい数値もある。全長155kmの規定テストルートで記録した17.6kWh/100kmという電費は立派だ。
もっとも、この数値には最高速度を160km/hに制限するリミッターが大きく貢献している。われわれのテストルートには、全体の12%を占めるアウトバーンでの全開走行が含まれるからだ。

外気温18℃で、バッテリー残量10%から80%までのDC急速充電に要した時間は28分。十分に納得できる結果である。しかも、出力300kWの充電器を、途中の一定時間はほかの車両と共用していた。「C-HR+」の最大充電出力は150kWだ。
それほど感心できないのは、AC普通充電ではウォールボックスに接続しても11kWまでしか受け付けないこと。22kW充電設備の能力をフルに使えるのは、高価な四輪駆動仕様だけである。
いかにもトヨタらしく、「bZ4X」でも見た「EVシステム過熱。出力を制限します」という警告も、安全側に配慮して早めに表示される。しかも、そのときの速度は最高速の160km/h。テストのためバッテリーを使い切ろうと、空いたアウトバーンでこの速度を維持していたときのことだ。
なお、容量の小さい57.7kWhバッテリーを搭載するベース仕様を選ぶ場合、価格は3万8,990ユーロ(約721万円)からとなるが、最高速度は140km/hに制限される。
項目別評価
| 項目 | 評価 | 5点満点 |
| ボディ | プレミアムモデルではないが、品質にはしっかりした印象がある。前席の居住空間は良好。最大積載重量は非常に大きい。 | 3 |
| パワートレイン | 加速は力強いが、最高速度は160km/hにとどまる。消費電力量は少ないものの、航続距離は平均的だ。 | 4 |
| 走行性能 | シャシーとステアリングの調和が取れている。全体として走行安全性は非常に高いが、制動距離は長すぎる。 | 3 |
| コネクテッドカー | オーディオと電話機能は優秀。ナビはやや基本的な内容にとどまる。音声操作でナビ、オーディオ、エアコン、パワーウインドウを操作できる。 | 4 |
| 環境性能 | 決してコンパクトではない。電気自動車らしく重量はあるが、走行中に排出ガスを出さない。静粛性は非常に高い。 | 3.5 |
| 快適性 | 乗降性、シートと着座位置、サスペンションのいずれにも、目立った弱点はない。不快な風が直接体に当たらない空調も好ましい。 | 3.5 |
| コスト | 購入費用と整備費用は高い。保険料とリセールバリューは平均的。手厚い保証が用意される。 | 3.5 |
| AUTO BILDテスト評価 | 1.9 |
長期保証がもたらす安心感
保証期間の長さも、このブランドらしい。正規販売店で定期的に整備を受けることを条件に、メーカーは10年間または走行25万kmのいずれか早い時点まで、バッテリー容量の70%以上を保証する。

総じて、「C-HR+」は本物の運転する楽しさで驚かせてくれる。情熱を欠いた、単なる追随商品という印象はまったくない。
躍動的なエクステリアと、機能本位の日本車らしいインテリアには、少しちぐはぐなところもある。しかし、シャシーとステアリングの調和とバランスは、際立って優れている。トヨタと電気自動車―どうやら、このふたつはちゃんと両立するようだ。
トヨタ C-HR+について知っておきたいこと
C-HR+とC-HRは、どう違うのか?
名前は似ているが、両車の共通点は少ない。C-HR+は、トヨタ bZ4Xの技術をベースとする独立した電気自動車だ。引き続きフルハイブリッドとプラグインハイブリッドが設定される「通常の」C-HRより、全長も全幅も大きい。
C-HR+の走りはどうか?
C-HR+は、驚くほど運転が楽しい。低い重心、スポーティに調整されたサスペンション、正確なステアリングによって、俊敏なハンドリングを実現している。同時に、高い乗り心地の快適性も備える。
C-HR+は日常で使いやすいか?
広い室内、600kgを超える大きな積載能力、多数の従来型ボタンを備えるわかりやすい操作系が魅力だ。一方、フランクがないことと、荷室床下の充電ケーブル収納スペースが限られることは、実用面での弱点となる。
C-HR+の充電速度は?
DC急速充電では、最大150kWに対応する。今回のテストでは、残量10%から80%までの充電に約28分を要した。家庭用ウォールボックスでのAC普通充電は、前輪駆動仕様の場合、最大11kWとなる。
結論:
トヨタが、ついに電気自動車を本気で楽しませてくれるようになった。「C-HR+」は、運転が実に楽しい。レクサスのスポーツカー開発者によるシャシーの仕立てによって、現代のEVの中でも、とりわけ運転が楽しい1台が生まれた。充電性能、充電時間、航続距離は現在の水準にあるが、制動距離はそうではない。積載能力は抜群だ。
AUTO BILDテスト評価:1.9
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Text:Rolf Klein and Dennis Heinemann
Photo:Christoph Börries / AUTO BILD

