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F1の走りとサウンドが味わえる史上最もぶっ飛んだルノー 「ルノー エスパスF1」はF1用V10エンジン搭載している!

2026年10月22日

ルノー エスパス F1(Renault Espace F1): 史上最もクレイジーなルノー。地味なファミリーバンとF1マシンを融合させるなんて、一体誰が思いつくのか?フランス人だ!これが伝説のルノー エスパスF1の物語だ。動画付き!

V10エンジンが咆哮する!スピードメーターは292km/hを指していた。私は急ブレーキをかけ、ボタンでシフトダウンしてハンドルを切った。コーナーの出口で、14,000回転を超える状態で次のギアを叩き込んだ。勝利が目前に迫ったその時、母が、夕食ができたと私を呼んだ。私はレースを一時停止し、テレビの電源を切り、食事に向かった。

時は1999年、私はすっかり夢中になっていた。プレイステーション用のレースゲーム『グランツーリスモ2』が発売されたばかりで、私は小さなブラウン管テレビの前で昼夜を問わず過ごしていた。8歳の子供にとって決して最良の過ごし方とは言えないが、母がどんなに手を尽くしても、私をゲーム機から引き離すことはできなかった。

すべては『グランツーリスモ』から始まった

当時、母も私も知らなかったことだが、「グランツーリスモ」は、私の車への執着の礎となるものだった。レースのアクションに加え、何よりも私を魅了したのは、信じられないほど多彩な車種だった。この伝説的なレースゲームの欧州版には、なんと621台もの車が収録されており、その中には私が聞いたこともないモデルも含まれていた。

この世のものとは思えない: バンとF1マシンを融合させるというアイデアは、まず思いつくこと自体が難しい。

その一台が「ルノー エスパスF1」だ。800馬力を超えるパワーを誇るこのバンは、ゲーム内では、「スペシャルカテゴリー」に分類され、価格は2,000,000クレジットとなっている。あっという間に、「エスパスF1」は『グランツーリスモ』で私のお気に入りの車となり、それを上回るのは「スズキ エスクード パイクスピーク」だけとなった。時が経つにつれ、私はこのクレイジーなルノーでバーチャルに何千キロも走り回った。そして、『グランツーリスモ3』に「エスパスF1」が収録されていないと知った時の失望感を、今でも覚えている。

ルノー エスパスF1は実在する

27年後、トラックのドアが開き、史上最もクレイジーなルノー – エスパスF1 – が姿を現した。本当に実在していたのだ!

トラックの運転手が慎重にランプを下ろすと、思い出が蘇ってきた。ゲームに明け暮れた夜のことを思い出し、当時の生活がいかに気楽だったかを思い出す。さらに、8歳の私が、30年近く経った今、この車の前に立っていることを知ったら、どれほど誇りに思うだろうかと想像した。

後方から眺めると、エスパスF1が実際にどれほど幅広いかがよくわかる。そうそう、ルーフに付いた控えめな(笑)ウィングも、もちろん欠かせない。

正直なところ、私は長い間、子供の頃の憧れのヒーローであるこの車が、ゲームの中だけの存在だと思っていた。『グランツーリスモ』で大成功を収めたキャリアを終えてから何年も経って、ようやくルノーが実際にF1エンジンを搭載したこのミニバンを製造していたことを知った。その瞬間、いつかこの車を実物で見なければならないと心に誓ったのだった。当時の調査の中で、なんと「ルノー エスパスF1」が2台も存在することを突き止めた – クレイジーだ、このフランス人たちは!

