メルセデスEQSはついに電動版Sクラスとなるのか? 航続距離926kmを実現した新型メルセデスEQS登場!試乗レポート!
2026年10月27日
メルセデスEQSに大規模アップデート:ついに電動版Sクラスとなるのか?航続距離926kmを実現して大規模な電気自動車向けアップデートを敢行。数多くの新技術と豪華な内装を駆使し、メルセデスは電気自動車のフラッグシップモデルであるEQSの舵を切り替えた。
「EQS」は、いわば家族全員が恥じている「問題児」のような存在だ。メルセデスが多大な労力をかけて開発し、大々的に発表したにもかかわらず、「EQS」は「Sクラス」の電気自動車版としての役割を、決して十分に果たすことができなかった。そして、ここ数年で話題になったとしても、そのほとんどはネガティブなものだった。販売台数が低迷していたり、メルセデスが最大の海外市場である中国で価格を大幅に引き下げざるを得なかったりしたためだ。
しかし、弟分である「EQE」が短い過渡期を経て、来年には電気自動車版「Cクラス」に市場から追い出される見込みである一方で、メルセデスは電気自動車のフラッグシップモデルについてはまだ諦めていない。それどころか、「EQS」にはさらなるアップデートが施されており、その規模は「Sクラス」よりもはるかに大規模なものだった。
たとえメルセデスが「Sクラス」について「史上最大のモデルチェンジ」と執拗に主張しているとしても・・・。
メルセデスEQSの輝きと栄光がさらに増す
そう、これには輝きと栄光を高めるための、お決まりの改良も含まれている。そのため、グリルは大きくなり、オプションでより明るく光るようになった。ヘッドライトの内部構造はより精巧になり、ボンネットにはパワードームとスターが施され、オプションで点灯も可能だ。
インテリアでは、メルセデスはレザーへの精巧な刺繍、ヘッドレストのふかふかしたクッション、そしてヒーター付きシートベルトによって、「Sクラス」らしい雰囲気をさらに醸し出そうとしている。しかし、その効果は限定的だ。確かに全体的な質感は少し上質になった。だが、特に直接比較してみると、室内空間の狭さは依然として残っており、後部座席の座り心地は明らかに劣り、フロントシートの座り心地も「Sクラス」ほど、豪華ではない。

しかし、それはあくまで美しい外観を飾るための表面的な装飾に過ぎない。重要なのは、技術的な本質だ。そして、単なるアシスト機能の向上についてだけ語るべきではない。それらは依然として、テスラや「GLC」のような新型メルセデスモデルに搭載されているオートパイロットほど優れてはいないし、AI音声制御やあらゆるデジタル機能などを備えた、まもなく至る所で普及するであろうOS「MB.OS」についても同様だ。
800ボルト化で最大926キロメートルの航続距離
だが、今回の主役は新しいバッテリーである。ようやく本格的な800Vシステムを採用し、新たなセル化学組成によって容量も拡大。従来の118kWhから122kWhへと増えたバッテリーが、モデルに応じて1基または2基のモーターに電力を供給する。さらに、2速トランスミッションも組み合わされ、最高出力は408馬力、476馬力、585馬力。航続距離は最大926kmに達する。通常ならディーゼル車を連想するような距離であり、エンジンを搭載する従来のSクラスにとっても手ごわい数字だ。
装備を簡素化した「EQS 400」も新たに加わる。バッテリー容量は112kWh、最高出力は367馬力にとどまるものの、価格は再び10万ユーロ(約1,850万円)を下回る。

たとえ「Sクラス」の究極のラグジュアリーにあと一歩及ばないとしても、「EQS」は繊細なセッティング、優れた防振性能、そして心地よいサスペンションの乗り心地を備えているため、この区間を一気に走り抜けることも可能だ。そして、その後の長い休憩を期待してはいけない。電圧の上昇に伴い、充電出力が最大350kWまで上がり、10分で320キロメートル分の電力が供給されるため、ピットストップでできるのは、さっとバタープレッツェルを頬張る程度しかないのだ。
今やステアリングまでプレッツェル型に
プレッツェルといえば、今や「EQS」にも当たり前のように付いてくる。少なくとも、この秋から約2,500ユーロ(約46万円)で用意される新しいステアバイワイヤシステムを注文すれば、の話だ。そのハイテクぶりが誰の目にもひと目でわかるよう、140年間ほとんど姿を変えてこなかったステアリングホイールに代わり、シュヴァーベン流のテスラ ヨーク式ステアリングが採用される。
その背後にあるのは、操舵の指示を車輪へ伝える電気配線だけ。これにより、ステアリングのギア比を自在に設定できる。狭い場所での取り回しでもわずかな操作で済み、高速コーナーでは高い安定性を発揮し、頭上の空間にもゆとりが生まれる―というのが開発陣の約束だ。
後輪操舵も加わるため、文字どおりコツをつかむには少し走る必要がある。しかし、走れば走るほど操作は自然に感じられ、遅くとも2日目にはすっかり体になじんでしまう。もっとも、Sクラスのドライバーが車内をのぞき込み、好奇心いっぱいの質問攻めに応じることになるまでは、だが。

「EQS」には、「Sクラス」にはないステアバイワイヤという強みがあり、航続距離も多くの場合、上回るだろう。だが、それだけで「EQS」が「Sクラス」と同格になるわけではない。ドアに施された月桂冠の刺繍や、後席に置かれたふかふかのクッションも同様だ。
メルセデスもそのことは承知しているようで、両車の位置づけを見直した。「Sクラス」はフェイスリフトで値上がりし、現在の価格は10万9,221ユーロ(約2,021万円)から。一方、EQSには新たなエントリーモデルが追加され、一部の仕様では大幅な値下げも実施された。その結果、価格は9万1,580ユーロ(約1,694万円)からとなり、本物の「Sクラス」と、Sクラスになりたい「EQS」との間には、約2万ユーロ(約370万円)の価格差が生まれた。これでようやく、釣り合いが取れたというわけだ。
結論:
待った甲斐はあった。800VバッテリーによってEQSの技術はようやく最新水準に達し、インテリアの質感向上も歓迎できる。ステアバイワイヤも、ハイテク好きにとって再び興味をそそる要素となった。もっとも、それがなくてもコーナリングは十分に得意だったのだが。
それでも、EQSが電動のSクラスになるわけではない。しかし、少なくとも後継モデルが登場するまでは、十分に存在感を保てるだろう。
Text: Thomas Geiger
Photo: Mercedes-Benz

