【ポルシェの新戦略】朗報!新型モデルの投入、内燃機関への投資、カスタマイズへの注力 これがポルシェが再び成功を収めるための戦略だ
2026年10月9日
ポルシェ スポーツカー工房 ’35。このポルシェの救済計画は、カーマニアにとって朗報だ。新型モデルの投入、内燃機関への投資、そしてカスタマイズへの注力の強化。一方で、人員削減やコスト削減も進める。これがポルシェが再び成功を収めるための戦略だ!
ポルシェは最近、順調とは言い難い状況にあった。このスポーツカーメーカーは、米国の関税、中国での販売の大幅な落ち込み、そしてツッフェンハウゼン本社が期待していたほど顧客に受け入れられていない電気自動車モデルの影響により、大幅な利益の落ち込みに苦しんでいた。
これらすべてが、2026年上半期にわずかに上昇したとはいえ、依然として7.8%という低い収益率の要因となっている。
ミヒャエル ライタース氏(Dr. Michael Leiters)の指揮の下、「キャピタル マーケッツ デイ」において、新たな再建戦略「スポーツカー工房2035(Sportwagenschmiede ’35)」を打ち出した。
しかし、状況が決してバラ色とは言えないとはいえ、ポルシェは依然として世界で最も価値のある高級ブランドである。「Brand Finance」の調査によれば、ポルシェは企業価値の約15%を失ったものの、352億ドル(約55兆円)で依然としてランキングのトップに立っており、シャネルやルイ ヴィトンを上回っている。ランキングで次に続く自動車メーカーは、7位のフェラーリである。

ライタース氏によれば、ポルシェの成功の基盤は、独自のブランドポジショニングにあるという。彼が指すのは、プレミアム/ラグジュアリーセグメントにおける幅広いモデルラインナップと、高い拡張性である。これは「911」の例を見れば明らかだ。ベースモデルの「カレラ(137,800ユーロ=約2,550万円から)」と限定特別モデル「GT3 90 F.A.ポルシェ(351,211ユーロ=約6,500万円から)の価格差は20万ユーロ(約3,700万円)以上にも及ぶが、両車とも同じプラットフォームを採用している。
対策
しかし、ポルシェはアイコンである「911」だけに頼るわけにはいかず、将来的に販売台数20万台未満でさえも損益分岐点に達するよう、計画を策定した。さらに、中期的にはグループ全体の営業利益率を10~15%に引き上げることを目指している。ミヒャエル ライタース氏は次のように説明する。「当社の戦略により、3つの段階を経てポルシェの効率性、生産性、収益性を大幅に向上させるための基盤を築きます。現時点では、何よりもコスト削減と企業の財務基盤の強化が最優先課題です。すでに重要なマイルストーンは達成しています。」
緊縮策
ありのままの真実: 将来に向けた一連の措置の一環として、合計で約9,000人の人員削減が行われるほか、給与は業界水準に調整され、賞与の支給は個人の業績とより強く連動することになる。人件費の削減は、すべての階層で実施される。具体的には、中期的に管理職ポストを40%削減し、全従業員数を25~30%削減する方針だ。同時に、スリム化された組織構造によって生産性の向上を図る。
しかし、それだけではない。中核事業にさらに注力するため、ポルシェは「ブガッティ リマック」の株式を売却し、コンサルティング子会社の「MHP」も手放した。
ポートフォリオの見直しとニューモデル
変革が一夜にして起こるものではないことは、ライタース氏も承知している。そのため、彼はコスト削減策と並行して、モデルポートフォリオの見直しに注力している。その最優先の前提となるのが、「Value over Volume」というモットーであり、これは「量より質」と訳すことができる。そのため、ポルシェというブランドは今後、よりハイエンドな位置づけとなる予定だ。これには十分な理由がある。何と言っても、トップセグメントでの収益性は明らかに高いからだ。現在、販売されるポルシェ全体の32%がこのセグメントに属しているが、この10年の終わりまでには47% – つまり販売されるポルシェのほぼ半分 – に拡大する見込みである。

ライタース氏によれば、派生モデルの種類も同時に約20%削減される予定だ。ここでもポルシェは、特に収益性の高いモデルに焦点を当てようとしている。その最たる例が、ベースモデルで既に少なくとも26万9000ユーロ(約4,970万円)という高価格ながら、期待を上回り、ほぼ完売状態にある「911 GT3 S/C」だ。長期的には、ラインナップのスリム化により、モデルごとの販売台数が最大30%増加する見込みだ。
ミッドシップスポーツカー
しかし、それだけにとどまらず、ポルシェは新たなセグメントへの進出も目指している。具体的には、過去にも度々議論されてきた大型SUV(Dセグメント)の実現が視野に入っているようだ。さらに具体的なのが、ミッドシップ スーパースポーツカーの計画だ。これは「911」の上位モデルとして位置づけられ、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンと競合する予定である。ポルシェは、その最初の概要を間もなく公開する予定だ。

ガソリンエンジンのマカンが復活
しかし、モデルラインナップの再編は、その反対側から始まる。2027年には「ボクスター」と「ケイマン」が電気自動車モデルとして復活し、2028年からは販売を活性化させる予定だ。同じく2028年には、「マカン」がガソリン車およびプラグインハイブリッド車として復活し、ポルシェはこれまでの大きな過ちを是正することになる。新世代モデルはアウディとの協力のもとで開発される。

内燃機関に注力
具体的には、ポルシェが内燃機関エンジンの開発に投資することを意味する。モデルの駆動方式の割合に関しては、ポルシェは内燃機関モデルが2、電気モデルが1という比率を目指している。ライタース氏は、今後も電気駆動の「911」はあり得ないと明言しているが、それによって電気自動車の重要性が低下するわけではないと強調している。
カスタマイズがますます重要に
1台あたりの売上高を伸ばすため、ポルシェはカスタマイズの要素をさらに強く打ち出そうとしている。この分野にも大きな収益性があるからだ。需要がますます高まっていることを受け、ラインナップは着実に拡充される予定だ。

この計画には、「エクスクルーシブ マニュファクチュール」部門や、顧客の要望に応じて「911フラッハバウRS」のような一点物さえも生み出す特別オーダープログラム、そして「パフォーマンス」部門が含まれている。これに伴い、ポルシェは「マンタイ レーシング」への出資比率を51%から67%に引き上げた。
開発コストの削減、品質の向上
新型モデル、パワートレインの多様化、そして個別化への注力は、将来性を感じさせる。しかし、ライタース氏は、開発コストを最大20%、生産コストを拠点によっては最大30%削減すると発表した。「品質はポルシェの経済的成功に不可欠な基盤」であるにもかかわらず、である。
プロセスの最適化(キーワード: 仮想テスト)、開発リソースの効率的な活用(キーワード: プラットフォーム戦略)、そして包括的な材料費削減プログラム(キーワード: 共通部品の増加)を通じて、コスト削減を図る。同時に品質の向上も図られる。なぜなら、顧客が付加価値、すなわち製品のグレードアップを認識して初めて、より高い価格を支払う用意があるからだ。
結論:
ポルシェは、「スポーツカー工房 ’35(Sportwagenschmiede ’35)」という戦略を通じて、中核事業に立ち返ろうとしているようだ。ポルシェにとって重要なあらゆるセグメントにおいて、最もスポーティな車両を提供するという目標は、単純であると同時に、非常に挑戦的なものにも聞こえる。
留意すべき点は、ポルシェには計画があるものの、その実行は決して容易ではないということだ。しかし、現代において、容易なことなどあるだろうか?
Text: Jan Götze
Photo: Porsche AG