半分はミニバン、半分はF1マシン

ファミリー向けミニバンとF1マシンを融合させるというアイデアは、一体どうやって思いついたのだろうか?答えは簡単だ。1984年に発売された「エスパス」の10周年と、ウィリアムズのエンジンサプライヤーとして3年連続のF1コンストラクターズタイトル獲得が、偶然にも同じ年に重なったからだ。その論理的な帰結として、マトラとウィリアムズとの協力により、本来はF1レーシングカーである一台が誕生した。1993年式の「ウィリアムズFW15C」のシャシーに、マトラが製作した超幅広のカーボンファイバー製ボディを被せたもので、張り出したスポイラーにもかかわらず、第2世代のエスパス(J63)に驚くほど近いシルエットを保っている。このショーカーは1994年の「パリ モーターショー」で初公開された。当時、私は3歳だった。

エスパスF1は実際に走行までした

しかし、ルノーはさらに一歩踏み込み、実際に走行可能な「エスパスF1」を製作し、世界チャンピオンのアラン プロストが「マニ クール サーキット」でそのハンドルを握った。もし、黄金色の「エスパスF1」が狭いコーナーで、どこかぎこちなくサーキットを跳ね回るような動画がなかったら、私は今でもそれを単なる伝説だと思っていたことだろう。しかし、「エスパスF1」は実際に走っていたのだ。その動画に収録されたV10エンジンの甲高い轟音は、今も私の脳裏に焼き付いている。

F1サウンドとともにプロストの運転するYouTube動画:https://www.youtube.com/watch?v=GIvNLHgqS4k

さて、現在に戻ろう。今、私の目の前で慎重に荷降ろしされている「エスパスF1」は、エンジンは搭載されているものの、一度も走行したことのない静態展示モデルだ。このショーカーは1994年にパリで公開され、現在はルノーのコレクションの一部となっている。2026年初頭、この車はドイツで初めて公開された – そして再びアーカイブに収められる前に、私の要望に応じて、ここに立ち寄ってくれたのだ。

この舞台はこれ以上ないほどふさわしい。なぜなら、我々はかつてのサーキット「サーキット ド ランス=グエ」にいるからだ。ここはフランスで最も有名なサーキットの一つとされ、今年で100周年を迎える。一連の死亡事故を受けて、1972年にこのストリートコースでの最後のレースが行われた。観覧席やピットの一部は今日まで保存されており、今では世界中の自動車やオートバイファンが訪れる聖地となっている。

エスパスに装着されたXXLサイズのウィングとワイドボディ

これは、私が計画を立てる際に想定していなかった事態だった。「エスパスF1」を配置するやいなや、XXLサイズのリヤウィングとタービン風のホイールを備えたこのバンの周りには、たちまち人だかりができた。通りかかる人たちはほぼ全員が車を停め、この奇抜なルノーを一目見ようと集まってきた。「これ、本物のルノー エスパスF1ですか? 『グランツーリスモ』に出てくるあの車ですか?」と、何度も何度も尋ねられた。どうやら、この車を即座にあのレースゲームと結びつけるのは私だけではないようだ。

私はこの時間を利用して、じっくりとエスパスを見渡した。30年以上も前のショーカーにしては、「エスパスF1」は驚くほど良好な状態を保っている。いくつかの小さな傷や古びたタイヤを除けば、この「エスパス」は展示会に出展しても、また新しいコンセプトカーとして通用するのではないかとさえ思う。

「スポーツ スパイダー」と「エスパスF1」は、ルノーがこれまでに製造した中で最も奇抜な2台の車だ。

走行可能な実車と比較すると、外観にいくつかの違いが見られる。例えば、展示用モデルのフロントスカートはより密閉感のあるデザインとなっており、外側にシルバーのインサートが施されている。この展示車ではエンジンフードとしての役割を果たさないフロントカバーには、実走可能なエスパスF1で必要とされていたクイックリリース機構が設けられていない。

外観上の最大の変更点はホイールにあり、このショーカーではホイールがほぼ完全に密閉されており、そのカーボン製カバーは、例えばマンタイ レーシングが採用しているような流行のエアロディスクを彷彿とさせる。

