ラグジュアリーという言葉はこういう車にこそ相応しい? メルセデスベースの豪奢なモーターホームの全容
2021年4月28日
モーターホームテスト: ハイマーB-ML I 880 広大なスペース、高い居住性と快適性、豪奢な家具や器具、そしてすこやかな眠りをもたらすベッド ラグジュアリーモーターホームのすべて
ハイマー(Hymer)社製のフラッグシップモデルモーターホームハイマーB-ML I 880は、見た目が良いだけでなく、特別に開発されたアプリによる制御のおかげで、かなりスマートな電子デバイス満載の装備を備えたモデルになっている。我々のテストにはその統合されたモデルを用いた。
懐疑的な人はスマートフォンを「ベストのポケットの中の虫」とさげすむが、実際のところはどうだろう。
最近では、スマートフォンなしでは何もできないのが現実だ。
天気のチェック、駐車場の予約、そして(本来は)目的地に無事到着したことを知らせることなど、すべてが指一本でできるのだ。
このような実用的なデバイスが、モーターホームの世界でも活躍するようになるのも当然のことだろう。
そのため、ハイマー社は、モーターホームのすべての基本機能をスマートフォンで制御・監視するための新しいアプリを開発した。
このアプリは、暖房の操作や衛星システムの拡張から、現在好まれている照明のムード設定まで、幅広く対応している。
また、冷蔵庫がきちんと閉まっていない場合などには、プッシュ通知で警告が送られてくるようになっている。
さらに、それだけではない。
バーデンヴュルテンベルク州に本社を置く同社は、隣のダイムラー社から「メルセデス スプリンター」の車載データを入手した最初のメーカーだ。
具体的には、モーターホームのオーナーは、自分のクルマの燃料タンクに十分なディーゼルガソリンが入っているかどうか、あるいは整備が必要かどうかを、この新しいアプリで確認することができるということだ。
さらに、個々の機能のシーケンスを設定し、チェックリストを作成することで、例えば、出発時に220Vケーブルの抜き忘れを防ぐことができる。
ハイマーの調査「コネクテッドモバイルホーム」によると、自動車管理センターと共同で、ネットワーク化された(モビリティ)サービスの重要性が着実に高まっているため、さらなる機能の追加も予定されている。
ハイマーB-ML I 880の豪華なバスルームと独立したトイレ
その結果、Bluetoothと携帯ラジオで動作する「ハイマー コネクト(Hymer Connect App)」が2022年モデルから「B-ML」シリーズに標準装備される(2021年2月以降、一部のモデルは2020年モデルから後付け可能)こととなった。
そこで、我々は、早速、最新型モーターホーム「B-ML I 880」で、その性能や快適性、各種機能をテストしてみた。
「880」は、後方にプレートサスペンション付きのシングルベッドを備え、同サイズの兄弟車「890」はクイーンベッドを備えている。
さらに前方には豪華なバスルームも備わっている。
本物のガラスドアを備えた大きなシャワーの横には、洗面台が独立して配置され、トイレは向かい側に専用の個室として設けられている。
そして、正面のドアとベッドルーム前のスライドウォールを閉じれば、独立した空間を作ることができるようになっている。
さらにその先には、ガス/IHコンロ(オプション価格695ユーロ=約9万円)を備えたコーナーキッチンがあり、ワークトップと収納スペースもきちんと確保されていて、その反対側には、冷凍冷蔵庫とオーブンを備えたテックタワー(690ユーロ=約9万円)がある。
続いて、美しく静かなクロージングエイドとキーレスゴーを備えたセンターロック式のボディドア(990ユーロ=約13万円)があり、その隣には縦型ベンチが据え付けられている。
回転式のパイロットシートと同様に、このベンチも広々としたL字型ダイニングルームの一部となっている。
その上にはリフトベッドがあり、1,995ユーロ(約26万円)で、電動で駆動するようになり、縦方向のシングルベッドに変換するための2つの実用的な引き出しが付いている。
今回テストした「ハイマー」では、ノイズの遮断が非常にうまくいっている。
その上、この車には、非常に充実した装備と興味深い独立オプションが用意されている。
ここでは、スマートバッテリーシステム、太陽光発電システム、インバーターを備えた「リチウム自給自足パッケージ(5490ユーロ=約72万円)」がお勧めだ。
これによって天気がよければ何日も充電を入れる必要はなくなるが、唯一、ゴミ処理場では別電源を入れる必要がある。
走行性能?
サイズや前輪駆動による操縦性の低下を考慮しなければ、その走りは素晴らしいものだ。
特に遮音性の高さは称賛に値するし、敏感に反応するサスペンションも素晴らしい。
さらに、確実に機能するアダプティブクルーズコントロールをはじめ、すべてのアシスタンスシステムが利用可能となっている。
価格?
知りたいですか?(笑)
当然、1,000万円は超えます。
価格は、124,000ユーロ(約1,630万円)からとなっている。
でも一部のポルシェや、フェラーリやランボよりも安くて、用途は広い。
しかし、広くて長いガレージが必要だが・・・。
そう、本来モバイルホームというのはこういうの、のことを言うのだと思う。「動く家」と評されるとしたら、これぐらい豪華で普段の家と何一つ変わらない装備を持ち、どんな場所に行ったとしても、まったく外の環境などお構いなしにホテルのような快適さを保ち続けること。そしてそういう需要は昔から必ず一定にあることも事実で、ヨーロッパには「ハイマー」があり、アメリカには「ヴィネヴァーゴ」があると、そういうわけである。
だから今回のハイマーは1,600万円以上といわれているが、それは当然のことで、むしろなんだかんだと高くなった普通自動車の価格を考えれば、意外と安い(?!)のではないかとさえ思えてしまう。
もちろん置き場所や、日本では出かけた先の宿泊場所?でさえ見つけ出すのが困難なことが予想される。だがエンスージャストの夢としたら、どうせならこういう感じの一台を、ドーンと思い描いでみたいものである。
蛇足ながらアメリカでもヨーロッパでも、買取需要の他、リースされている車輛も極めて多く、その場合、夏休みの間だけとか、冬休みの間だけ借りる例が多いそうだ。いずれにしろ2~3か月という期間の契約らしいが…。
【フォトギャラリー】
全体的に見て、ハイマーはかなり充実した装備と興味深い独立性のオプションを備えている。ここでおすすめなのが、スマートバッテリーシステム、太陽光発電システム、インバーターを備えた「リチウム自給自足パッケージ(5490ユーロ=約72万円)」だ。これによりお天気ならば何日もコンセント充電する必要がなくなる。
結論:
ベースとボディが最適にネットワーク化された新しいモーターホームの世界の到来だ。
このアプリは非常によく機能し、「B-ML I」と同様に簡単に操作できる。
ちなみに、この操作はコントロールパネルを使って古典的に行うこともできるようになっている。
よってスマートフォンを持っていない人でも大丈夫だ。
評価: 5点満点中4.5点。
Text: Alexander Failing
加筆: 大林晃平
Photo: Sven Krieger / AUTO BILD