SUPER GT 2026 第6戦SUGO Astemoが4年ぶりの優勝! PRELUDE-GTは3連勝
2026年10月2日
2026 AUTOBACS SUPER GT Round 6「SUGO GT 300km RACE」が9月19日、20日の両日、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。
GT500とGT300を合わせた43台が参戦し、決勝は84周の300kmレースとして争われた。雨の影響が残る路面、セーフティカーによって変わる戦況、そして混走ならではの接近戦。今回もSUGOは、速さだけでは勝てない難しさを各チームに突きつけた。まさに「SUGOには魔物が棲んでいる」と言える展開となった。
GT500ではNo.17 Astemo HRC PRELUDE-GTの塚越広大/野村勇斗組が、2番手スタートから逆転優勝。チームにとって2022年以来の勝利となり、GT500ルーキーの野村は初優勝を飾った。Honda HRC PRELUDE-GTは富士、鈴鹿に続く3連勝を達成。GT300ではNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GTの吉本大樹/河野駿佑組がポール トゥ ウインでSUGO連覇を果たした。
予選はNo.64 Moduloがコースレコードでトップに
9月19日に行われたGT500クラスの公式予選では、前戦鈴鹿に続いてHonda HRC PRELUDE-GT勢が速さを見せた。
Q1ではNo.64 Modulo HRC PRELUDE-GTのイゴール オオムラ フラガが1分09秒253を記録し、2戦連続のトップ通過。PRELUDE-GTは参戦する5台すべてがQ2へ進出した。
続くQ2では、No.64の大草りきが1分09秒050のコースレコードをマーク。鈴鹿で僅差で逃したポールポジションを、今回はしっかりとつかんだ。2番手には1分09秒368のNo.17 Astemo HRC PRELUDE-GTが入り、Honda勢がフロントロウを独占した。
3番手はNo.19 WedsSport BANDOH GR Supra、4番手はNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GT。前戦優勝車のNo.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTは6番手、No.8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTは7番手となった。
GT300は吉本大樹が初ポールポジション
GT300クラスでは、No.60 Syntium LMcorsa LC500 GTが予選を制した。Q1を担当した河野駿佑が好タイムでつなぎ、Q2では吉本大樹が1分16秒964を記録。No.61 SUBARU BRZ R&D SPORTの山内英輝を0.099秒上回り、吉本自身とLMcorsaにとって初めてのポールポジションを獲得した。
2番手には井口卓人/山内英輝組のNo.61が続き、ダンロップタイヤ装着車がフロントロウを独占。3番手にはNo.7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVOが入った。
昨年のSUGO戦で優勝したNo.60にとって、連覇に向けた最高のスタートとなった。一方、No.61もセットアップ変更の成果を予選で示し、決勝での巻き返しに期待を持たせた。
乾き切らない路面でセーフティカースタート
9月20日の決勝日は、午前中の雨によって路面が濡れた状態となった。昼頃には天候が回復し、ウォームアップ走行で走行ラインも徐々に乾いていったが、コースの一部には水分が残った。各車はスリックタイヤで決勝に臨んだものの、通常のローリングスタートではなく、セーフティカー先導によるスタートが選択された。
13時30分に84周の決勝が始まり、4周を終えたところでセーフティカーがピットへ。5周目から本格的なバトルが始まった。路面が乾いていくなかで、タイヤを適切に機能させながらペースを上げることが、序盤の重要な課題となった。
大草りきが首位を守り、No.19が追撃
GT500では、ポールポジションのNo.64を駆る大草りきが首位を守った。2番手のNo.17は野村勇斗が担当。しかし、周回が進むにつれてトップとの差が広がり、背後からNo.19の国本雄資が迫ってきた。17周目には国本が野村をかわし、2番手へ浮上した。No.19はその後も快調なペースを維持し、先頭のNo.64へ接近。序盤はPRELUDE-GT同士の争いだったトップ争いに、ヨコハマタイヤを履くGR Supraが割って入った。前戦の鈴鹿ではHonda勢が表彰台を独占したが、今回のSUGOは同じ展開にはならない。大草と国本が首位を争い、その後方で各車がピットに入るタイミングを探るレースとなった。