私が「エスパスF1」で特に気に入っているのは、その対比だ。フロントドアに特徴的な3つのエアスリットを備えたXXLサイズのワイドボディは、「エスパス3」を先取りしたヘッドライトや標準的な折りたたみ式ドアハンドルと組み合わされている。空力形状のサイドミラーさえもそのまま残されている。そして何より素晴らしいのは、何一つ、違和感を感じさせないことだ。屋根に取り付けられた、特徴的な支柱と最外側に配置されたライトを備えたウィングでさえ、デザインにシームレスに溶け込んでいる。そのデザイン自体が非常に洗練されているため、まるで一体成型されたかのように見える。

幼少期のヒーローでの試乗

エスパスF1を感嘆しながら眺めている最中、もう一つの夢が叶った。ショーカーに乗ってみないかと声をかけられたのだ。慎重に折りたたみ式のドアハンドルを握ると、カーボンファイバー製のドアは驚くほど軽く、壊してしまうのではないかと不安になるほどだ。乗り口は狭く、年月を経て少し色あせたパステルイエローのフルバケットシートに、そっと腰を下ろした。私は「ルノー エスパスF1」の車内に座っている – この瞬間を、自撮りで残さなければならない。

車内には4つのバケットシートが配置されており、展示モデルではベージュ、ほぼパステルイエローに近い色合いだ。走行可能な「エスパスF1」には、黒色のフルバケットシートが採用されている。

コックピットにおいてもこの対比は続いている。最高級のカーボン素材やシフトボタン付きスエード製ステアリングホイールと、味気ない硬質プラスチック、量産車そのままのエアコン操作パネルが共存している。

14,000rpmで800馬力超

自撮りをすべて撮り終えた後、私は本当に重要なことに集中した。後部座席の個別シートの間には、透明なカバーの下に、ウィリアムズ ルノーのF1マシンに搭載されていた3.5リッターV10エンジンが収まっている。情報源によって異なるが、社内で「RS5b」と呼ばれるこのエンジンは、14,000回転で800~810馬力をスリックタイヤに解き放つという。セミオートマチックトランスミッションはエンジンの後方に配置され、ステアリングホイール上の小さなシフトボタンで操作される。

0から200km/hまで6.3秒

タイヤが温まり、熟練したドライバーがハンドルを握れば、重量約1,100kgのこの「エスパス」は、2.8秒で100km/h、わずか6.3秒で200km/hまで加速すると言われている。速い?その通りだ!比較のために言えば、887馬力を誇る「ポルシェ918スパイダー」でさえ、この加速には7.4秒を要する – しかも4WD仕様だ。付け加えると、ルノーはかつて、この「狂気のミニバン」の最高速度を310km/hと公表していた。

トランクなんて昔の話だ。かつての荷物室は、広範囲にわたってカーボンで覆われている。小さな窓からは、サスペンションが見える。

プロストやラノッティでさえ、この数値に達したことはあったのだろうか?おそらくないだろう。何しろ、「エスパスF1」のコックピット内は最高60度、騒音レベルは最大160dB(A)に達していたと言われているのだから。こうした背景を考えると、今日、「エスパスF1」を運転できないことをむしろ嬉しくさえ思う。そして、むき出しの吸気マニホールドを眺めるだけで、それだけの価値は十分にある。

エスパスF1は、果たして再び走る日が来るのだろうか?

慎重にバケットシートから体を滑り出させ、ドアを閉める。すでに薄明かりが差しているが、それでもますます多くのカーマニアたちが集まり、「エスパスF1」に見入っている。またしても、これが本物のエスパスF1なのかと、信じられないような口調で尋ねられる。私は答える。「2台あるオリジナル車両のうちの1台だ」と・・・。

かつて走行可能だった「エスパスF1」は、現在パリから約200キロメートル離れたマトラ博物館に展示されている。

果たして再び走る日は来るのだろうか?可能性は低いだろう。もし走る日が来たら、ぜひその場に立ち会い、14,000回転で咆哮するV10エンジンの音を、生で聴いてみたいものだ!

【全ての写真(16点)を見る】https://autobild.jp/photo/74962/

Text: Jan Götze
Photo: Jan Götze / AUTO BILD