1万ユーロ(約128万円)以下で買えるクラシック、ネオクラシック、オールドタイマー&ヤングタイマー×11台

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先日アップした「2万ユーロ(約256万円)以下で買えるクラシックカー&ネオクラシックカー一覧」、好評につき、調子に乗って、1万ユーロ(約128万円)以下で買えるオールドカー」を今回はお届けする。エンジョイしてください。

ノスタルジーは人さまざまだ

クラシックカー、ヒストリックカー、あるいはヴィンテージカー。旧車や中古モデル。ネオクラシック、オールドタイマー、あるいはヤングタイマーと、呼び方も多彩で、人それぞれに想い入れも異なる。

40代、50代にとってのハローカーもあれば、60代以上にとっても憧れのクルマもある。そしてそれらは必ずしもスーパーカーや高級車ではなく、多くの場合、とても身近な存在だったりする。たまたま縁に恵まれず、所有して一緒に過ごすことができなかった好きな人のような存在でもある。だからこそ、再び巡り合えた時に、手を差し伸べたくなるクルマが在る。そんなロマンチックな巡り会いも自動車の世界にある。

だから自動車の世界は素晴らしいし、飽きないのだと思う。

1万ユーロ(約128万円)までのオールドカー

強い個性を備えた最大1万ユーロ(約128万円)までの手頃な価格のクラシックカー。懐の中身がそれほど豊かでなくても、購入可能な魅力的なクラシックやヤングタイマーが市場には存在する。

メルセデスベンツ パゴダ、フォード マスタング、ポルシェ911などの夢の車は、クラシックカー愛好家に魔法をかける。そして、これらの車の価格は5桁にも達し、中にはますます高価になっているものもあるという事実にもかかわらず、多くのクラシックカーには、大金をかけずに運転することができる、「普通の稼ぎ手」のための十分な選択肢も存在する。

クラシック、ネオクラシック、オールドタイマー&ヤングタイマー、約40台の中から、おそらく多くの人の心に刺さるであろうモデルを、11台ピックアップしてみたので、以下に紹介する。

メルセデスベンツ200E(W124)
出力: 118馬力; 排気量: 1996cc; 生産期間: 1989~1992年
市場想定価格:
コンディション2: 6,300ユーロ(約80万円)
コンディション3: 2,800ユーロ(約35万円)

大林浩平: さすがにメルセデスベンツの中の名車、「W124」も、もう30年以上、ということでクラシックカーといってもいい年代になってきた。乗ってみれば今のEクラスが薄っぺらに感じてしまうほどのフラットライド感と絶対の安心感。その一方で気になるのはパーツ類の高騰と、そろそろ欠品になりつつある電子パーツの数々。文句なくいいクルマで、直せば直した分、リフレッシュできることは間違いないが、それには相応の費用もかかることをお忘れなく。なお写真の「200E」は日本に輸入されておらず、「230E」が最下限。おすすめは「260E」か「300E」あるいは「300DT」だが、そういう風にエンジンを選り好みするよりはクルマ全体の程度で選ぶことをお勧めする。
Photo: Ralf Timm

アウディ80
出力: 55馬力; 排気量: 1297cc; 生産期間: 1972~1976年
市場想定価格:
コンディション2: 6,300ユーロ(約80万円)
コンディション3: 3,900ユーロ(約50万円)

大林浩平: ピエヒが開発担当重役としてアウディにやってくる前に開発されたピエヒアウディではない最後のアウディ。このころは「会計士のクルマ」と言われていたものだった。さすがに写真ほど古いクルマはもはや絶滅危惧種だが、90年代半ばの80ならば、50万円以下でたまに売られていることもある。
Photo: Werk

BMW 520i(E28)
出力: 125馬力; 排気量: 1990cc; 生産期間: 1981~1986年
市場想定価格:
コンディション2: 7,000ユーロ(約89万円)
コンディション3: 4,000ユーロ(約51万円)

大林浩平: 5シリーズらしい5シリーズとはこういうクルマのこと、とても繊細なデザインとコンパクトなサイズ。日本にもエンジン回転を思い切り抑えた「イーターエンジン」も導入されたが、BMWらしくない、と不評だった。タイアはミシュランのTRX(専用ホイールなので注意が必要)だったりするが、どうやらまだちゃんと買えるらしい。
Photo: Martin Puthz