26周目のアクシデントがレースを動かす
26周目、最終コーナー付近で大きなアクシデントが発生した。GT300クラスのNo.30 apr GR86 GTがコースへ復帰する際に姿勢を乱し、後方から来たNo.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTが避け切れずに接触。前戦鈴鹿の優勝車は、連勝を目指したレースをここで終えることになった。
車両回収とコース清掃のため、フルコースイエローに続いてセーフティカーが導入された。首位争いをしていたNo.64とNo.19のリードも失われ、各車の間隔が縮まった。ちょうどドライバー交代が可能になる時期と重なったことで、このセーフティカーは単に順位の間隔を縮めただけでなく、その後のピット戦略にも大きな影響を与えた。
No.17 Astemoが早めのピットで逆転
レース再開後、No.17はすぐにピットへ向かい、野村勇斗から塚越広大へ交代した。前半の野村はタイヤのグリップに苦しみながらも、上位を狙える位置でマシンをつないだ。後半を任された塚越はピットアウト直後からペースを上げ、先頭を走っていたNo.64より早く作業を済ませたメリットを生かした。No.64が翌周にピットへ入ると、No.17はその前へ。序盤に3番手へ後退していたAstemoが、ピットを挟んで優勝争いの主導権を握った。
Honda勢ではNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GTも上位へ進出。牧野任祐が塚越を追う一方、No.17は後続との間隔を広げ、逃げ切りに向けてレースを組み立てていった。
フェネストラズが猛追、No.39が2位へ
後半の見どころとなったのが、No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraの追い上げだった。8番手からスタートしたNo.39は、前半を担当した関口雄飛がタイヤのピックアップに苦しんだ。それでもレースをつなぎ、後半を任されたサッシャ フェネストラズが次々と順位を上げていった。表彰台圏内へ進出したフェネストラズは、さらにNo.100の牧野へ接近。65周目の1コーナーではイン側へ飛び込んだものの、牧野がクロスラインで抜き返した。しかし、フェネストラズは翌66周目に再びアタック。今度はオーバーテイクを成功させ、2番手へ浮上した。狭いSUGOで何度も仕掛ける積極的な走りが、No.39を表彰台へ導いた。

塚越広大とAstemoが4年ぶりの勝利
トップのNo.17は、後方の激しい順位争いをよそに安定したペースを維持した。塚越広大は最後まで首位を守り、84周を走り切ってチェッカーフラッグを受けた。Astemo REAL RACINGと塚越にとっては、2022年第7戦オートポリス以来となる勝利。今季GT500へステップアップした野村勇斗にとっては、待望の初優勝となった。前戦鈴鹿ではトップを走りながら終盤に逆転を許したNo.17だが、今回は戦略と後半のレースペースを結果へ結びつけた。
Honda HRC PRELUDE-GTは、第4戦富士のNo.100、第5戦鈴鹿のNo.16に続き、今度はNo.17が優勝。同じ車種の異なる3チームが勝利を重ね、デビューイヤーの勢いをさらに強めた。

No.36 au TOM’Sは100kgのハンデを背負い4位
2位はNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra、3位はNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GTとなった。4位にはNo.36 au TOM’S GR Supraが入った。坪井翔/山下健太組は100kgのサクセスウエイトを背負い、予選では11番手にとどまったが、決勝では戦略とペースを生かして順位を回復。終盤まで表彰台を争い、ランキング首位を守る貴重なポイントを獲得した。5位はNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra。一方、ポールスタートのNo.64 Modulo HRC PRELUDE-GTは、後半に追い上げを見せながらも他車との接触でタイヤを損傷し、12位に終わった。予選の速さを決勝結果へつなげる難しさが、今回も浮き彫りになった。


GT500クラス決勝結果(5位まで)
| 順位 | No. | マシン | ドライバー | ラップ | ベストラップ | 差 | タイヤ | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 17 | Astemo HRC PRELUDE-GT | 塚越 広大野村 勇斗 | 84 | 1’12.491 | 50 | ||
| 2 | 39 | DENSO KOBELCO SARD GR Supra | 関口 雄飛サッシャ・フェネストラズ | 84 | 1’12.956 | 4.729 | 34 | |
| 3 | 100 | STANLEY HRC PRELUDE-GT | 山本 尚貴牧野 任祐 | 84 | 1’13.122 | 5.236 | 54 | |
| 4 | 36 | au TOM’S GR Supra | 坪井 翔 山下 健太 | 84 | 1’13.014 | 6.101 | 100 | |
| 5 | 37 | Deloitte TOM’S GR Supra | 笹原 右京ジュリアーノ・アレジ | 84 | 1’13.290 | 6.856 | 24 |
GT300はNo.60 LC500が序盤をリード
GT300では、ポールポジションからスタートしたNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GTの吉本大樹が首位を守った。
2番手のNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTは井口卓人が担当。序盤はこの2台が後続を引き離したが、やがてNo.60がNo.61との差も広げていった。しかし、GT500のアクシデントによってセーフティカーが導入され、それまでに築いたリードは失われた。再開後、No.60はピットでタイヤを4本交換し、吉本から河野駿佑へ交代した。前戦鈴鹿では上位を走りながら結果を残せなかったLMcorsaだが、今回もマシンとタイヤの速さは十分。後半の河野が、それを勝利へつなげられるかが焦点となった。