フィアット500F
出力: 18馬力; 排気量: 499cc; 生産期間: 1965~1972年
市場想定価格:
コンディション2: 8,600ユーロ(約110万円)
コンディション3: 4,700ユーロ(約60万円)

大林浩平: チンクエチェントと言えば、本当はこれのこと。言うまでもなく小さくかわいく、そしてもっともイタリア的な自動車の一台。ルパンのとか、そういう注釈など不要の可愛さと存在感。この写真のようにかわいく、だれをも笑顔にしてくれる。“Molto carino e adorabile!”
なおチンクエチェントの市場は、もうじき土に還りそうな程度のクルマか、あるいはレストア済の完品かという両極端。良いものだと300万円以上も珍しくない。
Photo: Toni Bader / AUTO BILD

フォード マスタングIII
出力: 109馬力; 排気量: 2799cc; 生産期間: 1979~1986年
市場想定価格:
コンディション2: 8,100ユーロ(約103万円)
コンディション3: 4,500ユーロ(約57万円)

大林浩平: ちょっと欲しくなるムスタングのクーペ。窓から肘出してカッコよく運転してみたい(できれば、ポニーテールの可愛い娘、横に乗せて…)。それで、ドライブインシアターに行く、みたいな使い方にはこういう感じのユルーいクルマが好適。この写真のようにパームスプリングスあたりで乗るのなら足としていいかも。
日本でも200万円を切るクルマとしてスタンダードモデルが輸入されていたこともあったが、もうこの時代(これよりも極端に古いマスタングか、新しいモデルは台数豊富)のマスタングを、環八激安中古車店でも見かけることはほとんどなく、おそらく絶滅危惧種だ。
Photo: Werk

Mazda MX-5(NA) 日本名: ユーノス ロードスター
出力: 115馬力; 排気量: 1597cc; 生産期間: 1989~1994年
市場想定価格:
コンディション2: 8,100ユーロ(約103万円)
コンディション3: 4,500ユーロ(約57万円)

大林浩平: ロードスターといえばやはり「NA」につきる、でしょう、という人も多い日本の名車。今でも熱狂的愛好者多し。やる気になればマツダによるリフレッシュプログラムで限りなく新車にすることも可能だが、それには新車で「ND」を購入するよりも多額な出費が必要(考えてみれば当たり前)。
実際日本の中古車市場でも「NB」、「NC」よりも、「NA」はずっと高値安定銘柄で、おそらくこれからも「NA」だけは人気保持の傾向。本当はあまり程度など気にせず、この写真のように屋根を開け放して、軽快にオープンを楽しむというのが正解で、ガンガンに峠を走るだけのクルマではないと個人的には思う。であれば、「NA」にこだわらず、「NB」、「NC」あるいは「ND」を実用で使うのはおおいにアリではないでだろうか。
と言っても、ダイハードな「NA」信奉者のの人たちには通じないだろうが…。
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD

プジョー406クーペ
フェラーリ456に似ているのは偶然ではない。このオシャレなフランス車もピニンファリーナのデザインだ。
生産期間: 1997~2001年
市場想定価格:
コンディション2: 4,800ユーロ(約61万円)
コンディション3: 3,200ユーロ(約40万円)

大林浩平: ピニンファリーナの作ったエレガントで美しい406クーペ。乗ってみてもこのころのプジョーらしい上質な乗り心地を持つ。台数は少ないながらも流通している中古車価格は日本ではピンキリで、程度のそこそこのものがアンダー100万円(その半分に近い場合もある)から、程度によっては200万円近いものまで玉石混交。
今のプジョーはなんだかデザインも小さいステアリングホイールも馴染めなくってねぇ、というプジョーのすべてを知り尽くした通人にぴったりの1台。
Photo: Werk

ルノーR4
出力: 34馬力; 排気量: 845cc; 生産期間: 1974~1983年
市場想定価格:
コンディション2: 6,600ユーロ(約84万円)
コンディション3: 3,800ユーロ(約48万円)

大林浩平: 日本でも一時期人気ドラマ「ビーチボーイズ」で使われた影響か、ちょっと人気のあった「キャトル」。今や「2CV」よりも見かける機会が減ったようにも思われるが、キャトルは我々オールドボーイズのイメージする「ルノーらしいルノー」だった。実際にちゃんと走る個体ならば、「2CV」や「ミニ」よりも高性能((笑)で実用的。クーラーもついている車もあるし、前席の窓もスライド式ながら開くのでので、そういう意味ではかなり普通のクルマ(?)だった。この写真はかなり古いモデルだが、最後期モデルでも、もうじき40年。やっぱりクラシックカーといっても過言ではない。
なお日本ではだいたい100万円以下で売られているが、この写真と色まで同じクリソツの「4スーパー」は車検付きで253万円で売られている(あくまでも特例で、普通のキャトルはだいたい70~100万円くらいが相場だ)。
Photo: Martin Meiners

ボルボC70クーペ
ボルボ最後のクーペ(1997~2002)もそろそろクラシックの仲間入りの時期が近付いている。クラシック愛好家たちはボルボT5(2.3リッター/240馬力)も追い求めている。
市場想定価格:
コンディション2: 7,000ユーロ(約89万円)
コンディション3: 4,300ユーロ(約55万円)

大林浩平: かつてボルボには「262」とか「780」のようなクーペが存在し、普通のモデルの2倍くらいの価格を持つ特別な存在だった。さすがに「C70」はそこまでのクルマではないが、オープンモデルもあり、ちょっと洒落た車である。日本でも現在底値で売られており、30万円台から見つけられることもある。ただし程度と走行距離はかなり進んでいる物が多いので、完璧を望んではいけない(整備などもかなり必要ということ、そして革張りの内装も傷んでいる場合も多いので要注意)。
明らかにドイツのメーカーのものよりも、劣化やヤレは早いけれど、そもそもボルボというのはそういうもので、さらっと乗るほうがお洒落と言えよう。そういう意味ではつぎの車検まで、と割り切って50万円以下で足がわりにするというのも案外悪くないアイデアと言える。
Photo: Werk

VWメキシコ ビートル1200
出力: 34馬力; 排気量: 1192cc; 生産期間: 1964~2003年
市場想定価格:
コンディション2: 9,400ユーロ(約120万円)
コンディション3: 5,000ユーロ(約64万円)

大林浩平: メキシコ製「ビートル」とはいえ、なかなかの高価格。「ミニ」と並んでおそらくいつまでもこれぐらいの価格を維持していくものと思われる。「メキシコ ビートル」といえば、醜いバンパーと、プラスチックの悪夢のようなメーターパネルが有名だが、パーツはたくさんあるので、どちらもやる気になれば改良できるはず。空冷エンジンのため信頼性と整備性は上々だが、エンジンが温まるまでは暖房は効きにくいのでご注意あれ。
ちなみに日本では100万円から200万円くらいが中古車の適正価格で、アンダー100万円以下の安いものもたまに見かけるが、程度はそれなりな物件なので覚悟してほしい。
Photo: Götz von Sternenfels / AUTO BILD

VWシロッコII 16V
出力: 129馬力; 排気量: 1800cc; 生産期間: 1985~1992年
市場想定価格:
コンディション2: 9,400ユーロ(約120万円)
コンディション3: 4,700ユーロ(約60万円)

大林浩平: SUVばかりの世の中になり、フォルクスワーゲンのラインナップの中からもいつの間にかなくなってしまった「ハッチバッククーペ」。中身は他のフォルクスワーゲンと同じメカニズムだから乗って間違いはなく、実用性も満点。街にあふれるゴルフではなく、シロッコというチョイスは大いに成立するはず。
写真のモデルは16Vだが、このごく普通のホイールと空気たっぷりのタイヤサイズがなんとも微笑ましい。
ちなみに現時点では日本における流通在庫は(この時代のシロッコは)見つけられなかった。欲しい方には残念ながら…。
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD

Text: Matthias Techau
加筆: 大林晃平