タイヤ無交換のNo.56 GT-Rが首位へ
ピットストップでレースを動かしたのは、No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rだった。
19番手からスタートしたジョアオ パオロ デ オリベイラ/木村偉織組は、タイヤを交換しない作戦を選択。ピットでの停止時間を短縮し、タイヤを4本交換したNo.60の前へ出た。ここからは、使い続けたタイヤで逃げるGT-Rと、新しいタイヤで追うLC500の争いとなった。河野は無理に仕掛けず、速いラップを重ねて差を縮めた。No.56にとってはタイヤを最後まで持たせること、No.60にとっては追いついた後に抜く場所を見つけることが課題だった。異なる戦略が、終盤の首位争いを生み出した。

河野駿佑が首位を奪還、LMcorsaがSUGO連覇
勝負は終盤、No.56がGT500車両との接触で勢いを失った場面で動いた。
背後まで迫っていた河野は、この機会を逃さずNo.60を首位へ戻した。トップを奪還すると再び差を広げ、80周を走って優勝。No.56に6.104秒差をつけ、ポール トゥ ウインでSUGO連覇を達成した。

3位にはNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTが入った。後半を担当した山内英輝はNo.56を追い詰めたものの、逆転には届かなかった。それでも、シーズン前半に苦しんだBRZにとって、今後へつながる表彰台となった。4位はNo.666 seven x seven PORSCHE GT3R EVO、5位はNo.18 UPGARAGE AMG GT3。前戦鈴鹿で初優勝を飾ったNo.9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMWは12位となった。

GT300クラス決勝結果(5位まで)
| 順位 | No. | チーム / マシン | ドライバー | ラップ | ベストラップ | 差 | タイヤ | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 60 | Syntium LMcorsa LC500 GT | 吉本 大樹河野 駿佑 | 80 | 1’18.207 | 28 | ||
| 2 | 56 | リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ 木村 偉織 | 80 | 1’19.898 | 6.104 | 98 | |
| 3 | 61 | SUBARU BRZ R&D SPORT | 井口 卓人山内 英輝 | 80 | 1’18.691 | 7.314 | 2 | |
| 4 | 666 | seven x seven PORSCHE GT3R EVO | スヴェン・ミューラー 渡会 太一 | 80 | 1’19.758 | 29.563 | 58 | |
| 5 | 18 | UPGARAGE AMG GT3 | 小林 崇志新原 光太郎 | 80 | 1’19.746 | 36.700 | 40 |

タイトル争いはオートポリス、そしてもてぎへ
PRELUDE-GTの3連勝でHonda勢の勢いが際立つ一方、No.36 au TOM’S GR Supraは重いハンデのなかでも上位を確保した。優勝を重ねるHonda勢と、着実にポイントを積み上げるTOM’S。SUGO戦は、その両方の強さが見えたレースとなった。
GT500クラス チームランキング(5位まで)
| 順位 | No. | チーム | Rd1 | Rd2 | Rd3 | Rd4 | Rd5 | Rd6 | Rd7 | Rd8 | Total | 差 | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 36 | TGR TEAM au TOM’S | 23 | 23 | - | 11 | 5 | 11 | 73 | 100 | |||
| 2 | 17 | Astemo REAL RACING | 3 | 4 | - | 9 | 18 | 23 | 57 | -16 | 90 | ||
| 3 | 100 | STANLEY TEAM KUNIMITSU | 7 | 6 | - | 23 | 3 | 14 | 53 | -20 | 76 | ||
| 4 | 16 | ARTA MUGEN | 8 | 9 | - | 5 | 23 | 45 | -28 | 66 | |||
| 5 | 14 | TGR TEAM ENEOS ROOKIE | 11 | 18 | - | 7 | 6 | 3 | 45 | -28 | 62 |
GT300クラス チームランキング(5位まで)
| 順位 | No. | チーム | Rd1 | Rd2 | Rd3 | Rd4 | Rd5 | Rd6 | Rd7 | Rd8 | Total | 差 | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 56 | KONDO RACING | 5 | 28 | - | 14 | 14 | 23 | 84 | 100 | |||
| 2 | 777 | D’station Racing | 28 | 12 | - | 3 | 16 | 3 | 62 | -22 | 96 | ||
| 3 | 7 | CARGUY MKS RACING | 6 | 7 | - | 19 | 23 | 6 | 61 | -23 | 94 | ||
| 4 | 666 | seven x seven Racing | 7 | 16 | - | 13 | 5 | 16 | 57 | -27 | 84 | ||
| 5 | 2 | HYPER WATER Racing INGING | 23 | 14 | - | 12 | 3 | 3 | 55 | -29 | 80 |
次戦は10月17日、18日のオートポリス。さらに、もてぎでは2レースが予定されており、残る戦いは3レースとなる。SUGOで勝利を取り戻したAstemo、復調を示したBRZ、そして連覇を果たしたLMcorsa。それぞれが得た手応えを、次の結果へつなげられるかに注目である。
GTカーが激しいバトルを繰り広げるSUPER GT。是非ともサーキットに足を運んで、直にレースの迫力を感じてほしい。
Text:アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)
Photo:Hisao Sakakibara

